駅伝部応援コラム

第95回大会コラムメニュー

「練習は頭で考え、本番は身体の感覚で走る 有馬圭哉」 【2018年12月25日掲載】
有馬 圭哉選手が初めて川崎監督と出会ったのは、高校2年生の時だ。「まだ自分が大きな結果を出せていない時に声を掛けていただきました。自分のことを最初から見てくれている、分かってくれているという安心感があり、中央学院大学への進学を決めました。また、自分が通っている高校はあまり練習量が多くなかったので身体が出来上がってなく、初めからハードな練習をする大学では身体がついていかず、故障を招くことになると思いました。ずっと陸上を続けていきたいという思いがあったので、監督から練習メニューを聞いて、ここでなら無理なくトレーニングができ、着実に力をつけられると思いました。」迷いのない有馬選手の言葉から、川崎監督への揺るぎない信頼が伺える。

11月の全日本大学駅伝について聞いてみると、「個人としても結果はあまりよくありませんでしたが、自分の中でいろいろなチャレンジをしてみたので、次の走りにつながる気づきが得られました。」すっきりした顔で有馬選手はそう語った。

「自分は淡々と走りを刻むタイプですが、全日本では攻めの走りをしようと思い、初めからスピードを上げ突っ込んでみました。15キロ近くまでは良いペースでレースを進めることができ、よしこれはいける!と思ったのですが、急にラスト2キロ、3キロで足が動かなくなり、スピードがガクッと落ちてしまいました。スタミナ不足、筋力不足を痛感しました。今は自分の身体と相談しながらウエイトトレーニングを増やしています。
また、チームとしても練習距離を30キロからプラス3キロ伸ばしました。距離への抵抗感を無くし、かつラスト3キロをペースアップして競り負けないための練習にしています。その結果、チーム全体の調子も上がっています。」と語る。

「練習の時は様々なことを考えて走ります。練習でいろいろ試しますが、逆に本番では何も考えずに、今までの練習で身体が覚えている感覚で走ります。
普段は身体の声を聞くことを大切にして、その微妙な変化を見逃さず、それに合わせて練習を増やしてみたり、ゆっくりにしてみたりと調整をしています。
監督は自分のことを計算し易い選手だと思っていると思います。監督がだいたいこれぐらいだろうという予想結果を外さないので。」と冷静に自己分析をする有馬選手。

そんな有馬選手のことをコーチはこう評価する。「なぜ今この練習をするのか。その練習の意図を把握し、頭で考えて効率的に実行する。その結果として練習の効果が上がり、かつ身体に無駄な負担がなくなる。有馬はそういう練習ができる選手です。そういう選手は選手寿命も長い。それは川崎監督が理想とするところです。」

有馬選手に対して、クールで一人黙々と練習をこなす一匹狼的なイメージを持つかもしれない。しかし事実は逆だ。駅伝部の寮では、朝から有馬選手の部屋に1年生の栗原選手や加瀬選手など後輩たちがたくさん集まり賑やかだ。普段は穏やかでマイペースだが、会話の中ではここぞという時に兵庫県出身の関西人ならではの鋭い突っ込みを入れる、そんなギャップが受けているようだ。インタビュー中もずっとにこやかで、一生懸命答えてくれた有馬選手。部屋にたくさんの人が集まるのも合点がいく。

川崎監督の理想とする有馬選手が、箱根でどんな走りをみせてくれるのか、期待が膨らむ。
巻き起こせ、CGU旋風!!
「”静”と”動”を兼ね備えた魅力 髙橋翔也」 【2018年12月12日掲載】
1年生の時から、川崎監督に「1年生らしくない、良い意味でふてぶてしい」と評され、本学駅伝部の中で特別な存在感を放っている髙橋翔也選手。実際に彼を目の前にすると、華奢で礼儀正しく、とてもそのような選手には見えない。彼のどこが「ふてぶてしい」のだろう、今回はその謎に迫ってみた。

髙橋選手は4年間、学生3大駅伝(出雲・全日本・箱根)に全て出場するという目標を掲げている。その目標をここまで一つも欠けることなくクリアしていき、来年、2回目の箱根駅伝を迎える。有言実行そのものだ。前回の箱根駅伝では1年生でありながら、4区で本学新記録を叩きだした。4区といえば、細かなアップダウンが続く淡々とした道のりになる。選手もばらけてくるので、一人で黙々と我慢強く走り続けることができる選手でないとこの区間は厳しい。そこを自ら志願したのだ。

1年生での往路志願、大胆とも言えるこの言動の真意を聞いてみると髙橋選手はこう答えた。「4年間、学生3大駅伝に出場するという目標を考えたとき、1年生のうちから往路で走っておきたいと考えました。4区は起伏に対応できれば自分のペースで走ることができます。その点が自分に合っていると考え志願しました。今年はより厳しいと言われる1区か2区を走りたいです。その経験が今後につながると考えています。」先を見据えた100点満点の回答だが、箱根の1区や2区といえば、各大学の主力級が集まる花形の区間。そこを気負わず、さらりと志願するあたりが髙橋選手ならではと感じた。

川崎監督に「ふてぶてしい」と言われどう感じたのかを聞いてみると、「そのとおりだと思っていますので、嫌ではないです。自分みたいな後輩がいたら自分は嫌です。我は強いし、言いたいこと言うし。」と髙橋選手。そんな彼だからこそ自分にも厳しい。「どんな時でも結果を出さないといけないという気持ちで臨んでいます。きちんとした結果が出ていれば自分の発言に信憑性が増すからです。結果を出すために練習にメリハリをつけ、また身体のメンテナンスは怠りません。」

その言葉通り、大会にコンディションをピタリと合わせてくるのはチーム随一だとコーチは言う。どんなに調子が悪くてもそれを一切見せず、弱音を吐かず、黙々と練習をこなす芯の強さ、そして休息が必要だと感じたら、思うようにいかなくても焦らず、きちんと休むことができる潔さも持ち合わせる髙橋選手。冷静沈着で、自分の状態をきちんと分析しつつ周りをみて動くような面もありながら、自分より強い相手でも引かない負けん気の強さ、失敗を恐れない大胆さも兼ね備えている、それが川崎監督の言う「髙橋のふてぶてしさ」なのではないだろうか。

そんな髙橋選手だが、大会前のゲン担ぎを聞くと「彼女と電話をすることです。彼女に元気をもらっています。」と20歳らしい等身大のはにかんだ笑顔を見せた。

来年の箱根駅伝では、髙橋選手がどんな走りで私たちを魅了してくれるのか、楽しみで仕方がない。
「特別企画:卒業生からのエール」 【2018年10月5日掲載】

MAZDA陸上競技部 新井 翔理 選手(2017年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
私は学生と社会人の違いは立場の違いにあると思います。
学生はお金を保護者に払ってもらう、もしくは自分で払うことで、教育というサービスを受けてきたと思います。お金を払うことで価値を自分のものにしていました。一方で社会人はお金をもらう立場です。給与を受け取り、それ相応の価値を提供する責任がある。この点が違うと思います。
苦労していることは、マツダでの業務と競技活動を両立するにあたり、時間のゆとりがないことです。
タイトなスケジュールで働くため、徹底した時間管理が求められる。これが大変です。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
コミュニケーション能力は就職して役に立ったと思います。大学生活では会話をすることで他の人との距離がなくなり、活発な意見交換ができていました。人と楽しく会話できる事。これは就職してからも大切です。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
やはり仲間だけどライバル。全員が敵に見えることもありました。(笑)

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
中央学院大学駅伝部のホームページを見ました。中堅層の部員のタイムが確実に上がっていてチーム力が増していると感じます。主力の選手は良い刺激をもらって、5年連続シード権獲得とともに、一生の誇りに思える大学4年間にしてもらいたです。今の部員なら何か起こしてくれると信じています。頑張ってください。

5.今後の選手としての目標
ニューイヤー駅伝区間賞獲得、日本選手権5000mメダル獲得を最終目標としています。1年目の目標としては、ニューイヤー駅伝で区間8位以内、自己記録のタイムからは5000m5秒、10000m30秒短縮です。

FUJITSU陸上競技部 大森 澪 選手(2017年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
私が思う学生と社会人の違いは、責任です。学生の頃は、授業を欠席、遅刻などしても全て自己責任ですが、社会人の場合は、上司や同僚、場合によっては会社にまで影響があるので、学生の時以上に自分の行動には責任を持って過ごしています。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
職場では、自分の意見やスピーチなど人前で発表する場が多くあるのですが、学生の頃から同じような事を駅伝部で行っていたので、良かったと思っています。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
3年生の時に「つけ麺」を1.2㎏食べて体調を崩し、練習がまともに出来ませんでした。ですが原因は監督に言えませんでした。

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
私が4年生の時はチームの揚げていた目標に届かず、チームを引っ張っていた立場として申し訳なく、本当に悔しい思いをしました。後輩たちにはそのような思いをしないよう、目標を達成するために今やるべき事を明確に見極めて頑張って行ってほしいと思います。

5.今後の選手としての目標
私の目標はマラソンでオリンピックに出場する事です。この目標は私が陸上を始めた頃からの目標でした。中学校の頃はただオリンピックに出たいと思っていただけでしたが、今はやるべき事が具体的に少しずつ見えてきているので、まだまだ道は遠いですが、必ず達成します!

黒崎播磨陸上競技部 細谷 恭平 選手(2017年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
学生と社会人では、金銭に対する考えと自己の行動に対する責任が違うと思う。まず金銭面に関しては、税金や光熱費、奨学金の返済など、今まで見えていなかった支出が生まれるため、自分の収入の中でしっかりとお金を管理する必要がある。次に責任に関しては、学生であれば授業に遅れた場合でも全て自己の責任ですむ。それに比べ社会人は会社を背負っているため、会社の信用問題に関わってくる。そのため、自分のためではなく、会社の利益のための行動が必要になる。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
部活動を通して培った忍耐力、礼儀や言葉遣い、また感謝を忘れないこと。特に社交性に関してはとても役に立っている。コミュ二ケ―ション能力が高ければ、さまざまな考え方を持った人と触れ合い、見識が広がり、それは自己の成長につながると思う。また大学時代に、もっとパソコンの知識を深めておけば良かったと思う。

3.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
「各目標から逆算してプランを立てる」「物事の優先順位を考える」「頑張ることも大事だが故障には気をつける」
大会の結果や合宿の様子などいつも楽しく見させていただいています。箱根駅伝ではチ―ム目標を達成できるように頑張ってください。中央学院駅伝部OBとして心より応援しております。

4.今後の選手としての目標
将来的にはマラソンで世界選手権やオリンピックなどで活躍できる選手になりたいです。まずは元日に行われる二ューイヤ―駅伝でチ―ム目標達成に少しでも貢献できるよう日々トレ―ニングに励んでいます。
駅伝部夏合宿 長野県黒姫高原「黒姫の地で〝新芽〟が光る」【2018年10月3日掲載】
前回の箱根駅伝で10位を確保し、大学史上初となる4年連続シード権獲得を成し遂げた本学駅伝部。今年も毎年恒例の黒姫全体合宿(長野県)を8月6日から13日までの日程で敢行し、26人の選手が秋の駅伝シーズンに向けて走り込みを消化した。
黒姫での合宿は20年以上も前から実施されており、8月下旬からの選抜合宿(長野県・菅平、山形県・蔵王)へ向けての下地作りを目的としている。30㎞などの距離走で脚を作り、各区間が20㎞前後となる箱根駅伝に向けて、安定して走れる底力をじっくりと養成する狙いだ。

今年の前期シーズンは、主力の故障者が相次いだこともあり、関東インカレ(2部)のハーフマラソンでトリプル入賞を達成した昨年のような好成績を挙げられなかった。宮隼主務(4年)もその事実を憂い、「いつも5月の関東インカレが前期のメインになるのですが、今年はケガ人や調子を崩す選手が多く、本来走るべき選手が出場できない事態になりました。」と語った。

しかし、その分収穫もあった。これまで駅伝メンバーに絡んでこなかった中間層のメンバーが台頭し、存在感を発揮してきたのだ。川崎勇二監督も「良かった点は、新しい芽が何人か出てきてくれたこと」と話し、「2年生の石綿(宏人)、3年生の川村(悠登)、このあたりはもう(実戦で使える)目処がついています。1年生も吉田(光汰)が3000m障害で関東インカレ2位に入りましたし、栗原(啓吾)はレースで使える選手だなと思いました」と、具体的な選手名を挙げた。

6月と7月は記録会で好記録が相次ぎ、なかでも川村は出るレースすべてで自己ベストを更新。これまで三大駅伝(出雲、全日本、箱根)への出走経験はないが、5000m14分12秒92、10000m29分20秒49、ハーフ1時間4分42秒まで記録を伸ばし、秋への期待をうかがわせた。
(※川村は9月の日体大長距離競技会10000mで28分39秒39の大学歴代5位の好タイムをマーク)

他にも6月23日の平成国際大記録会では小野一貴、青柳達也、栗原の1年生トリオが10000mを29分台で走破するなど、〝将来のエース候補〟たちが上級生の間に割って入ろうとしている。
「2年生の髙橋(翔也)がリーダーシップを取ってくれているので、1、2年生は良い雰囲気ですね。全日本でも1年生を使うつもりなので、これでシードを取れると箱根に向けて勢いがつくと思います」(川崎監督)
そんな中で迎えた黒姫合宿では、副将の市山翼(4年)、髙橋ら箱根経験者がチームを牽引。市山は下級生の台頭を肌で感じているようで、「僕らもウカウカしていられないですね」と刺激を受けている様子だ。

合宿中の選手のスケジュール

4:45 起床
5:30 練習(4㎞コース×4周or 2.4㎞コース×5~6周/ラスト1周ペースアップ)
7:30 朝食
12:00 昼食
15:00 練習
19:00 夕食
21:30 消
今年のチーム目標は「全日本大学駅伝と箱根駅伝で5位」。この目標について川崎監督は「現時点では限りなく難しい」と辛口評価だが、「故障中の主力4人が戻れば……」と、これまで駅伝で活躍してきた主将の廣 佳樹(4年)、10000mでチーム最速の28分29秒12を誇る横川巧、同じく28分台ランナーの高砂大地、副将・藤田大智(以上3年)の復帰を待ち望んでいた。
この他にも、山下りを得意とする樋口陸(4年)や全日本経験者の福岡海統(4年)と有馬圭哉(3年)も健在で、ここに成長著しい川村や石綿など新勢力が加わる。今季はチームの柱として活躍した市山も「どこの区間を任されても区間5位以内で走りたいですし、できれば(箱根は)もう1度2区を走りたい」と、最後の駅伝シーズンに向けて意気込んでいる。
11月の全日本では3年連続、1月の箱根では5年連続シード権獲得に期待がかかる。川崎監督の指揮のもと、今年も〝フラッシュイエロー旋風〟を全国に轟かせてくれるはずだ。

第94回大会コラムメニュー

結束力の強さで箱根に挑む 中央学院大学駅伝部 【2017年12月21日掲載】
「今年のチームの特徴は一言でいうと、仲が良く明るいチームです。これは4年生の影響が大きい。穏やかで後輩の声をきちんと拾うことができる新井が主将で、いつも明るく誰とでもフランクに接することができ、それでいて調子が上がらない後輩にはさり気なく声を掛けることができる大森が副将なので、すごく風通しの良いチーム作りができている。今までで一番選手同士の話し合いを持てているチームです。」と語る川崎勇二監督。

「新井は夏までは本人が不調なこともあり、主将としてなかなかチームをまとめることができなかったが、夏から自分らしく動けるようになり、今は主将としてもしっかり役割を果たしている。調子も上がっていて、4年間で一番いい練習ができている。彼は4年生の中で一番能力は高いと思っているので期待している。大森はチームで一番信頼がある。競り合いに強く気落ちしない選手なので安心できる。」主将、副将への川崎監督の期待は高い。

「今年注目すべき選手は?」という質問に川崎監督はこう答えた。
「2年の藤田と1年の髙橋ですね。箱根はこの二人の選手の働きに左右されると思います。藤田は賢い選手で、自分のことを客観視でき、かつ物怖じしない性格で、きちんと自分の意見を発言できるオールマイティなタイプ。記録はまだないけれど自分が何を求められているのかきちんと把握できるので、期待に応えてくれるだろうという安心感がある。高校時代から西脇工業という強豪校でしっかり揉まれていたため逞しさを備えているのだと思う。

髙橋はいい意味で1年生らしくないふてぶてしさを持っている。キャプテン資質があり野心家なので積極的な走りが期待できる。レースで勝負を仕掛けることができるタイプは今のチームだと大森の他には髙橋です。勝負を仕掛けるというのは勇気がいることなのでそう簡単にできることではないが、それができる髙橋には今後チームの主力として成長してくれることを期待しています。」
選手のことを話すときの川崎監督は、選手を冷静に分析する言葉の中にも温かさがあり表情がやわらかい。

選手にとって監督というと少し近寄りがたい存在なのではないかと思うが、川崎監督と選手にそれは感じない。出張先や移動中でも、選手から相談や報告の電話やメールが毎日届く。実際に取材中にも高砂選手が川崎監督にシューズの相談に来た。監督自身も、選手の性格や状態に合わせて電話とメールを使い分けるなど細やかな気遣いをしているという。こんな部分からも川崎監督の面倒見の良さが垣間見える。

川崎監督の指導方法は自主性を高めることに重点を置いている。
「コミュニケーション能力を身につけるために選手同士での話し合いの時間を多く持たせるようにしています。必ず全員が発言をする、一方的な意見だけにはしない、それぞれの意見を聞き、最後にレポートにしてまとめさせる。それを繰り返すことで、自分の意見が言えなかった学生は自分の意見を言えるようになり、自分の主張ばかりしていた学生は聞くことができるようになり、周りを見て話すことができるようになる。また『何のためにしているのか?』それを自分で考えることで能力が伸びると考えているので、練習でも普段の生活でも、何かを始める前にはその目的やねらいをきちんと伝えることを大切にしている。コミュニケーション能力が身に付き、自分の頭で考えることができるようになれば、社会に適応でき自立ができる。卒業するまでにきちんと自立できるスキルを自分のものにしてほしい。」川崎監督の選手への想いは母親の細やかさと父親の厳しさの両方を兼ね備えているように感じる。

余談ではあるが、先日駅伝部の学生が大学の授業中に気分が悪くなり倒れた。学生課の職員がすぐに教室に向かい対応したのだが、それと同時に出張先から川崎監督から確認の電話があった。現場で対応している職員よりも速く監督のほうが状況を把握していた。教室にいた別の駅伝部の学生がすぐに監督に連絡を取ったのだという。駅伝部の組織力の高さを目の当たりにした出来事だった。
今年の駅伝部はいつにも増して結束力が高い。箱根駅伝でもその結束力でCGU旋風を巻き起こしてくれることに間違いないだろう。正月の箱根駅伝がますます楽しみだ。
タスキの重みを語る 主将 新井 翔理 【2017年11月20日掲載】
「全日本大学駅伝の6位という結果は、シードが取れてよかったというよりチーム目標5位に届かなかったという悔しさのほうが大きいです。特にスピードが必要となる往路(箱根)に不安が残りました。」駅伝部主将 新井 翔理選手(4年)は厳しい表情で語った。

「9月まではチームも自分自身も最悪な状態でした。チームに故障者が多く、まとまりもなく、自分自身も夏は1か月半ほど怪我でほとんど練習に参加できない状況でした。川崎監督にも、この状況では駅伝で結果は残せないと厳しく叱られました。この時期はすごく悩んでいて夜も眠れないほどでした。」新井選手の声は重い。

「この状況を打開するために、まずミーティングを増やしました。それまでは全体ミーティングとして週1回集まる程度でしたが、9月からは「学年ごとのミーティング」、「学年混合の7名ミーティング」、「故障者ミーティング」、「全体ミーティング」と、話し合うメンバーを限定して、種類と回数を増やしました。その結果、話し合いの目的が明確となり、また皆が意見を言いやすくなり、アイディアが活発に出るようになりました。」

「ミーティングを増やしたことで生まれたアイディアが『故障者ボード』です。故障者の氏名、理由、部位、復帰予定をボードに書き、一番目立つ玄関に掛けておくことを始めました。嫌だという声が上がるかと思ったのですが、皆、故障者には頭を悩ませていて、チームが良くなるためならできることは何でもやってみようということで進めることができました。
人間というのは不思議なもので、やはり目立つところに悪いことで自分の名前が載るのは嫌だという心理が働くようで、徐々に故障者が減り、目に見える形で結果を残すことができました。今は自信を持ってチームがまとまっていると言えます。」と嬉しそうに笑顔で話をしてくれた。

新井選手の目指すチームは『風通しの良い、皆が意見を共有できるチーム』。これは一昨年度に卒業した潰滝選手から引き継いだチーム作りだ。こんなところにも駅伝部のつながりを感じる。
「仲の良いメンバーは?」という質問に「えー、誰だろう。本当に誰といても気まずいってことがなくて、楽しいんですよ。誰とでも出かけたりしていて……、んー。」と困った顔で答える新井選手の姿に、人柄の良さとチームの仲の良さを感じる。

新井選手が進学先に本学を選んだ理由は、やはり川崎監督だ。小学校6年生から陸上を続けてきた新井選手だが、高校2年生から故障もあり記録が残せなくなっていた。そんな時に川崎監督が声を掛けてくれたそうだ。自分の走りを一目見ただけでフォームの駄目なところをズバリと指摘し、ここまで自分のことがわかるのかと驚いたという。その後、監督のことを知れば知るほど、監督の芯が通っているところ、言ったことは必ず実現しているところなどに感服し、「この監督の下なら絶対大丈夫」そう思えたのだそうだ。

「入学時の記録は、選手としては決して良い物ではありませんでした。監督の指導にも手探りで付いて行くような状況でしたが、1年生の箱根前の記録会のときに、『新井はこれからだな』と監督が声を掛けてくれました。その言葉がずんと胸に響き、頑張ろうと改めて気持ちが入りました。その後、不思議なくらいに監督の言っている言葉の意味やアドバイスが分かるようになり、フォームの立て直しや補強の仕方もわかるようになりました。それにより故障も少なくなり、結果も残せるようになりました。なので、大学に入ってから駅伝で苦しかったことはありません。」そう自信を持って答える新井選手に川崎監督への信頼の深さが伺える。

「駅伝で受け取るタスキはとても重いんです。タスキがみんなの汗の分どんどんと重くなっていくんです。その重さを感じるとき、『これだけみんな頑張ってきたんだ、自分も頑張ろう。』そう思います。」静かに語る新井選手の言葉は、ずしりと重い。
揺るぎない正義感と責任感 廣 佳樹 【2017年10月26日掲載】
出雲駅伝では4区を任され、区間3位と貢献した廣 佳樹(3年)選手。神奈川大学に追いつき、最後は引き離しての見事な走りだったが、実は最後は意識が朦朧とし腕はしびれ、順位も神奈川大学を引き離したことも分からない状態でのゴールだったそうだ。

「ただ襷を繋ぐことだけを考えていました。軽い脱水症状を引き起こしていたのだと思います。当日は気温が高く向かい風の中での厳しい戦いでしたが、それは誰もが同じです。実力を出し切れなかったので課題が残りました。上級生の自覚と責任をしっかりと持ち、普段の練習も含め、チームに尽くすレースができるよう努力をしたいと思います。」そう語る彼の言葉は責任感に溢れている。

現在は寮長を任され、来年は主将としてチームを引っ張っていくことになる廣選手。落ち着いた言動から長男かと思ったのだが、意外にも末っ子なのだそうだ。
そんな彼にリーダーとしての心構えを尋ねてみた。「リーダーとして心がけていることはまず自分が説得力のある人間になること。そのためには第一に結果が必要になります。大会で結果を残す。練習にしっかりついていき、集団をけん引できるよう声を出す。加えて寮生活のルールも自ら率先してきちんと守る、そういうことが大切だと考え行動しています。」とあまりにも模範的な答えが返ってきた。そこで少し意地悪な質問をしてみた。

寮でルールを守らない選手に注意する際、嫌われるとか関係がこじれる等が心配にならないか?と尋ねたところ、「自分が正しいことを言って嫌われるとか意味が分かりません。そんなことで嫌われるならそれでもいいです。ただ自分は後でいろいろと言われるのが嫌なので、自分が言いたいことを伝えた後で相手の意見を聞く時間は必ず取ります。言いたいことはないのか必ず確認してから話を切り上げるようにしています。なのでトラブルになったことはありません。」正義感と負けん気の強さを見せつつ、誠実さも忘れない廣選手に感服した。

非の打ちどころがない廣選手だが、彼自身は物事を考え過ぎてしまうところが悩みだそうだ。「自分はマイナス思考に陥りがちです。大学に入ったばかりの時は、それまでいい成績を出してきていたという自負もありプライドが高かったと思います。そのため結果が出せずスランプに陥った時、他を寄せ付けず一人の世界に閉じこもりがちでした。実際に同級生たちからもその時は話しかけづらかったと言われました。スランプに陥り抜け出せずに苦しんでいる時、川崎勇二監督に『人生はプラスマイナスゼロだ。いいこともあれば悪いこともある。』そう声を掛けていただき、考え過ぎても良いことは無いのだと気づき、気持ちを切り替えることができました。」

「大森澪(4年)選手の存在も大きいです。明るく、誰とでもフランクに話ができ、練習では自分のペースで突っ走れる思い切りの良さがあります。自分にないものを持っている大森選手は憧れの先輩です。自分も少しずつ結果を出せるようになり、去年から先輩たちと練習を共にすることができるようになったことで、自然とマイナス思考に陥ることもなくなりました。」そう語る廣選手の表情は明るい。
昨年の12月に大森選手を取材した際も、大森選手は1学年上の潰滝選手と塩谷選手への憧れを語ってくれた。先輩の背中を追いかけ成長していく駅伝部の姿を感じさせる言葉だった。

「自分は少しずつですが安定した走りができるようになってきました。ただ廣と言えばこれ、という武器になるものがまだ見つかっていません。武器になるものは練習でつくられると考えます。今年に入ってオフの日も自分の練習をすることにより、ペースを崩すことがなくなりました。それによって先を見据え、自分自身をコントロールできるようになってきました。これからも積極的に練習に取り組み、自分の武器をしっかり身につけたいと思っています。」廣選手の力強い言葉に全日本、箱根への期待が高まる。

第93回大会コラムメニュー

チームへの愛が強さの要 中央学院大学駅伝部 【2016年12月27日掲載】
「今回はケガをしている者も多く、いろいろ頭を悩ませています。」と語る川崎 勇二監督。しかしその表情は決して暗いものではなかった。それは出雲駅伝、全日本大学駅伝で感じた手ごたえによるものだろう。 年間を通して『ミスなく、そつなく』を目標にしてきた駅伝部。その成果が出雲駅伝、全日本大学駅伝の結果に表れた。また、ケガによる主力メンバーの不在が、逆にすべての選手にとって「自分が頑張らなくては」という責任感となり、それぞれが持てる力を出し切ることにつながった。今回の結果は選手一人ひとりに、自分も結果を残せるのだという大きな自信と勇気を生み出した。

自主性を重んじる川崎監督は、箱根駅伝のオーダーも選手たちに決定させるという。前日の夜に、どこの区間は誰が走ったほうがいいのかを部員全員に投票をさせるのだ。学生一人ひとりがチーム全体のことを考えてオーダーを決める。それにより、箱根駅伝に出場する選手は”走りたい区間”ではなく、自分の走りの特長を見極め、”走らなければならない区間”を再認識する。また出場できなかった選手も、自分もチームのメンバーの一員だという自覚を強くする。「この選手のためなら、このチームのためなら協力しよう、自分のできることをやろう」というチーム愛が育つのだ。駅伝は走っている選手だけのものではなく、選手がいかに最適な状況で走れるかを考え、支える駅伝部員全員で創りあげている、つまりチームへの愛が強さの要となる。

前回の箱根駅伝は村上 優輝選手(現主将・4年)が急なケガで出場できなくなり、代わりに海老 澤太(4年)が出場した。村上選手はその時の心境をこう語る。「実際に走れないとわかったときは、ショックが大きくて、素直に心から太を応援することができない状況でした。しかし当日は太の給水を任されて、足が痛かったのですが、俺の分まで頑張ってくれる太に、ベストな状態で太に給水しよう、自分のできることは全力で協力しよう。そうまっすぐに思え、メンバーから外れたことは良かったのだと受け入れることができました。」華やかな舞台の裏に隠されたドラマ。走っている選手の陰でたくさんのドラマが生まれ、それぞれの箱根駅伝がそこにはある。

駅伝部の自由練習を見ていると、皆が和気あいあいと笑顔で練習していることに驚かされる。学年ごとに固まるのでなく、学年が交じり合ってグループができ、本当に楽しそうに練習している。選出された・されていない、そんなこだわりはなく、チーム全体が『中央学院大学駅伝部』としてまとまっている。チーム愛が育っている証なのだと思う。

いよいよ、1月2日、3日は、箱根駅伝。決戦の時だ。チーム愛にあふれた中央学院の快進撃が楽しみだ。
先輩の背中を追い続ける エース大森 澪 【2016年12月9日掲載】
レース中は精悍な顔つきの大森 澪選手(3年)だが、普段は笑顔あふれる好青年である。駅伝部の寮では藤田 大智選手(1年)と同部屋で、そこは1年生部員のたまり場と化している。主将の村上 優輝選手(4年)も、「先輩も後輩も含めて大森のことが苦手な人は誰もいないと思います。とにかく誰とでも仲がいい。」と言うほど。大森選手の人柄の良さが伺えるエピソードだ。

そんな大森選手に、なぜ中央学院大学への入学を決めたのかを聞くと「川崎 勇二監督がいたからです」と即答で返ってきた。「監督は、『自分の下に来れば絶対強くなれる、でも即決せず、いろんなチームを見てから考えなさい、最後に決めるのは自分だよ。』そう声を掛けてくれました。その言葉を聞いて、監督が自分のことを一番に考えてくれていると感じました。入学後も、監督は厳しいときは厳しいですが、良かったときはしっかり褒めてくれます。何より、いつも自分のことを見ていてくれているという安心感があります。」そう語る大森選手の言葉から、川崎監督との揺るぎない絆を感じさせる。

また監督だけでなく、後輩である高砂 大地選手(1年)とも強い絆で結ばれている。二人とも関西大学北陽高校出身で、高校時代は大森選手が高砂選手に走り方を助言していたのだという。高砂選手の最近のめざましい活躍に「悔しいとか危機感があるとかではなく、高砂の活躍が素直に嬉しいです。こんなに強くなったんだなって思って。」と顔をほころばせる大森選手。高砂選手が力を出し切ることができるのは、頼りになる優しい兄貴がいるからだろう。

「今、意識している選手やライバル選手は?」と聞くと、意外な答えが返ってきた。「同学年の選手には負けたくないです。でも一番意識をしているのは、もう卒業してしまいましたが、潰滝さん(本学2016年卒・現富士通)と塩谷さん(本学2016年卒・現SUBARU)です。去年までいつも3人で練習していました。二人に追いつくのがやっとで、いつも背中を追いかけていました。二人とも走りにそれぞれこだわりを持っていて、自分も今、それを意識して練習に臨んでいます。
潰滝さんのすごいところは、どんな時でも『勝ち』にこだわるところです。練習の最後に3人でよく勝負をしたのですが、潰滝さんは絶対に負けませんでした。『勝ち』へのこだわりが潰滝さんの強さなんだと思います。
塩谷さんのすごいところは、周りのペースに流されることなく『自分のペースで走る』ということを一貫していたところです。練習の時、走るペースは決められています。でも、塩谷さんは行けると思った時は、それを無視して自分のペースで走って、調子や出来上がりを確認していました。自分も今は、行けると思った時は、周りのペースに構わず走ったりしています。」
こんな風に駅伝部の伝統は創られ、後輩へと受け継がれていくのだろう。

「将来は実業団に入り、潰滝さん、塩谷さんと肩を並べて、オリンピックを目指したいです。」
そう笑顔で語る大森選手の瞳は、夢と希望に溢れていた。
「全ては陸上(駅伝)のために」 プロ意識をのぞかせる 主将 村上 優輝 【2016年10月31日掲載】
「選手全員が競り負けなかったことが、出雲駅伝4位という結果につながったのだと思います。自分の区間新という結果も、3区大森(3年)が意地を見せ、東洋大学の服部選手と競ったことで、自分もやれる!と燃え、この結果を残せました。」出雲駅伝をそう振り返る村上優輝選手は、主将となり顔つきも凛とし急に大人びた印象を受ける。

「自分の生活の根底には全て陸上(駅伝)があります。日常生活も普段の練習も、全て陸上の結果につながる。川崎勇二監督が普段から話している『ミスなく、そつなく』も同じことだと思います。規則正しい生活を心がけ、手洗い・うがいなどの小さなことを積み上げていく、それが体調管理につながり、結果を出せるようになる。自分の時間を、生活を、いかに陸上に割けるか、それが結果につながるのだと思います。」陸上を基軸にした村上選手の生活にはプロ意識すら感じられる。

そんな村上選手にも、駅伝を続けることが辛い時期があった。「大学に入学するまで、自分は陸上に対して自信がありました。そんなに練習をしなくても結果を残せた。しかし大学に入り練習量が増えると、急に結果を残せなくなりました。体力が無かったこともあって、疲れが溜まり、それによりフォームが崩れ、余計に疲れが残る、そんな悪循環にはまり精神的にもきつくて、もう陸上から離れようと本気で思いました。」 そんな時期が2年続いたという。「支えてくれたのは家族です。家族の支えで少し気持ちが楽になると、だんだんと結果が残せるようになってきました。」家族の温かい言葉で「もう少しだけ続けよう」そう思え、前に進めたのだと言う。

村上選手は主将としてもきめ細やかな気配りを見せる。「今、自分に必要なことは、常に全体を見渡せる視野だと思っています。全体を見ながらも、一人ひとりの選手の精神状態や故障の把握も必要です。特にグループに分かれての合宿中などは、その場にいないメンバーのことも把握するため、密に連絡を取るよう努めています。また全員に伝えるべきことは、理解が一致するよう、かみくだいて短くわかりやすく話すようにしています。2年生は人数も多く統制がとりづらい部分がありますが、そこは廣(2年)が頼りになります。彼は場を読む力にたけ、自分自身のことをしっかりやりながら、周りにもきちんと意見が言えるのですごく頼りにしています。」と笑顔で語る村上選手から、チームのまとまりを感じる。

「全日本大学駅伝のチーム目標はシード権獲得(6位以内)です。個人的には出雲と同じ4位を目指したいです。横川(1年)はマイペースな分自分の走りができるので、駅伝の流れを変える力があります。もし彼が走るようであれば、ぜひ注目してほしいです。」 力強い村上選手の言葉にチームの活躍を期待したい。
「夏の強化合宿」 【2016年10月7日掲載】
2016年夏、駅伝部は長野県・黒姫高原、北海道・士別、山形県・蔵王で強化合宿を行なった。

黒姫の全体合宿では、距離や起伏慣れのため始めは各自のペースでコースジョグを行ない、その後、土台作りとなる距離の練習をする。集団走では各グループで声を掛け合うことで、チーム力も高める。この夏、ひときわ大きな声で練習に励んでいたのが1年生の高砂 大地と2年生の廣 佳樹だ。今年は1、2年生が元気で部を盛り上げている。8人の箱根経験者に下級生の勢いが加わり、箱根への期待が高まる。

全体合宿後には、前期の成績と合宿での練習成果でチーム分けをし、続く北海道/山形県の合宿では2チームに分かれる。全体合宿では距離の走り込みが中心となるが、チーム別合宿にはスピードの練習も加わる。それに気づいて練習についていけるよう自己トレーニングを積めるかどうかが成長の分かれ道だ。ヒントは出すが、すべては伝えない。「自分で考えること」「自分で管理する能力を養うこと」を大切にしている。これが「中央学院流」だ。

第92回大会コラムメニュー

「川崎監督と潰滝選手との出会い」 【2015年12月17日掲載】
「完成品ではなく粗削りな選手に出会ったとき、面白い選手だなとワクワクする。」川崎監督は目を輝かしながらそう語った。今や中央学院のエースとなった潰滝選手は高校時代まさにそんな選手だった。潰滝選手は2011年3000m障害でインターハイ出場を果たしているが、その時の様子は監督の目にはかなり奇異なものに映った。「ウォーミングアップはしない、フォームはめちゃくちゃ、それなのにインターハイに出場する選手がいるんだ、面白い。」それが監督と潰滝選手の出会いだった。

高校時代の潰滝選手は「箱根駅伝」をテレビでも観戦したことがなく、中央学院への入学を決めた高校3年生の冬に初めて「箱根駅伝」を目の当たりにした。その時の感想は「こんな長い距離、走れるのかな…」だった。大学に入学した当初は、かなり練習がキツク感じられ、「いつまで続けられるんだろう」、そんな思いがよぎったという。しかし、自分が日々成長をしていることを感じ、支えてくれている家族や高校の恩師を想い、またチームメイトの明るさに支えられ、めきめきと頭角をあらわしていった。

「自分の成長は川崎監督の教えが全てです。監督が自分を強くしてくれています。」自信を持って答える姿に、川崎監督と選手との絶対的な信頼関係、強い絆が感じられた。
「ダブルエース!潰滝、塩谷が語る」【2015年12月24日掲載】
【1.潰滝が語る】
「今年1年間、皆で刺激し合い成長できるチームを目指してきました。
自分がタイムを出すことで、全体を引っ張りたい。」そう語る潰滝選手は堂々としていて、エースとしてだけでなく主将としての貫録も感じる。

川崎監督は「潰滝はチームの中で一番賢い。私が伝えたいことを理解し、自分のものにできる。日本のトップに立てる選手だ。」と自信を持って言い切った。その言葉に潰滝選手への信頼が表れている。

「駅伝の魅力は、何と言ってもチームで襷をつなぐことにあります。」潰滝選手は語る。チーム力を向上させるため、主将になってから班ごとのミーティングを始めた。「寮生全員集まると56名になります。その中で自分の意見を言うとなるとなかなか大変です。班は一緒に行動することが多く気心が知れているので、悩みも相談しやすいと思うんです。」チームのことを第一に考える潰滝選手の姿があった。チームミーティングは川崎監督の授業がヒントになったという。本学法学部教授でもある川崎監督のゼミでは、少人数のグループで話し合いながら発表するというスタイル。こんなところにも監督の教えは息づいている。

「チーム全体の調子は箱根に向けて上がっています。皆が自分の力を出し切り5強の一角を崩す、その気持ちで箱根に挑みます。」

4年生最後の箱根駅伝となる潰滝選手。個人としては、早めにロングスパートをかけられるようスピードの練習を強化しているという。彼の走りが、チーム全体を引っ張る大切な流れとなるだろう。

【2.塩谷が語る】
「箱根駅伝まで1か月を切って、徐々に調子を上げています。春は故障をしてしまい思うように走れませんでしたが、今は大丈夫、順調です。」緊張した面持ちでそう語る塩谷選手。緊張しながらもひとつひとつの言葉を大切に話す。

全日本大学駅伝では3人を抜き、調子の良さをアピールした塩谷選手だが、「自分では区間賞を狙うつもりでした。でも走った結果、区間賞は甘くないなというのが実感です。」言葉に悔しさが滲む。

川崎監督は塩谷選手に対して「能力が高く自分のペースで走りきることができる一方、お調子者でプライドが高い。おだてると調子に乗りすぎるが、逆に厳しすぎても拗ねる。私もかなり手を焼いているが、自分の能力をコントロールできるようになればもっと伸びる。」とコメントする。言葉は辛辣だが、その中に塩谷選手への期待が感じられる。

4年生最後の箱根駅伝への意気込みを聞くと、「今年は主力という立場で結果を残す、そのために意識を高く持ち1年間を過ごしてきました。3区を任されたら区間賞を取ります。トップに立ち、2位との差を30秒くらいつけたい。自分がなるべく他のメンバーに楽をさせる、そんな走りを目指します。早く箱根で走りたいです。」目を輝やかせて語った。

箱根ではエースの意地を見せ、チームを引っ張ってくれるはずだ。そんな塩谷選手の走りにぜひ注目してほしい。
「強いチームに」 【2015年12月25日掲載】
今年のチームの状態を聞いてみると、川崎監督、潰滝主将、塩谷副将の全員が「チーム全体、順調に底上げできている」と答えた。
ハードな練習にもチーム全体が喰らいついていけるようになり、また個々のタイムも上がっている。日々チームの強さを実感しているようだ。

川崎監督にチームと選手の成長ぶりを尋ねてみた。
「今年も2年生がしっかり力をつけた。特に力をつけたのは新井と大森。
新井は1年の時はフォームがなっていなかったが、今年はだいぶ整ってきた。
大森は潰滝・塩谷についていくぐらいの練習ができるようになった。また気持ちのコントロールが下手で、ひとりで走りきれないところが弱点だったが、だいぶ走れるようになった。
同じく2年の細谷はまだまだ未知数だが、スタートラインに立てば結果を残す実力はある。細谷が走るかどうかでチームの魅力がかなり変わってくる。頭に壁がなく、自分の実力をここまでと決めない選手なので大きく飛躍する要素は十分持っている。
3年の海老澤剛には全幅の信頼を置いている。気落ちせず自分のペースを作れ、本学で唯一、駅伝の走りをできる選手といっても過言ではない。
1年では樋口が面白い。全日本で花の2区を任されても緊張することなく自分を出せるということが証明された。練習でも上のメンバーに喰らいついていくガッツがあり、恐怖心を持たず思い切っていける選手だ。」

箱根での流れ作り、勝負のカギについてはこう語る。
「箱根はコース配置で結果が左右される。潰滝が自らレースを動かし、いい流れを作る。それに大森が乗り、塩谷で順位をあげる。往路でどこまで勝負をかけられるかがカギとなる。
いかにそれぞれが欲張らずに走るか。自分の力通りにやってくれれば、結果は自ずとついてくるだろう。」

今年のチームには手応えを感じている様子だ。
「選手にとって走りたい区間と走らなきゃいけない区間は違う。選手がそれを理解し監督の意思と一致した時、間違いなくチームは強くなる。」

川崎監督の言葉は力強い。箱根路でCGU旋風が巻き起こることを期待したい。
「誰よりも熱い男、陰の立役者 主務 鎌田 龍之介 」 【2016年2月1日掲載】
鎌田主務に今回の箱根駅伝について尋ねると、「今回の箱根では、チームで5位を目指していました。その目標を達成できなかったことは正直言って悔しかったです。」とふり返る。

箱根駅伝での主務の仕事は数えきれない。大会前は各選手のデータ整理、大会申し込み、取材対応、選手のスケジュール管理までおこない、また大会当日はスタートギリギリまで選手について声を掛け、精神面でのサポートをする。それぞれの選手の要望に合わせ荷物を用意し、選手が走り終わったゴールで渡せるよう手配する。常に全体を見ながらも、各個人のサポートも抜かりなくおこなう。
手際よく仕事をこなし、それでいて細やかな気遣いができる人にしか務められない仕事だ。

表舞台に立つことはないけれど、箱根への想いは誰よりも熱い。
「自分が箱根を走れない分、選手に頑張ってもらいたい。気持ちは選手と一緒に箱根を走っている。そう思ってずっとサポートしてきました。

レース前4区新井、5区山本の表情が硬かったので心配していました。不安は的中し、5区を走り終えた山本を見るのは本当に辛かった、掛ける言葉がみつからないとはこういうことを言うのだと思いました。ただそばにいて、大丈夫だから、襷をつないだだけで十分だから、そう繰り返していました。」

しかし、この悪い流れを断ち切って仕切り直すのも主務の役目。箱根を走る選手ひとりひとりにLINEで彼の想いをぶつける。彼の熱すぎるほどの長文のメッセージは、選手ひとりひとりの心に響き、復路での巻き返しにつながったといっても過言ではないだろう。
1区潰滝 大記とにかく前向き。
影の努力者。
2区大森 澪積極的に練習に参加。
上昇志向を持つ。
3区塩谷 桂大裏表がなく、コミュニケーション能力が高い。
目標を持って工夫した練習ができる。
4区新井 翔理目標に向けしっかり努力できる。
きめ細やかな気遣いができる。
5区山本 拓巳練習への意識が高い努力家。
目標となる人物。
6区樋口 陸どんな相手にも果敢に立ち向かう。
レースを楽しめるタイプ。
7区海老澤 太素直。柔軟性を持っている。
一番相談にのっていた選手。
8区細谷 恭平箱根に対する思いが強い。
練習への意識が高い。
9区海老澤 剛限界まで自分を追い込むタイプ。
誰にも真似できない我慢強さを持つ。
10区小川 貴弘メンタルが強く前向き。
内に秘める想いは誰よりも強い。