学部紹介

白水先生の長野県栄村レポート
 ~法学部 白水 智 教授の研究活動~

2016年9月

あっという間に9月も後半。今年度も半分が過ぎようとしています。
今年は大学から国内研修という研究休暇をいただいて、1年間大学を離れ研究活動に専念しています。

研究テーマは2つ。1つは「大規模自然災害後の文化財保全活動のあり方」について、もう1つは「山村地域の歴史的な生活文化」についてです。そしてこの2つのテーマを両方ともに満たす研究フィールドが長野県栄村です。

「こらっせ」オープン!

栄村歴史文化館「こらっせ」外観山深い秘境山村をもつこの村に、歴史研究のための調査に足を運ぶようになって17年になります。

この村は2011年3月12日に、大震災に見舞われました。震災後、古民家や土蔵の中に残されてきた昔の道具や古文書などがゴミとして廃棄される危機に遭遇し、私は調査をともにしてきた仲間たちと文化財の保全活動を行うことになりました。
この活動にずっと関わりながら、私は、大規模自然災害に見舞われた地域でどのように文化を残し、復興していけばいいのか、それを考え続け、仲間とともに実践し続けてきました。
全国には、阪神淡路大震災後、各地に文化財保全活動に当たる団体が生まれてきました。そして、この栄村での活動事例は、それら全国の保全活動団体の間でも大きく注目されるようになりました。

あれから丸5年が過ぎ、ついにこの夏、栄村では文化財を保存・展示し、活用する施設「栄村歴史文化館 こらっせ」が村内外の延べ2500人にも上る多数の方々のご協力が実を結び、オープンしたのです。

栄村歴史文化館「こらっせ」オープン手弁当で集まった文化財保全活動の参加者が、それぞれの得意技を持ち寄り、充実した楽しみを味わいながら村の文化を復興させていく、そのエキサイティングな現場に身を置くことができました。
自分なりのフィールドをもって研究する者として、何より幸せな時間を仲間と共有することができました。
これからも起こるであろう各地の自然災害に際して、どのように文化財を守り、整理し、活かしていくのか、その1つの指針となるべきものを提示していくのが、今の私にとっての大きな研究テーマです。

もう1つのテーマ

山村地域の歴史的な生活文化というもう1つのテーマについては、地元のお年寄りから少しずつ聞き取りを進め、また地形や植生を実地で観察し、古文書を整理しながら読み進めるという方法で、素材集めをしています。研究が形になるにはまだ時間がかかりますが、今年度はここでしか集められない、ここでしか見られない、今しか出会えない研究素材をとにかく集めてみようと思っています。
あと半年、どこまでできるかわかりませんが、後に生かせる研究素材をフィールドワークの中からできるだけたくさん手にして帰りたいと思っています。

クマの親子とカモシカ鍋

山奥で遭遇!熊の親子7月10日、栄村の山奥の道を車で走っているときに、親子クマに出くわしました。車で30メートルほどに近づいても逃げませんでしたので、バッチリ写真に撮ることができました。 それから、ついに念願だったニホンカモシカの肉を食べることができました。これまでにも栄村で、猟師が獲ったクマ・イノシシ・サルなどの肉は食べたことがありましたが、天然記念物のカモシカだけは未体験でした。しかし古老の話では、昔は猟師が一番に狙ったのはカモシカだったそうです。なぜならカモシカは名前とは裏腹にウシ科の動物で、肉がとても美味しかったからです。以前から食べてみたかったカモシカ。ついに先日、今年1頭だけ許可が出て獲れたという肉を馴染みの民宿でご馳走になりました。鍋の素材として出されましたが、確かに牛肉のような味わいで、しかも味が濃くて美味しかったです。

カモシカ鍋

 

年度後半に予定される大きな体験は、豪雪の中での生活です。栄村は、11月には雪が降り始め、真冬には3メートル以上の積雪になる豪雪地です。果たしてどのような体験ができるでしょうか。今から不安半分、期待半分でいます。