駅伝部応援コラム

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パラリンピックガイドランナーを務めた駅伝部OB小林光二さんからのメッセージ【2021年12月10日掲載】
駅伝部OBの小林 光二さんは、2021年8月27日、東京2020パラリンピックで陸上競技男子5000m(視覚障害T11)に出場した唐沢 剣也さん(群馬県社会福祉事業団)のガイドランナー(伴走者)を務めました。4000mまでを伴走し、唐沢さんの銀メダル(15分18秒12)獲得に大きく貢献しました。

<小林 光二さんプロフィール>
2011年法学部卒。大学時代は駅伝部に所属、箱根駅伝に4回出場(1年4 区、2 年3 区、3・4 年2区)。卒業後も実業団ランナーとして活躍し、昨年現役を引退。現在はSUBARU陸上部コーチ兼マネージャーとして選手を支えています。

小林光二さん_01

唐沢 剣也さんの銀メダル獲得に貢献した小林 光二さん(左から2番目)
<駅伝部・後輩へのメッセージ>
 私は箱根を走りたくて、中央学院大学に入りました。当時はとにかく練習が厳しくて、「苦しかった」というのが正直な感想です。でも目標に向かって努力すること、苦しい練習を乗り越えたことが今の自分につながっています。4年連続で箱根を走れたことはもちろんですが、苦しい練習も今は「やっていてよかったな」と思える。今に生きる貴重な経験ができ、本当にありがたく思っています。駅伝部の後輩たちにも、頑張れば必ず結果につながると伝えたいです。
 駅伝部だけでなく、後輩の皆さんにも、目標を持ち、それに向かって頑張ってください。何かに夢中になってとことん取り組めるのが学生時代です。後輩たちが誇れる先輩になれるよう、私も頑張ります。

【小林さんインタビュー】

本学卒業後は実業団で競技を続け、昨年現役選手を引退した後もコーチ兼マネージャーとして活躍する小林さん。2020パラリンピックでガイドランナーを務めた経験についてお話しを伺いました。(学報140号にも同文掲載)
<パラリンピックでのガイドランナーを務めて>
 今年3月、唐沢さんの支援団体「からけん会」から、SUBARU陸上競技部にガイドランナーの協力依頼があり、4月に初めて唐沢さんに会いました。一緒に走ってみて、ピッチやストライド、腕振りなど走り方が似ていることから私がガイドランナーを務めることに。それから週1回の練習を重ねてパラリンピック本番に臨んだのです。

小林光二さん_02(紋別合宿)

唐沢さんをガイドする小林さん(左)
 ガイドランナーの役割は選手の目として、ともに走りながら必要な状況を伝えること。レースは生き物ですから、割り込みやぺースの上げ下げなど、わかりやすい言葉で瞬時に状況を伝えることが求められます。唐沢さんは競技歴5年と経験が浅いこともあり、リラックスして走れるよう、また前半は抑えめで力を貯められるような伴走を意識しました。普段から寡黙な唐沢さんですが、レース一週間前からは「早くレースを走りたい」という気持ちが抑えられないようで、伴走を務める私も「これならいける!」と思ったのを覚えています。とはいえもう一人の伴走者に目指していた位置よりも後ろで引き継ぐことになり、最後は祈るような気持ちでした。周りからの期待も大きかったので、銀メダル獲得に貢献できて本当によかったです。

 今回ガイドランナーを務めたことで、障害者スポーツの環境が整っていないこと、自分たちがいかに恵まれているかを実感しました。今後は実業団と障害者スポーツをつなぐような役割も果たせればと思っています。私自身も走力を落とさず、選手に信頼される伴走者をめざします。

小林光二さん_03(紋別合宿最終日)

紋別での夏合宿にて
今回のパラリンピックで唐沢さんが銀メダルを獲ったことで、小林さんもガイドランナーとして一緒に次のパリを目指すことになりました。皆さま引き続き、応援よろしくお願いいたします。
(写真はすべて小林光二さんよりご提供いただきました)
「特別企画:卒業生からのエール」 【2021年11月15日掲載】

Yakult 髙橋 翔也 選手(2020年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
練習の自由度が増したことです。実業団に来て自分で練習を組み立てる機会が増えてやっていることがあっているのか、この練習でいいのかなど難しいところがあります。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
目標の試合から逆算して練習することを心掛けていたので、先を見据えた考え方ができるようになりました。
企業の国際化が進み、外国語の知識が必須になってきているので、もっと語学の勉強をしておくべきだと思いました。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
合宿中の各自ジョグの時にたまに海を眺めながら浜辺を散歩していました。

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
今年の予選会も駐屯地周回の高速レースになると思いますが、去年の雪辱を晴らしてもらいたいです。
本選では学院らしいミスのない駅伝で目標を達成してもらいたいです。

5.今後の選手としての目標
ニューイヤー駅伝で区間賞をとりたいです。

髙橋翔也選手(Yakult)

埼玉医科大学アスリートクラブ 石渡 宏人 選手(2020年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
学生は受動的。社会人は能動的。ここが1番の違いだと思います。学生の時は授業でも部活でも与えられたことをこなすだけでした。しかし社会人になると仕事も練習も与えられたことだけをやっていては集団の足を引っ張ることになるので自ら行動しなければなりません。
社会人は学生の時よりも覚えることが多く仕事のストレスをためすぎないように気をつけています。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
部活を4年間続けたことです。陸上競技を続けるだけで忍耐強くなったと思います。多少のストレスは笑って流せます。
敬語の勉強をしておけばよかったと思います。敬語がきちんと使える人はそれだけで仕事ができるように見えます。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
毎日コーラかエナジードリンクを飲まなければ頑張れなかったこと。

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
去年の箱根予選会のリベンジを!チーム一丸となって頑張ってください。
自分たちで立てた目標を達成できることを期待しています。

5.今後の選手としての目標
10000m 日本選手権出場。現役の間はニューイヤー駅伝毎年出場。

石渡宏人(埼玉医科大学アスリートクラブ)

埼玉医科大学アスリートクラブ 畝 歩夢 選手(2020年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
競技に対する責任です。学生のときは結果に関しては自己責任でしたが、社会人では給料をいただいて競技させていただいてる身なので結果にこだわらなくてはいけないことだと思います。
大変なことは、仕事と競技の両立です。学生のときに楽をしていた分、両立は思っていたよりハードで、中々練習に身が入らないことがあります。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
挨拶だと思います。学生時代から『挨拶は相手に聞こえるように』と言われてきました。就職してからも良い挨拶をすると褒められましたし、人間関係を作る上で大切なことなので、ちゃんと教えてもらえてよかったと思います。
また、アルバイトの経験をしたことがなかったので、もっと社会経験しておけばよかったなと思いました。

3.後輩へのエール
今年のチームは、5000m・10000mのタイムも上がり、全日本予選もアクシンデントのある中でも突破し、強いチームになっていると思います。昨年の箱根予選会の悔しさを忘れず、箱根予選会、全日本大学駅伝、箱根駅伝で悔しさを晴らして悔いなく卒業してほしいと思います。かっこいい姿見れるの楽しみにしてます!

4.今後の選手としての目標
今後の目標は、まずは2年連続のニューイヤー駅伝の出場です。東日本実業団駅伝でチームに貢献できるように頑張りたいと思います。
また、マラソンでサブテンを達成することです!

畝歩夢選手(埼玉医科大学アスリートクラブ)


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「特別企画:卒業生からのエール」 【2020年10月28日掲載】

日立物流陸上部 川村 悠登 選手(2019年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
練習メニューの質が大きく変わり、先輩たちについて行くのが大変です。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
練習を継続するために怪我をしないように空き時間を活用し、体のケアを疎かにしないように心掛けています。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
合宿や遠征に向かう道中の飛行機や新幹線で川崎監督の隣の席にならないように祈りながらチケットを受け取っていました。

4.後輩へのエール
ケガをしない。これに尽きます。

5.今後の選手としての目標
日の丸の付いたユニフォームを着てレースを走ることです。

川村悠登選手(日立物流陸上部)

MAZDA陸上競技部 有馬 圭哉 選手(2019年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
大学4年という期間で、課題を与えられ続けてきました。社会人ではこれが無期限となり、課題も自分で設定して、それに向かって今日何をすべきか考え、行動に移していきます。これが簡単なようで難しいと痛感しています。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
日頃から、物事を長期的な視点で考えることを意識していたことは、社会人になっても役立っています。また、水平的に考える力を養っておけばよかったと思います。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
2年の時に同部屋だった後輩の洗濯物が、たまに臭かった。

4.後輩へのエール
皆さんのご活躍を期待しています。特に4年生は後悔がないように頑張ってください。

5.今後の選手としての目標
いずれはマラソンで活躍し、多くの方を勇気づける走りができるように精進していきます。

有馬圭哉選手(MAZDA陸上競技部)

埼玉医科大学アスリートクラブ 長山 瑞希 選手(2019年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
シンプルに仕事に苦労しています。慣れていない業務を覚えるのは難しく、大学の授業と違って自分のためにではなく職場のために働くので責任も伴います。競技者ではありますが、1人の職員として自覚が必要になってくると思います。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
相手に伝わる挨拶をすることです。挨拶は基本で、上司に認識をしていただき話をさせていただくきっかけにもなるので、大学生のときから継続して積極的に行っています。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
川崎監督は怖くて厳しい監督に見えますが、本当は優しくお父さんみたいな存在です。

4.後輩へのエール
僕らが見てきた代には才能ある選手がたくさんいましたし、新1年生も力があると聞いています。何より気持ちが強い選手ばかりです。これからも我が子のように応援しています。

5.今後の選手としての目標
ニューイヤー駅伝出場です。埼玉医科大ではまだ出場したことがないので、ニューイヤー駅伝初出場への立役者になれるよう頑張ります。

長山瑞希選手(埼玉医科大学アスリートクラブ)

JR東日本ランニングチーム 横川 巧 選手(2019年度卒業)
 

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
一番大きな違いは会社を背負っているという責任感の違いです。
社会人として競技を行うことは、学生時代よりも挑戦するというさらに高い意識が必要です。苦手分野であったとしても挑戦し、失敗してもまた挑戦する気概が求められます。
苦労している事は、昔からそうですが環境の変化に対応するのに時間がかかるため、会社やチームに馴染むことに時間がかかりました。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
読書を通じて共通の話題作りやコミュニケーション能力が身に付きました。
社会人になると幅広い年齢層の方々や職種の違う方々とも関わりますが、読書で得た知識や話題から、コミュニケーションを図る事ができました。また、長期で故障をしていて苦しいときに、励みとなる言葉に出会えました。そのおかげで、忍耐力がつき、どんな時も諦めずに競技と向き合うことにより道が開けました。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
日々の苦しい練習や寮生活に耐える事が辛くなり、家出を試みましたが、布団が恋しくなったため何事もなかったように帰寮したことがあります。

4.後輩へのエール
これまで支えてくれたスタッフや家族に感謝を忘れることなく、自らの限界に挑戦してください。真剣に向き合い、苦しみながらも頑張ったことはいつまでも自分の中に残ります。

5.今後の選手としての目標
5000m12分台。日本記録を更新し世界を舞台に戦う選手となる決意です。
私の走りで多くの人々に感動を与え、笑顔になっていただけるように邁進します。

横川巧選手(JR東日本ランニングチーム)


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「それぞれが目指す箱根駅伝 川村悠登・杉山拓郎・赤井竜生」【2019年12月23日掲載】
今回は本学の付属高校である中央学院高校陸上競技部から中央学院大学駅伝部に入部した、川村 悠登選手(4年)、杉山 拓郎選手(4年)、赤井 竜生マネージャー(4年)に話を聞いた。

同じ高校から駅伝部に入部した3名だが、卒業を控えた今、最後の箱根駅伝に向けそれぞれの強い思いがある。

左から赤井くん、杉山くん、川村くん1

左から、赤井 竜生マネージャー(4年)、杉山 拓郎選手(4年)、川村 悠登選手(4年)
前回の箱根駅伝で1区に起用された川村選手は、今大会も活躍が期待される選手だ。彼は箱根駅伝に向けての意気込みをこう語る。
「自分は4年生でチームの主力でもあるので、常にチームを引っ張っていく存在でなければならないと思っています。合宿でも普段の練習でも質の高い練習を心がけています。自分はしゃべりがうまくないので、結果を残して、皆を背中で引っ張っていければと思っています。箱根は1区を走りたいという気持ちはもちろんありますが、どの区間でも安心して任せてもらえるよう準備はしています。」
こう語る川村選手は、さすがチームの主軸と思わせる自信に満ち溢れていた。

川村選手

川村 悠登選手(4年)

杉山選手

杉山 拓郎選手(4年)
4年間選手として走り続けている杉山選手。箱根駅伝ではエントリーに漏れ、胸中は悔しい思いもあるだろうが、自身の箱根駅伝への思いを静かに語った。

「自分は箱根のエントリーメンバーから外れてしまいました。だからこそ練習は自分がひっぱると思って臨んでいます。今の時期はレースも少なく、どの選手もモチベーションを保つのが難しくなります。そんな時期だからこそ、エントリーメンバーではない自分たちがしっかり練習をして、チーム全体の雰囲気を良くしていくことが大切です。それがエントリーされた選手たちに刺激を与え、箱根の結果につながっていくと思っています。」

普段からストイックに練習を重ね、真の努力家だと評される杉山選手だからこそ、当たり前のことを一つずつこなしていくという川崎監督の「ミスなく、そつなく」と通じる思いが自然と言葉になるのだろう。
今年2月からマネージャーを任されている赤井 竜生さん。彼はマネージャーという立場から、箱根駅伝への思いを語ってくれた。

「川崎監督からマネージャーをやってみないかと言われた時は、正直ショックでしばらく実家に帰ったほどでした。悠登(川村選手)と拓郎(杉山選手)と3人で選手として駅伝部を卒業したいと思っていたので、もう駅伝部は続けられないと思いました。
でも、監督に「お前はチーム全体を見ることができるし面倒見も良い。チームに必要な存在だ。だから残ってもらえないか。」と言われ、チームのために自分にできることが何かあるなら、それを頑張りたいと思って引き受けました。
マネージャーになってからは、自分は常に全体を見るということを意識しています。調子が優れない選手はいないか、モチベーションが下がっている選手はいないか、走りだけでなく、表情や言葉などから少しの変化も見逃さないよう、注意して見守っています。そして、一人ひとりに普段から声を掛け、相談しやすい環境づくりに努めています。今はマネージャーを引き受けて良かったと思っています。」

にこやかな笑顔を絶やさず語る赤井マネージャー。「いつでもきめ細やかにみんなのことを見守ってくれるので、竜生(赤井マネージャー)はチームのお母さん的存在なんです。」という川村選手の言葉にもうなずける。

赤井マネージャー

赤井 竜生マネージャー(4年)
高校時代からずっと陸上・駅伝を通して切磋琢磨してきた3人。高校時代は中央学院高校の陸上部として毎年実際に箱根に足を運び、大学駅伝部を応援してきた。「高校時代に箱根駅伝を応援しているときは、もうただただ『すげぇ』の一言でした。まさか自分たちが中央学院大学の駅伝部として応援される立場になるとは思ってもいなかったです。」と声をそろえて話していた。

取材の始めは3人とも少し緊張した様子だった。そんな中、誰かが緊張から言葉に詰まったときには自然と別の誰かが言葉を繋ぐなど、うまくアシストする場面が何度も見られた。また場が和んでくると、杉山選手がなかなか記録を更新することができないことに悩み、2人に「駅伝部をやめようかな・・・」と相談した際、川村選手がまるで自分のことのように涙したという、普段は見せない川村選手の友人思いのアツいエピソードも聞くことができた。後半は、笑い声が絶えず、3人が本当に強い絆で結ばれているのだなということを実感できた。これは3人だけの絆ではなく、駅伝部全体が信頼しあい、思いあっていることの表れなのだろう。
この絆の強さが箱根駅伝での強さにつながる。1月2日、3日の箱根駅伝がますます楽しみだ。

左から赤井くん、杉山くん、川村くん2

左から杉山くん、赤井くん、川村くん

「特別企画:卒業生からのエール」 【2019年11月15日掲載】

MAZDA陸上競技部 廣 佳樹 選手(2018年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
学生の場合は陸上競技が部活動として学業の一部でしたが、社会人の場合、それが仕事の一部になります。その為、陸上競技で生計を立てるといっても過言ではありません。違いとしては、総じて責任や役割といったものがより顕著になったように感じます。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
学生時代に続けていて良かったことは陸上競技は勿論ですが、私は教職課程だと思います。4年間の学びや実習を通して表現力や常識、感性といった社会人としての基盤を築くことができたと今まさに実感しています。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
1年生の時はほぼ毎試合ごとに帰ってから寮の布団で泣いていました(笑)

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
私の4年目は個人的に1年を通して悔いの残る年でした。あくまで一般的にですが、大学生としての競技人生は一度きりです。陸上だけでなく、学生のうちにしかできないことに一生懸命取り組み、結果以上に、「あの時もっと…」と悔いることなく終えてほしいと思います。微力ながら応援しています。

5.今後の選手としての目標
日本のトップレベルの選手と肩を並べて戦うことです。それに加えて、漠然としてはいますが走ることを通してたくさんの方々に恩返しをすることです。

卒業生(廣佳樹選手)

埼玉医科大学アスリートクラブ 福岡 海統 選手(2018年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
学生と社会人の違いとしては、お金を払う立場から貰う立場になり、貰った給料の中で生活する必要があるので、お金の管理の面で学生の頃より考えて生活するようになりました。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
普段から窓口での業務が多いですが、学生時代に連続補強をしていたお蔭で立ちっぱなし業務をしていてもあまり疲れることがありません。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
お昼にうどんを食べ過ぎてしまい夕飯が殆ど食べられなかった事があり、今でも寮母さんに申し訳ないと思っています。

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
大学4年間はあっという間です。がむしゃらに突き進むのも良いと思いますが、何か目標や夢があるのであれば4年間で1年毎に計算し、筋道を立てて生活するのもアリかと思います。
今の中央学院はポテンシャルが非常に高い選手が揃っているので、チームが1つに纏まれば箱根駅伝で優秀な成績を残せると思います。

5.今後の選手としての目標
早く調子を戻していつもの走りができるように努力します。

卒業生(福岡海統選手)

NDソフトAC 光武 洋 選手(2018年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
学生は授業や陸上に関してどちらかというと指示されて受け身でやらされることが多いと思います。ですが、社会人は今何をすべきか、何が必要かを自分で考えて行わなければなりません。
また社会人は、一つのミスでお客様に損害を与えてしまい、それによって信用を失うこともあるので、大きな責任がかかってきます。そこが大きな違いと感じます。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
駅伝部では時間や約束事を守る事に対して厳しく指導を受けていたので、社会に出てから役立っています。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
今でも言えないエピソードは沢山あります(笑)

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
目先の事だけで判断せず、長期的な目標に向かって今何すべきかを考えて頑張ってください。
私が在籍した4年間は箱根駅伝でチーム目標を達成することができなかったので、来年こそはチーム目標達成してくれる事を期待しています。

5.今後の選手としての目標
日本選手権で入賞する事を目標にしています。現段階では程遠いですが、諦めず何が必要かを考えてやっていきたいと思っています。

卒業生(光武洋選手)

大塚製薬陸上競技部 森田 智哉 選手(2018年度卒業)
 

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
社会人では学生以上に結果が求められる面が大きいと感じます。学生もそうですが、どんな状態であっても結果を出せるノウハウを身に付けておかないとより苦労するのは社会人だと思います。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
生活面では、挨拶や言葉遣い、時間を守る事など基本的なことですが、社会人にとって必要不可欠な要素を駅伝部の活動の中で培われていたのかなと感じます。
競技面では、闇雲にトレーニングをするのではなく、自分にとってより正しい効果を得られる様な取り組みを、時間を掛けてもっと深く追求する事が必要だったのではないかと感じました。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
4年目に寮の浴槽の蓋の一部を割りました・・・。

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
悔いの残らないように、時間を有効活用してください。

5.今後の選手としての目標
マラソンで結果を残すことです。

卒業生(森田智哉選手)

サンベルクス陸上部 山本 大貴 選手(2018年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
与えられたことを時間内に終わらせることです。実際に仕事では、この時間までにここまで終わらせるように言われますが、時には1人で何人分もの作業をやらなければいけないことも出てきます。やらなければ会社の利益に関わるので、大変なこともあります。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
困難を乗り越えることです。仕事では毎日予想外のことが起きたり、辛いこともたくさんあります。しかし、大学時代の部活動のことを思えば、これぐらいならまだキツくないと思えるようになりました。

3.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
後輩達の頑張りを見るととても嬉しいですし、刺激にもなります。チームで掲げた目標に向かって、走る選手、サポートに回る部員全員で頑張って欲しいです。

4.今後の選手としての目標
今後の目標としては、まずはニューイヤー駅伝を走ること、マラソンで国内のトップレベルの選手と競え合えるようになることです。

卒業生(山本大貴選手)

埼玉医科大学アスリートクラブ 市山 翼 選手(2018年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
陸上競技と仕事の両立に苦労しています。
私が所属している実業団では陸上の練習と業務の時間が半分半分となっていて、仕事を覚えたい気持ちともっと練習したいという気持ちがあります。出来るだけ時間を上手く使い、両立を図っていますが二つの事をやり切る事はなかなか難しいと感じています。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは? またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
感謝する気持ちを忘れない事は大切だと感じています。大学時代も自分一人の力で走っていたわけではなく、多くの人の支えがあったからこそ選手として成長し、大学駅伝にも出させていただくことができました。「感謝する気持ちや謙虚な心を持つ事の大切さ」を就職して身に染みて感じています。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
コーラを1日500ml以上はほぼ毎日飲んでいました。今も飲み続けています。

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
しっかり後悔なくやり切ったと思える努力を今からでも行い、力と自信をつけて目標達成の為にチーム一丸となって頑張ってください。

5.今後の選手としての目標
勝負に勝つ力と安定感を手に入れ、多くの選手の目標や憧れになる選手になりたいと思います。

卒業生(市山翼選手)

「今季の期待の星 長山瑞季」【2019年11月1日掲載】
 昨年の秋より頭角を現し、前回の箱根駅伝では出場メンバーにエントリーされたものの、紙一重で走ることができなかった長山瑞季(4年)。しかし、6月におこなわれた全日本大学駅伝予選会では3組3着と好成績を残し、全日本大学駅伝出場決定の立役者となった。今季一番期待されている選手だ。

 長山選手は、高校時代は2度の全国大会に出場し、1年生での箱根の起用もあるのではと期待されて本学に入学した。しかし、大学入学後なかなか新しい環境になじめず、思うような結果が出せない中、ケガも続き練習ができない毎日が続いた。ひどい時には陸上の初心者と変わらないような結果を出してしまう、そんな苦しい1,2年生の時、支えてくれたのは家族の存在だ。どんなに結果が出せなくても、自宅からどんなに遠い大会でも必ず家族が応援に来てくれた。

出雲駅伝6区長山選手

写真協力:@pctril_alife さん
「今の状態だといい走りはできないから、今回は応援に来なくていいからと、そう何度も断りました。でも必ず見に来てくれました。恥ずかしい話ですが、結果が出せないことが苦しくて悔しくて何度も辞めようと思いました。家族にも辞めたいと相談したことがあります。その時に、瑞季がもう後悔しないくらいやり切ったと思うならやめてもいいよ、自分でもう一度考えてみなさい、そう言われました。その言葉を聞いたとき、まだ陸上で結果を出していない高校1年のころから声を掛けてくれ期待してくれた監督、コーチに結果で恩返しがしたい、どんなときでも支えてくれる家族の期待に応えたい、その一心で頑張ってきました。今、陸上をつづけていられるのも家族のおかげです。特に母はいつでも自分の味方でいてくれました。すごく感謝しています。」家族への感謝の気持ちを素直に口にできる長山選手は本当に家族から愛され、大切に育てられてきたのだなと感じた。
 精神面で長山選手を支えているのが母ならば、技術面でサポートしているのは1つ上の兄であろう。中学の時はずっとサッカー漬けの毎日だった長山選手が陸上を始めたのは1つ上の兄の存在が大きい。漠然と高校に入学後もこのままサッカーを続けていくのだろうなと思っていた長山選手だったが、兄が高校で陸上をはじめると、兄には負けたくないという気持ちが湧き同じ那須拓陽高校へ進学し陸上の道へ進む。ずっと同じ道を進んできた兄弟は大学で目指す道が変わる。兄はトレーナーを目指し、長山選手は陸上の選手としての道を選択する。大学で結果が出せずに悩んでいる長山選手に対し、トレーナーの勉強をしている兄は、記録会や大会後は電話をくれ、ビデオでフォームチェックしてくれたり、効果的な筋力トレーニングの方法をアドバイスしてくれたりと親身になって相談に乗ってくれた。高校時代までは一番身近な、そして一番負けたくないライバルとしての存在だった兄は、今ではどんなことでも相談できる一番信頼できるパートナーとなった。

出雲駅伝5-6区襷リレー

 長山選手がスランプを抜け出したきっかけは、箱根の山のスペシャリストであるOBの細谷恭平の言葉にあった。調子を取り戻すためにはしっかり休養を取ることが大切だと考え、練習がオフの月曜日はゆっくり身体を休めて、翌日以降の練習に臨む。しかし、疲れがまだ残っていて身体が重い。そんな状況が3年生の夏まで続いた。何がいけないのかわからない、どうしていいのかわからない、そんな時に細谷選手がよく周りに言っていたという言葉を思い出した。「どんなに疲れていても、どんなに調子が悪くても、ほんの少しでもいいから、毎日走る。完全に身体を休める日は作らないほうがいい」という言葉だ。初めは半信半疑だった。疲れを取るには休んだ方がいいに決まっている、そんな先入観もあったが、月曜日を完全オフにするのをやめ、自分の体調と相談しながら練習を組み込んでみると、驚くことが起きた。火曜日も身体が軽いのだ。身体がちゃんと起きていて火曜日から身体が動く。身体が動くようになると結果もついてくる。細谷選手の言葉に救われたのだ。
 練習ができず結果も出ずの苦しい2年間も、彼にとっては無駄ではなかったとコーチは語る。「走れなかった2年間で基礎体力がつき、走りのフォームも上半身のブレがなくなり部内で1位、2位を争うほど整ったフォームになった。そこに月曜日での自主練習が加わり、練習量も追いついてきて結果が出るようになった。これが本来の長山の姿だ。長山はまだまだ伸びしろがある。実業団に行っても成長し続けるのではないか。」コーチにこうまで言わせる長山選手。出雲駅伝では初めての三大駅伝に出場ということで冷静なレース展開ができず、不本意な結果となってしまったが、同じ轍を踏むことはない。全日本大学駅伝ではどんな長山選手らしい走りをみせてくれるのだろうか。長山選手の活躍に期待が高まる。

駅伝部4年長山瑞季

駅伝部夏合宿 長野県菅平高原「菅平の地で例年以上の走り込みを実施」【2019年10月2日掲載】
 前回の箱根駅伝で10位を死守し、5年連続のシード権獲得となった本学駅伝部。今年は毎年恒例の夏季全体合宿を、同じ長野県内の黒姫高原から菅平高原へと場所を移し、8月6日から13日までの日程で実施した。
 この全体合宿は、8月下旬から始まる選抜合宿(北海道・士別)へ向けての下地作りを目的とし、激しい起伏を利用しての距離走などを主な練習としている。箱根駅伝では各区間の距離が20kmを超えるため、安定して長い距離を走るための脚力を養成するのが狙いだ。
 今年の前期シーズンは、5月の関東インカレ(2部)で吉田光汰(2年)が3000m障害で優勝を果たす大きなトピックスがあったものの、4~5月は故障者が相次ぎ、6月の全日本大学駅伝関東地区選考会では通過ギリギリの総合5位。7年連続の伊勢路行きは決めたものの、チーム全体としては納得のいく結果が得られなかった。

吉田・髙橋・川村

有馬・川村

 ただし、その全日本選考会では三大駅伝未経験の長山瑞季(4年)が3組3着、青柳達也(2年)が1組3着と好走するなど、新戦力の台頭という意味では収穫があった。6月以降は故障者も減り、7月には多くの選手がトラックで自己記録を更新。「良い雰囲気のまま夏合宿に突入できた」と有馬圭哉主将(4年)は振り返る。
 菅平での夏合宿では、質よりも〝量〟を重視。一日の走行距離は50kmを超えることが多く、週平均では300kmを走破。これには有馬主将も「これまでの合宿で一番キツイかもしれない」と本音を漏らすほどだ。
「とにかくウチは長い距離に弱い。最近は5000mや10000mのタイムは上がっているのですが、ハーフの記録は低迷しているのが現状です。箱根駅伝でも15km以降の失速が目立ちましたので、例年よりペースを落として距離を若干増やしています」と、川崎勇二監督は話す。
 合宿中に元気な姿を見せていたのが、正月の箱根駅伝で1区、2区を担い、いまやエース級へと成長した川村悠登(4年)と髙橋翔也(3年)の2人だ。ともにトラックシーズンでは納得のいく成績を挙げられなかったが、10000m28分台の実力者らしく、順調に練習を牽引している
「今年は全日本予選があったので、4月から10000mに絞ってきました。関東インカレも途中までは順調に調整できていたのですが、1週間前にインフルエンザを発症してしまい、そこから大きく歯車が狂ってしまいました。その後の全日本予選も最低限の走り(2組4着)しかできませんでしたが、7月以降は本調子に近いレベルで走り込みができています」(髙橋)

川村、髙橋

給水

 距離が増えたことによって1年生には過酷な合宿となったが、それでも4名のルーキー(小島慎也、川田啓仁、米山奏楽、武川流以名)が全日程を消化。なかでも10000m29分09秒34を持つ小島と川田は長い距離への適性を見せ、「駅伝でも期待できる」と指揮官からの評価も高い。
最終日前日に行われた43km走でもAチームとBチームに分かれ、多くの選手が集団のまま完走。特に1年時から主力として活躍しながら、長らく戦列から離れていた藤田大智(4年)が、Bチームで元気な走りを見せていたのが印象的だった。
「今年から菅平に全体合宿の場所が変わって〝量〟が増えたのですが、上級生は昨年までの積み重ねがあるので、しっかりと練習をこなせています。下級生もこのレベルまできてほしいなと思います」(髙橋)

合宿中の選手のスケジュール

4:45 起床
5:30 練習(集団での20kmクロカン走)
8:00 朝食
12:30 昼食
15:00 練習(30km走など)
19:00 夕食
21:30 消灯

川崎先生

髙橋、畝、栗原、川村

 今季の目標は「全日本大学駅伝と箱根駅伝で3位」。川崎監督は「現状では厳しい」と辛口評価だが、有馬主将は「これからの合宿次第では決して不可能な数字ではない」と力強い。ただし、そのためにはチーム随一のスピードを誇る川村悠登(4年)、髙橋、栗原啓吾(2年)らのほか、さらなる〝エース級〟の台頭が必要になる。ルーキーの小島は早くも「全日本の前半区間の候補」と指揮官は明言し、川田は単独走に強いことから後半区間の候補に挙がっている。上級生では箱根経験者の藤田、有馬、石綿宏人(3年)も健在で、ここに長山、城田航、須永康幸ら駅伝未経験の4年生が食い込んでくると、選手層がグッと引き上がるだろう。
 昨年度も多くの故障者を出しながら、箱根のシード権は死守した。今年度も三大駅伝で〝フラッシュイエロー旋風〟を巻き起こしてくれるはずだ。

2018コラムメニュー

「練習は頭で考え、本番は身体の感覚で走る 有馬圭哉」 【2018年12月25日掲載】
有馬 圭哉選手が初めて川崎監督と出会ったのは、高校2年生の時だ。「まだ自分が大きな結果を出せていない時に声を掛けていただきました。自分のことを最初から見てくれている、分かってくれているという安心感があり、中央学院大学への進学を決めました。また、自分が通っている高校はあまり練習量が多くなかったので身体が出来上がってなく、初めからハードな練習をする大学では身体がついていかず、故障を招くことになると思いました。ずっと陸上を続けていきたいという思いがあったので、監督から練習メニューを聞いて、ここでなら無理なくトレーニングができ、着実に力をつけられると思いました。」迷いのない有馬選手の言葉から、川崎監督への揺るぎない信頼が伺える。

11月の全日本大学駅伝について聞いてみると、「個人としても結果はあまりよくありませんでしたが、自分の中でいろいろなチャレンジをしてみたので、次の走りにつながる気づきが得られました。」すっきりした顔で有馬選手はそう語った。

「自分は淡々と走りを刻むタイプですが、全日本では攻めの走りをしようと思い、初めからスピードを上げ突っ込んでみました。15キロ近くまでは良いペースでレースを進めることができ、よしこれはいける!と思ったのですが、急にラスト2キロ、3キロで足が動かなくなり、スピードがガクッと落ちてしまいました。スタミナ不足、筋力不足を痛感しました。今は自分の身体と相談しながらウエイトトレーニングを増やしています。
また、チームとしても練習距離を30キロからプラス3キロ伸ばしました。距離への抵抗感を無くし、かつラスト3キロをペースアップして競り負けないための練習にしています。その結果、チーム全体の調子も上がっています。」と語る。

「練習の時は様々なことを考えて走ります。練習でいろいろ試しますが、逆に本番では何も考えずに、今までの練習で身体が覚えている感覚で走ります。
普段は身体の声を聞くことを大切にして、その微妙な変化を見逃さず、それに合わせて練習を増やしてみたり、ゆっくりにしてみたりと調整をしています。
監督は自分のことを計算し易い選手だと思っていると思います。監督がだいたいこれぐらいだろうという予想結果を外さないので。」と冷静に自己分析をする有馬選手。

そんな有馬選手のことをコーチはこう評価する。「なぜ今この練習をするのか。その練習の意図を把握し、頭で考えて効率的に実行する。その結果として練習の効果が上がり、かつ身体に無駄な負担がなくなる。有馬はそういう練習ができる選手です。そういう選手は選手寿命も長い。それは川崎監督が理想とするところです。」

有馬選手に対して、クールで一人黙々と練習をこなす一匹狼的なイメージを持つかもしれない。しかし事実は逆だ。駅伝部の寮では、朝から有馬選手の部屋に1年生の栗原選手や加瀬選手など後輩たちがたくさん集まり賑やかだ。普段は穏やかでマイペースだが、会話の中ではここぞという時に兵庫県出身の関西人ならではの鋭い突っ込みを入れる、そんなギャップが受けているようだ。インタビュー中もずっとにこやかで、一生懸命答えてくれた有馬選手。部屋にたくさんの人が集まるのも合点がいく。

川崎監督の理想とする有馬選手が、箱根でどんな走りをみせてくれるのか、期待が膨らむ。
巻き起こせ、CGU旋風!!
「”静”と”動”を兼ね備えた魅力 髙橋翔也」 【2018年12月12日掲載】
1年生の時から、川崎監督に「1年生らしくない、良い意味でふてぶてしい」と評され、本学駅伝部の中で特別な存在感を放っている髙橋翔也選手。実際に彼を目の前にすると、華奢で礼儀正しく、とてもそのような選手には見えない。彼のどこが「ふてぶてしい」のだろう、今回はその謎に迫ってみた。

髙橋選手は4年間、学生3大駅伝(出雲・全日本・箱根)に全て出場するという目標を掲げている。その目標をここまで一つも欠けることなくクリアしていき、来年、2回目の箱根駅伝を迎える。有言実行そのものだ。前回の箱根駅伝では1年生でありながら、4区で本学新記録を叩きだした。4区といえば、細かなアップダウンが続く淡々とした道のりになる。選手もばらけてくるので、一人で黙々と我慢強く走り続けることができる選手でないとこの区間は厳しい。そこを自ら志願したのだ。

1年生での往路志願、大胆とも言えるこの言動の真意を聞いてみると髙橋選手はこう答えた。「4年間、学生3大駅伝に出場するという目標を考えたとき、1年生のうちから往路で走っておきたいと考えました。4区は起伏に対応できれば自分のペースで走ることができます。その点が自分に合っていると考え志願しました。今年はより厳しいと言われる1区か2区を走りたいです。その経験が今後につながると考えています。」先を見据えた100点満点の回答だが、箱根の1区や2区といえば、各大学の主力級が集まる花形の区間。そこを気負わず、さらりと志願するあたりが髙橋選手ならではと感じた。

川崎監督に「ふてぶてしい」と言われどう感じたのかを聞いてみると、「そのとおりだと思っていますので、嫌ではないです。自分みたいな後輩がいたら自分は嫌です。我は強いし、言いたいこと言うし。」と髙橋選手。そんな彼だからこそ自分にも厳しい。「どんな時でも結果を出さないといけないという気持ちで臨んでいます。きちんとした結果が出ていれば自分の発言に信憑性が増すからです。結果を出すために練習にメリハリをつけ、また身体のメンテナンスは怠りません。」

その言葉通り、大会にコンディションをピタリと合わせてくるのはチーム随一だとコーチは言う。どんなに調子が悪くてもそれを一切見せず、弱音を吐かず、黙々と練習をこなす芯の強さ、そして休息が必要だと感じたら、思うようにいかなくても焦らず、きちんと休むことができる潔さも持ち合わせる髙橋選手。冷静沈着で、自分の状態をきちんと分析しつつ周りをみて動くような面もありながら、自分より強い相手でも引かない負けん気の強さ、失敗を恐れない大胆さも兼ね備えている、それが川崎監督の言う「髙橋のふてぶてしさ」なのではないだろうか。

そんな髙橋選手だが、大会前のゲン担ぎを聞くと「彼女と電話をすることです。彼女に元気をもらっています。」と20歳らしい等身大のはにかんだ笑顔を見せた。

来年の箱根駅伝では、髙橋選手がどんな走りで私たちを魅了してくれるのか、楽しみで仕方がない。
「特別企画:卒業生からのエール」 【2018年10月5日掲載】

MAZDA陸上競技部 新井 翔理 選手(2017年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
私は学生と社会人の違いは立場の違いにあると思います。
学生はお金を保護者に払ってもらう、もしくは自分で払うことで、教育というサービスを受けてきたと思います。お金を払うことで価値を自分のものにしていました。一方で社会人はお金をもらう立場です。給与を受け取り、それ相応の価値を提供する責任がある。この点が違うと思います。
苦労していることは、マツダでの業務と競技活動を両立するにあたり、時間のゆとりがないことです。
タイトなスケジュールで働くため、徹底した時間管理が求められる。これが大変です。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
コミュニケーション能力は就職して役に立ったと思います。大学生活では会話をすることで他の人との距離がなくなり、活発な意見交換ができていました。人と楽しく会話できる事。これは就職してからも大切です。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
やはり仲間だけどライバル。全員が敵に見えることもありました。(笑)

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
中央学院大学駅伝部のホームページを見ました。中堅層の部員のタイムが確実に上がっていてチーム力が増していると感じます。主力の選手は良い刺激をもらって、5年連続シード権獲得とともに、一生の誇りに思える大学4年間にしてもらいたです。今の部員なら何か起こしてくれると信じています。頑張ってください。

5.今後の選手としての目標
ニューイヤー駅伝区間賞獲得、日本選手権5000mメダル獲得を最終目標としています。1年目の目標としては、ニューイヤー駅伝で区間8位以内、自己記録のタイムからは5000m5秒、10000m30秒短縮です。

FUJITSU陸上競技部 大森 澪 選手(2017年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
私が思う学生と社会人の違いは、責任です。学生の頃は、授業を欠席、遅刻などしても全て自己責任ですが、社会人の場合は、上司や同僚、場合によっては会社にまで影響があるので、学生の時以上に自分の行動には責任を持って過ごしています。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
職場では、自分の意見やスピーチなど人前で発表する場が多くあるのですが、学生の頃から同じような事を駅伝部で行っていたので、良かったと思っています。

3.学生時代の駅伝部での今だから言えるエピソード
3年生の時に「つけ麺」を1.2㎏食べて体調を崩し、練習がまともに出来ませんでした。ですが原因は監督に言えませんでした。

4.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
私が4年生の時はチームの揚げていた目標に届かず、チームを引っ張っていた立場として申し訳なく、本当に悔しい思いをしました。後輩たちにはそのような思いをしないよう、目標を達成するために今やるべき事を明確に見極めて頑張って行ってほしいと思います。

5.今後の選手としての目標
私の目標はマラソンでオリンピックに出場する事です。この目標は私が陸上を始めた頃からの目標でした。中学校の頃はただオリンピックに出たいと思っていただけでしたが、今はやるべき事が具体的に少しずつ見えてきているので、まだまだ道は遠いですが、必ず達成します!

黒崎播磨陸上競技部 細谷 恭平 選手(2017年度卒業生)

1.学生と社会人との違いは? 大変なこと、苦労していることなどありますか?
学生と社会人では、金銭に対する考えと自己の行動に対する責任が違うと思う。まず金銭面に関しては、税金や光熱費、奨学金の返済など、今まで見えていなかった支出が生まれるため、自分の収入の中でしっかりとお金を管理する必要がある。次に責任に関しては、学生であれば授業に遅れた場合でも全て自己の責任ですむ。それに比べ社会人は会社を背負っているため、会社の信用問題に関わってくる。そのため、自分のためではなく、会社の利益のための行動が必要になる。

2.具体的に大学時代に続けたこと努力したことが就職して役に立ったことは?またこれをしておけばよかったなと思うことはありますか?
部活動を通して培った忍耐力、礼儀や言葉遣い、また感謝を忘れないこと。特に社交性に関してはとても役に立っている。コミュ二ケ―ション能力が高ければ、さまざまな考え方を持った人と触れ合い、見識が広がり、それは自己の成長につながると思う。また大学時代に、もっとパソコンの知識を深めておけば良かったと思う。

3.後輩へのエール、来年の箱根駅伝に期待すること
「各目標から逆算してプランを立てる」「物事の優先順位を考える」「頑張ることも大事だが故障には気をつける」
大会の結果や合宿の様子などいつも楽しく見させていただいています。箱根駅伝ではチ―ム目標を達成できるように頑張ってください。中央学院駅伝部OBとして心より応援しております。

4.今後の選手としての目標
将来的にはマラソンで世界選手権やオリンピックなどで活躍できる選手になりたいです。まずは元日に行われる二ューイヤ―駅伝でチ―ム目標達成に少しでも貢献できるよう日々トレ―ニングに励んでいます。
駅伝部夏合宿 長野県黒姫高原「黒姫の地で〝新芽〟が光る」【2018年10月3日掲載】
前回の箱根駅伝で10位を確保し、大学史上初となる4年連続シード権獲得を成し遂げた本学駅伝部。今年も毎年恒例の黒姫全体合宿(長野県)を8月6日から13日までの日程で敢行し、26人の選手が秋の駅伝シーズンに向けて走り込みを消化した。
黒姫での合宿は20年以上も前から実施されており、8月下旬からの選抜合宿(長野県・菅平、山形県・蔵王)へ向けての下地作りを目的としている。30㎞などの距離走で脚を作り、各区間が20㎞前後となる箱根駅伝に向けて、安定して走れる底力をじっくりと養成する狙いだ。

今年の前期シーズンは、主力の故障者が相次いだこともあり、関東インカレ(2部)のハーフマラソンでトリプル入賞を達成した昨年のような好成績を挙げられなかった。宮隼主務(4年)もその事実を憂い、「いつも5月の関東インカレが前期のメインになるのですが、今年はケガ人や調子を崩す選手が多く、本来走るべき選手が出場できない事態になりました。」と語った。

しかし、その分収穫もあった。これまで駅伝メンバーに絡んでこなかった中間層のメンバーが台頭し、存在感を発揮してきたのだ。川崎勇二監督も「良かった点は、新しい芽が何人か出てきてくれたこと」と話し、「2年生の石綿(宏人)、3年生の川村(悠登)、このあたりはもう(実戦で使える)目処がついています。1年生も吉田(光汰)が3000m障害で関東インカレ2位に入りましたし、栗原(啓吾)はレースで使える選手だなと思いました」と、具体的な選手名を挙げた。

6月と7月は記録会で好記録が相次ぎ、なかでも川村は出るレースすべてで自己ベストを更新。これまで三大駅伝(出雲、全日本、箱根)への出走経験はないが、5000m14分12秒92、10000m29分20秒49、ハーフ1時間4分42秒まで記録を伸ばし、秋への期待をうかがわせた。
(※川村は9月の日体大長距離競技会10000mで28分39秒39の大学歴代5位の好タイムをマーク)

他にも6月23日の平成国際大記録会では小野一貴、青柳達也、栗原の1年生トリオが10000mを29分台で走破するなど、〝将来のエース候補〟たちが上級生の間に割って入ろうとしている。
「2年生の髙橋(翔也)がリーダーシップを取ってくれているので、1、2年生は良い雰囲気ですね。全日本でも1年生を使うつもりなので、これでシードを取れると箱根に向けて勢いがつくと思います」(川崎監督)
そんな中で迎えた黒姫合宿では、副将の市山翼(4年)、髙橋ら箱根経験者がチームを牽引。市山は下級生の台頭を肌で感じているようで、「僕らもウカウカしていられないですね」と刺激を受けている様子だ。

合宿中の選手のスケジュール

4:45 起床
5:30 練習(4㎞コース×4周or 2.4㎞コース×5~6周/ラスト1周ペースアップ)
7:30 朝食
12:00 昼食
15:00 練習
19:00 夕食
21:30 消
今年のチーム目標は「全日本大学駅伝と箱根駅伝で5位」。この目標について川崎監督は「現時点では限りなく難しい」と辛口評価だが、「故障中の主力4人が戻れば……」と、これまで駅伝で活躍してきた主将の廣 佳樹(4年)、10000mでチーム最速の28分29秒12を誇る横川巧、同じく28分台ランナーの高砂大地、副将・藤田大智(以上3年)の復帰を待ち望んでいた。
この他にも、山下りを得意とする樋口陸(4年)や全日本経験者の福岡海統(4年)と有馬圭哉(3年)も健在で、ここに成長著しい川村や石綿など新勢力が加わる。今季はチームの柱として活躍した市山も「どこの区間を任されても区間5位以内で走りたいですし、できれば(箱根は)もう1度2区を走りたい」と、最後の駅伝シーズンに向けて意気込んでいる。
11月の全日本では3年連続、1月の箱根では5年連続シード権獲得に期待がかかる。川崎監督の指揮のもと、今年も〝フラッシュイエロー旋風〟を全国に轟かせてくれるはずだ。

2017コラムメニュー

結束力の強さで箱根に挑む 中央学院大学駅伝部 【2017年12月21日掲載】
「今年のチームの特徴は一言でいうと、仲が良く明るいチームです。これは4年生の影響が大きい。穏やかで後輩の声をきちんと拾うことができる新井が主将で、いつも明るく誰とでもフランクに接することができ、それでいて調子が上がらない後輩にはさり気なく声を掛けることができる大森が副将なので、すごく風通しの良いチーム作りができている。今までで一番選手同士の話し合いを持てているチームです。」と語る川崎勇二監督。

「新井は夏までは本人が不調なこともあり、主将としてなかなかチームをまとめることができなかったが、夏から自分らしく動けるようになり、今は主将としてもしっかり役割を果たしている。調子も上がっていて、4年間で一番いい練習ができている。彼は4年生の中で一番能力は高いと思っているので期待している。大森はチームで一番信頼がある。競り合いに強く気落ちしない選手なので安心できる。」主将、副将への川崎監督の期待は高い。

「今年注目すべき選手は?」という質問に川崎監督はこう答えた。
「2年の藤田と1年の髙橋ですね。箱根はこの二人の選手の働きに左右されると思います。藤田は賢い選手で、自分のことを客観視でき、かつ物怖じしない性格で、きちんと自分の意見を発言できるオールマイティなタイプ。記録はまだないけれど自分が何を求められているのかきちんと把握できるので、期待に応えてくれるだろうという安心感がある。高校時代から西脇工業という強豪校でしっかり揉まれていたため逞しさを備えているのだと思う。

髙橋はいい意味で1年生らしくないふてぶてしさを持っている。キャプテン資質があり野心家なので積極的な走りが期待できる。レースで勝負を仕掛けることができるタイプは今のチームだと大森の他には髙橋です。勝負を仕掛けるというのは勇気がいることなのでそう簡単にできることではないが、それができる髙橋には今後チームの主力として成長してくれることを期待しています。」
選手のことを話すときの川崎監督は、選手を冷静に分析する言葉の中にも温かさがあり表情がやわらかい。

選手にとって監督というと少し近寄りがたい存在なのではないかと思うが、川崎監督と選手にそれは感じない。出張先や移動中でも、選手から相談や報告の電話やメールが毎日届く。実際に取材中にも高砂選手が川崎監督にシューズの相談に来た。監督自身も、選手の性格や状態に合わせて電話とメールを使い分けるなど細やかな気遣いをしているという。こんな部分からも川崎監督の面倒見の良さが垣間見える。

川崎監督の指導方法は自主性を高めることに重点を置いている。
「コミュニケーション能力を身につけるために選手同士での話し合いの時間を多く持たせるようにしています。必ず全員が発言をする、一方的な意見だけにはしない、それぞれの意見を聞き、最後にレポートにしてまとめさせる。それを繰り返すことで、自分の意見が言えなかった学生は自分の意見を言えるようになり、自分の主張ばかりしていた学生は聞くことができるようになり、周りを見て話すことができるようになる。また『何のためにしているのか?』それを自分で考えることで能力が伸びると考えているので、練習でも普段の生活でも、何かを始める前にはその目的やねらいをきちんと伝えることを大切にしている。コミュニケーション能力が身に付き、自分の頭で考えることができるようになれば、社会に適応でき自立ができる。卒業するまでにきちんと自立できるスキルを自分のものにしてほしい。」川崎監督の選手への想いは母親の細やかさと父親の厳しさの両方を兼ね備えているように感じる。

余談ではあるが、先日駅伝部の学生が大学の授業中に気分が悪くなり倒れた。学生課の職員がすぐに教室に向かい対応したのだが、それと同時に出張先から川崎監督から確認の電話があった。現場で対応している職員よりも速く監督のほうが状況を把握していた。教室にいた別の駅伝部の学生がすぐに監督に連絡を取ったのだという。駅伝部の組織力の高さを目の当たりにした出来事だった。
今年の駅伝部はいつにも増して結束力が高い。箱根駅伝でもその結束力でCGU旋風を巻き起こしてくれることに間違いないだろう。正月の箱根駅伝がますます楽しみだ。
タスキの重みを語る 主将 新井 翔理 【2017年11月20日掲載】
「全日本大学駅伝の6位という結果は、シードが取れてよかったというよりチーム目標5位に届かなかったという悔しさのほうが大きいです。特にスピードが必要となる往路(箱根)に不安が残りました。」駅伝部主将 新井 翔理選手(4年)は厳しい表情で語った。

「9月まではチームも自分自身も最悪な状態でした。チームに故障者が多く、まとまりもなく、自分自身も夏は1か月半ほど怪我でほとんど練習に参加できない状況でした。川崎監督にも、この状況では駅伝で結果は残せないと厳しく叱られました。この時期はすごく悩んでいて夜も眠れないほどでした。」新井選手の声は重い。

「この状況を打開するために、まずミーティングを増やしました。それまでは全体ミーティングとして週1回集まる程度でしたが、9月からは「学年ごとのミーティング」、「学年混合の7名ミーティング」、「故障者ミーティング」、「全体ミーティング」と、話し合うメンバーを限定して、種類と回数を増やしました。その結果、話し合いの目的が明確となり、また皆が意見を言いやすくなり、アイディアが活発に出るようになりました。」

「ミーティングを増やしたことで生まれたアイディアが『故障者ボード』です。故障者の氏名、理由、部位、復帰予定をボードに書き、一番目立つ玄関に掛けておくことを始めました。嫌だという声が上がるかと思ったのですが、皆、故障者には頭を悩ませていて、チームが良くなるためならできることは何でもやってみようということで進めることができました。
人間というのは不思議なもので、やはり目立つところに悪いことで自分の名前が載るのは嫌だという心理が働くようで、徐々に故障者が減り、目に見える形で結果を残すことができました。今は自信を持ってチームがまとまっていると言えます。」と嬉しそうに笑顔で話をしてくれた。

新井選手の目指すチームは『風通しの良い、皆が意見を共有できるチーム』。これは一昨年度に卒業した潰滝選手から引き継いだチーム作りだ。こんなところにも駅伝部のつながりを感じる。
「仲の良いメンバーは?」という質問に「えー、誰だろう。本当に誰といても気まずいってことがなくて、楽しいんですよ。誰とでも出かけたりしていて……、んー。」と困った顔で答える新井選手の姿に、人柄の良さとチームの仲の良さを感じる。

新井選手が進学先に本学を選んだ理由は、やはり川崎監督だ。小学校6年生から陸上を続けてきた新井選手だが、高校2年生から故障もあり記録が残せなくなっていた。そんな時に川崎監督が声を掛けてくれたそうだ。自分の走りを一目見ただけでフォームの駄目なところをズバリと指摘し、ここまで自分のことがわかるのかと驚いたという。その後、監督のことを知れば知るほど、監督の芯が通っているところ、言ったことは必ず実現しているところなどに感服し、「この監督の下なら絶対大丈夫」そう思えたのだそうだ。

「入学時の記録は、選手としては決して良い物ではありませんでした。監督の指導にも手探りで付いて行くような状況でしたが、1年生の箱根前の記録会のときに、『新井はこれからだな』と監督が声を掛けてくれました。その言葉がずんと胸に響き、頑張ろうと改めて気持ちが入りました。その後、不思議なくらいに監督の言っている言葉の意味やアドバイスが分かるようになり、フォームの立て直しや補強の仕方もわかるようになりました。それにより故障も少なくなり、結果も残せるようになりました。なので、大学に入ってから駅伝で苦しかったことはありません。」そう自信を持って答える新井選手に川崎監督への信頼の深さが伺える。

「駅伝で受け取るタスキはとても重いんです。タスキがみんなの汗の分どんどんと重くなっていくんです。その重さを感じるとき、『これだけみんな頑張ってきたんだ、自分も頑張ろう。』そう思います。」静かに語る新井選手の言葉は、ずしりと重い。
揺るぎない正義感と責任感 廣 佳樹 【2017年10月26日掲載】
出雲駅伝では4区を任され、区間3位と貢献した廣 佳樹(3年)選手。神奈川大学に追いつき、最後は引き離しての見事な走りだったが、実は最後は意識が朦朧とし腕はしびれ、順位も神奈川大学を引き離したことも分からない状態でのゴールだったそうだ。

「ただ襷を繋ぐことだけを考えていました。軽い脱水症状を引き起こしていたのだと思います。当日は気温が高く向かい風の中での厳しい戦いでしたが、それは誰もが同じです。実力を出し切れなかったので課題が残りました。上級生の自覚と責任をしっかりと持ち、普段の練習も含め、チームに尽くすレースができるよう努力をしたいと思います。」そう語る彼の言葉は責任感に溢れている。

現在は寮長を任され、来年は主将としてチームを引っ張っていくことになる廣選手。落ち着いた言動から長男かと思ったのだが、意外にも末っ子なのだそうだ。
そんな彼にリーダーとしての心構えを尋ねてみた。「リーダーとして心がけていることはまず自分が説得力のある人間になること。そのためには第一に結果が必要になります。大会で結果を残す。練習にしっかりついていき、集団をけん引できるよう声を出す。加えて寮生活のルールも自ら率先してきちんと守る、そういうことが大切だと考え行動しています。」とあまりにも模範的な答えが返ってきた。そこで少し意地悪な質問をしてみた。

寮でルールを守らない選手に注意する際、嫌われるとか関係がこじれる等が心配にならないか?と尋ねたところ、「自分が正しいことを言って嫌われるとか意味が分かりません。そんなことで嫌われるならそれでもいいです。ただ自分は後でいろいろと言われるのが嫌なので、自分が言いたいことを伝えた後で相手の意見を聞く時間は必ず取ります。言いたいことはないのか必ず確認してから話を切り上げるようにしています。なのでトラブルになったことはありません。」正義感と負けん気の強さを見せつつ、誠実さも忘れない廣選手に感服した。

非の打ちどころがない廣選手だが、彼自身は物事を考え過ぎてしまうところが悩みだそうだ。「自分はマイナス思考に陥りがちです。大学に入ったばかりの時は、それまでいい成績を出してきていたという自負もありプライドが高かったと思います。そのため結果が出せずスランプに陥った時、他を寄せ付けず一人の世界に閉じこもりがちでした。実際に同級生たちからもその時は話しかけづらかったと言われました。スランプに陥り抜け出せずに苦しんでいる時、川崎勇二監督に『人生はプラスマイナスゼロだ。いいこともあれば悪いこともある。』そう声を掛けていただき、考え過ぎても良いことは無いのだと気づき、気持ちを切り替えることができました。」

「大森澪(4年)選手の存在も大きいです。明るく、誰とでもフランクに話ができ、練習では自分のペースで突っ走れる思い切りの良さがあります。自分にないものを持っている大森選手は憧れの先輩です。自分も少しずつ結果を出せるようになり、去年から先輩たちと練習を共にすることができるようになったことで、自然とマイナス思考に陥ることもなくなりました。」そう語る廣選手の表情は明るい。
昨年の12月に大森選手を取材した際も、大森選手は1学年上の潰滝選手と塩谷選手への憧れを語ってくれた。先輩の背中を追いかけ成長していく駅伝部の姿を感じさせる言葉だった。

「自分は少しずつですが安定した走りができるようになってきました。ただ廣と言えばこれ、という武器になるものがまだ見つかっていません。武器になるものは練習でつくられると考えます。今年に入ってオフの日も自分の練習をすることにより、ペースを崩すことがなくなりました。それによって先を見据え、自分自身をコントロールできるようになってきました。これからも積極的に練習に取り組み、自分の武器をしっかり身につけたいと思っています。」廣選手の力強い言葉に全日本、箱根への期待が高まる。

2016コラムメニュー

チームへの愛が強さの要 中央学院大学駅伝部 【2016年12月27日掲載】
「今回はケガをしている者も多く、いろいろ頭を悩ませています。」と語る川崎 勇二監督。しかしその表情は決して暗いものではなかった。それは出雲駅伝、全日本大学駅伝で感じた手ごたえによるものだろう。 年間を通して『ミスなく、そつなく』を目標にしてきた駅伝部。その成果が出雲駅伝、全日本大学駅伝の結果に表れた。また、ケガによる主力メンバーの不在が、逆にすべての選手にとって「自分が頑張らなくては」という責任感となり、それぞれが持てる力を出し切ることにつながった。今回の結果は選手一人ひとりに、自分も結果を残せるのだという大きな自信と勇気を生み出した。

自主性を重んじる川崎監督は、箱根駅伝のオーダーも選手たちに決定させるという。前日の夜に、どこの区間は誰が走ったほうがいいのかを部員全員に投票をさせるのだ。学生一人ひとりがチーム全体のことを考えてオーダーを決める。それにより、箱根駅伝に出場する選手は”走りたい区間”ではなく、自分の走りの特長を見極め、”走らなければならない区間”を再認識する。また出場できなかった選手も、自分もチームのメンバーの一員だという自覚を強くする。「この選手のためなら、このチームのためなら協力しよう、自分のできることをやろう」というチーム愛が育つのだ。駅伝は走っている選手だけのものではなく、選手がいかに最適な状況で走れるかを考え、支える駅伝部員全員で創りあげている、つまりチームへの愛が強さの要となる。

前回の箱根駅伝は村上 優輝選手(現主将・4年)が急なケガで出場できなくなり、代わりに海老 澤太(4年)が出場した。村上選手はその時の心境をこう語る。「実際に走れないとわかったときは、ショックが大きくて、素直に心から太を応援することができない状況でした。しかし当日は太の給水を任されて、足が痛かったのですが、俺の分まで頑張ってくれる太に、ベストな状態で太に給水しよう、自分のできることは全力で協力しよう。そうまっすぐに思え、メンバーから外れたことは良かったのだと受け入れることができました。」華やかな舞台の裏に隠されたドラマ。走っている選手の陰でたくさんのドラマが生まれ、それぞれの箱根駅伝がそこにはある。

駅伝部の自由練習を見ていると、皆が和気あいあいと笑顔で練習していることに驚かされる。学年ごとに固まるのでなく、学年が交じり合ってグループができ、本当に楽しそうに練習している。選出された・されていない、そんなこだわりはなく、チーム全体が『中央学院大学駅伝部』としてまとまっている。チーム愛が育っている証なのだと思う。

いよいよ、1月2日、3日は、箱根駅伝。決戦の時だ。チーム愛にあふれた中央学院の快進撃が楽しみだ。
先輩の背中を追い続ける エース大森 澪 【2016年12月9日掲載】
レース中は精悍な顔つきの大森 澪選手(3年)だが、普段は笑顔あふれる好青年である。駅伝部の寮では藤田 大智選手(1年)と同部屋で、そこは1年生部員のたまり場と化している。主将の村上 優輝選手(4年)も、「先輩も後輩も含めて大森のことが苦手な人は誰もいないと思います。とにかく誰とでも仲がいい。」と言うほど。大森選手の人柄の良さが伺えるエピソードだ。

そんな大森選手に、なぜ中央学院大学への入学を決めたのかを聞くと「川崎 勇二監督がいたからです」と即答で返ってきた。「監督は、『自分の下に来れば絶対強くなれる、でも即決せず、いろんなチームを見てから考えなさい、最後に決めるのは自分だよ。』そう声を掛けてくれました。その言葉を聞いて、監督が自分のことを一番に考えてくれていると感じました。入学後も、監督は厳しいときは厳しいですが、良かったときはしっかり褒めてくれます。何より、いつも自分のことを見ていてくれているという安心感があります。」そう語る大森選手の言葉から、川崎監督との揺るぎない絆を感じさせる。

また監督だけでなく、後輩である高砂 大地選手(1年)とも強い絆で結ばれている。二人とも関西大学北陽高校出身で、高校時代は大森選手が高砂選手に走り方を助言していたのだという。高砂選手の最近のめざましい活躍に「悔しいとか危機感があるとかではなく、高砂の活躍が素直に嬉しいです。こんなに強くなったんだなって思って。」と顔をほころばせる大森選手。高砂選手が力を出し切ることができるのは、頼りになる優しい兄貴がいるからだろう。

「今、意識している選手やライバル選手は?」と聞くと、意外な答えが返ってきた。「同学年の選手には負けたくないです。でも一番意識をしているのは、もう卒業してしまいましたが、潰滝さん(本学2016年卒・現富士通)と塩谷さん(本学2016年卒・現SUBARU)です。去年までいつも3人で練習していました。二人に追いつくのがやっとで、いつも背中を追いかけていました。二人とも走りにそれぞれこだわりを持っていて、自分も今、それを意識して練習に臨んでいます。
潰滝さんのすごいところは、どんな時でも『勝ち』にこだわるところです。練習の最後に3人でよく勝負をしたのですが、潰滝さんは絶対に負けませんでした。『勝ち』へのこだわりが潰滝さんの強さなんだと思います。
塩谷さんのすごいところは、周りのペースに流されることなく『自分のペースで走る』ということを一貫していたところです。練習の時、走るペースは決められています。でも、塩谷さんは行けると思った時は、それを無視して自分のペースで走って、調子や出来上がりを確認していました。自分も今は、行けると思った時は、周りのペースに構わず走ったりしています。」
こんな風に駅伝部の伝統は創られ、後輩へと受け継がれていくのだろう。

「将来は実業団に入り、潰滝さん、塩谷さんと肩を並べて、オリンピックを目指したいです。」
そう笑顔で語る大森選手の瞳は、夢と希望に溢れていた。
「全ては陸上(駅伝)のために」 プロ意識をのぞかせる 主将 村上 優輝 【2016年10月31日掲載】
「選手全員が競り負けなかったことが、出雲駅伝4位という結果につながったのだと思います。自分の区間新という結果も、3区大森(3年)が意地を見せ、東洋大学の服部選手と競ったことで、自分もやれる!と燃え、この結果を残せました。」出雲駅伝をそう振り返る村上優輝選手は、主将となり顔つきも凛とし急に大人びた印象を受ける。

「自分の生活の根底には全て陸上(駅伝)があります。日常生活も普段の練習も、全て陸上の結果につながる。川崎勇二監督が普段から話している『ミスなく、そつなく』も同じことだと思います。規則正しい生活を心がけ、手洗い・うがいなどの小さなことを積み上げていく、それが体調管理につながり、結果を出せるようになる。自分の時間を、生活を、いかに陸上に割けるか、それが結果につながるのだと思います。」陸上を基軸にした村上選手の生活にはプロ意識すら感じられる。

そんな村上選手にも、駅伝を続けることが辛い時期があった。「大学に入学するまで、自分は陸上に対して自信がありました。そんなに練習をしなくても結果を残せた。しかし大学に入り練習量が増えると、急に結果を残せなくなりました。体力が無かったこともあって、疲れが溜まり、それによりフォームが崩れ、余計に疲れが残る、そんな悪循環にはまり精神的にもきつくて、もう陸上から離れようと本気で思いました。」 そんな時期が2年続いたという。「支えてくれたのは家族です。家族の支えで少し気持ちが楽になると、だんだんと結果が残せるようになってきました。」家族の温かい言葉で「もう少しだけ続けよう」そう思え、前に進めたのだと言う。

村上選手は主将としてもきめ細やかな気配りを見せる。「今、自分に必要なことは、常に全体を見渡せる視野だと思っています。全体を見ながらも、一人ひとりの選手の精神状態や故障の把握も必要です。特にグループに分かれての合宿中などは、その場にいないメンバーのことも把握するため、密に連絡を取るよう努めています。また全員に伝えるべきことは、理解が一致するよう、かみくだいて短くわかりやすく話すようにしています。2年生は人数も多く統制がとりづらい部分がありますが、そこは廣(2年)が頼りになります。彼は場を読む力にたけ、自分自身のことをしっかりやりながら、周りにもきちんと意見が言えるのですごく頼りにしています。」と笑顔で語る村上選手から、チームのまとまりを感じる。

「全日本大学駅伝のチーム目標はシード権獲得(6位以内)です。個人的には出雲と同じ4位を目指したいです。横川(1年)はマイペースな分自分の走りができるので、駅伝の流れを変える力があります。もし彼が走るようであれば、ぜひ注目してほしいです。」 力強い村上選手の言葉にチームの活躍を期待したい。
「夏の強化合宿」 【2016年10月7日掲載】
2016年夏、駅伝部は長野県・黒姫高原、北海道・士別、山形県・蔵王で強化合宿を行なった。

黒姫の全体合宿では、距離や起伏慣れのため始めは各自のペースでコースジョグを行ない、その後、土台作りとなる距離の練習をする。集団走では各グループで声を掛け合うことで、チーム力も高める。この夏、ひときわ大きな声で練習に励んでいたのが1年生の高砂 大地と2年生の廣 佳樹だ。今年は1、2年生が元気で部を盛り上げている。8人の箱根経験者に下級生の勢いが加わり、箱根への期待が高まる。

全体合宿後には、前期の成績と合宿での練習成果でチーム分けをし、続く北海道/山形県の合宿では2チームに分かれる。全体合宿では距離の走り込みが中心となるが、チーム別合宿にはスピードの練習も加わる。それに気づいて練習についていけるよう自己トレーニングを積めるかどうかが成長の分かれ道だ。ヒントは出すが、すべては伝えない。「自分で考えること」「自分で管理する能力を養うこと」を大切にしている。これが「中央学院流」だ。

2015コラムメニュー

「誰よりも熱い男、陰の立役者 主務 鎌田 龍之介 」 【2016年2月1日掲載】
鎌田主務に今回の箱根駅伝について尋ねると、「今回の箱根では、チームで5位を目指していました。その目標を達成できなかったことは正直言って悔しかったです。」とふり返る。

箱根駅伝での主務の仕事は数えきれない。大会前は各選手のデータ整理、大会申し込み、取材対応、選手のスケジュール管理までおこない、また大会当日はスタートギリギリまで選手について声を掛け、精神面でのサポートをする。それぞれの選手の要望に合わせ荷物を用意し、選手が走り終わったゴールで渡せるよう手配する。常に全体を見ながらも、各個人のサポートも抜かりなくおこなう。
手際よく仕事をこなし、それでいて細やかな気遣いができる人にしか務められない仕事だ。

表舞台に立つことはないけれど、箱根への想いは誰よりも熱い。
「自分が箱根を走れない分、選手に頑張ってもらいたい。気持ちは選手と一緒に箱根を走っている。そう思ってずっとサポートしてきました。

レース前4区新井、5区山本の表情が硬かったので心配していました。不安は的中し、5区を走り終えた山本を見るのは本当に辛かった、掛ける言葉がみつからないとはこういうことを言うのだと思いました。ただそばにいて、大丈夫だから、襷をつないだだけで十分だから、そう繰り返していました。」

しかし、この悪い流れを断ち切って仕切り直すのも主務の役目。箱根を走る選手ひとりひとりにLINEで彼の想いをぶつける。彼の熱すぎるほどの長文のメッセージは、選手ひとりひとりの心に響き、復路での巻き返しにつながったといっても過言ではないだろう。
1区潰滝 大記とにかく前向き。
影の努力者。
2区大森 澪積極的に練習に参加。
上昇志向を持つ。
3区塩谷 桂大裏表がなく、コミュニケーション能力が高い。
目標を持って工夫した練習ができる。
4区新井 翔理目標に向けしっかり努力できる。
きめ細やかな気遣いができる。
5区山本 拓巳練習への意識が高い努力家。
目標となる人物。
6区樋口 陸どんな相手にも果敢に立ち向かう。
レースを楽しめるタイプ。
7区海老澤 太素直。柔軟性を持っている。
一番相談にのっていた選手。
8区細谷 恭平箱根に対する思いが強い。
練習への意識が高い。
9区海老澤 剛限界まで自分を追い込むタイプ。
誰にも真似できない我慢強さを持つ。
10区小川 貴弘メンタルが強く前向き。
内に秘める想いは誰よりも強い。
「強いチームに」 【2015年12月25日掲載】
今年のチームの状態を聞いてみると、川崎監督、潰滝主将、塩谷副将の全員が「チーム全体、順調に底上げできている」と答えた。
ハードな練習にもチーム全体が喰らいついていけるようになり、また個々のタイムも上がっている。日々チームの強さを実感しているようだ。

川崎監督にチームと選手の成長ぶりを尋ねてみた。
「今年も2年生がしっかり力をつけた。特に力をつけたのは新井と大森。
新井は1年の時はフォームがなっていなかったが、今年はだいぶ整ってきた。
大森は潰滝・塩谷についていくぐらいの練習ができるようになった。また気持ちのコントロールが下手で、ひとりで走りきれないところが弱点だったが、だいぶ走れるようになった。
同じく2年の細谷はまだまだ未知数だが、スタートラインに立てば結果を残す実力はある。細谷が走るかどうかでチームの魅力がかなり変わってくる。頭に壁がなく、自分の実力をここまでと決めない選手なので大きく飛躍する要素は十分持っている。
3年の海老澤剛には全幅の信頼を置いている。気落ちせず自分のペースを作れ、本学で唯一、駅伝の走りをできる選手といっても過言ではない。
1年では樋口が面白い。全日本で花の2区を任されても緊張することなく自分を出せるということが証明された。練習でも上のメンバーに喰らいついていくガッツがあり、恐怖心を持たず思い切っていける選手だ。」

箱根での流れ作り、勝負のカギについてはこう語る。
「箱根はコース配置で結果が左右される。潰滝が自らレースを動かし、いい流れを作る。それに大森が乗り、塩谷で順位をあげる。往路でどこまで勝負をかけられるかがカギとなる。
いかにそれぞれが欲張らずに走るか。自分の力通りにやってくれれば、結果は自ずとついてくるだろう。」

今年のチームには手応えを感じている様子だ。
「選手にとって走りたい区間と走らなきゃいけない区間は違う。選手がそれを理解し監督の意思と一致した時、間違いなくチームは強くなる。」

川崎監督の言葉は力強い。箱根路でCGU旋風が巻き起こることを期待したい。
「ダブルエース!潰滝、塩谷が語る」【2015年12月24日掲載】
【1.潰滝が語る】
「今年1年間、皆で刺激し合い成長できるチームを目指してきました。
自分がタイムを出すことで、全体を引っ張りたい。」そう語る潰滝選手は堂々としていて、エースとしてだけでなく主将としての貫録も感じる。

川崎監督は「潰滝はチームの中で一番賢い。私が伝えたいことを理解し、自分のものにできる。日本のトップに立てる選手だ。」と自信を持って言い切った。その言葉に潰滝選手への信頼が表れている。

「駅伝の魅力は、何と言ってもチームで襷をつなぐことにあります。」潰滝選手は語る。チーム力を向上させるため、主将になってから班ごとのミーティングを始めた。「寮生全員集まると56名になります。その中で自分の意見を言うとなるとなかなか大変です。班は一緒に行動することが多く気心が知れているので、悩みも相談しやすいと思うんです。」チームのことを第一に考える潰滝選手の姿があった。チームミーティングは川崎監督の授業がヒントになったという。本学法学部教授でもある川崎監督のゼミでは、少人数のグループで話し合いながら発表するというスタイル。こんなところにも監督の教えは息づいている。

「チーム全体の調子は箱根に向けて上がっています。皆が自分の力を出し切り5強の一角を崩す、その気持ちで箱根に挑みます。」

4年生最後の箱根駅伝となる潰滝選手。個人としては、早めにロングスパートをかけられるようスピードの練習を強化しているという。彼の走りが、チーム全体を引っ張る大切な流れとなるだろう。

【2.塩谷が語る】
「箱根駅伝まで1か月を切って、徐々に調子を上げています。春は故障をしてしまい思うように走れませんでしたが、今は大丈夫、順調です。」緊張した面持ちでそう語る塩谷選手。緊張しながらもひとつひとつの言葉を大切に話す。

全日本大学駅伝では3人を抜き、調子の良さをアピールした塩谷選手だが、「自分では区間賞を狙うつもりでした。でも走った結果、区間賞は甘くないなというのが実感です。」言葉に悔しさが滲む。

川崎監督は塩谷選手に対して「能力が高く自分のペースで走りきることができる一方、お調子者でプライドが高い。おだてると調子に乗りすぎるが、逆に厳しすぎても拗ねる。私もかなり手を焼いているが、自分の能力をコントロールできるようになればもっと伸びる。」とコメントする。言葉は辛辣だが、その中に塩谷選手への期待が感じられる。

4年生最後の箱根駅伝への意気込みを聞くと、「今年は主力という立場で結果を残す、そのために意識を高く持ち1年間を過ごしてきました。3区を任されたら区間賞を取ります。トップに立ち、2位との差を30秒くらいつけたい。自分がなるべく他のメンバーに楽をさせる、そんな走りを目指します。早く箱根で走りたいです。」目を輝やかせて語った。

箱根ではエースの意地を見せ、チームを引っ張ってくれるはずだ。そんな塩谷選手の走りにぜひ注目してほしい。
「川崎監督と潰滝選手との出会い」 【2015年12月17日掲載】
「完成品ではなく粗削りな選手に出会ったとき、面白い選手だなとワクワクする。」川崎監督は目を輝かしながらそう語った。今や中央学院のエースとなった潰滝選手は高校時代まさにそんな選手だった。潰滝選手は2011年3000m障害でインターハイ出場を果たしているが、その時の様子は監督の目にはかなり奇異なものに映った。「ウォーミングアップはしない、フォームはめちゃくちゃ、それなのにインターハイに出場する選手がいるんだ、面白い。」それが監督と潰滝選手の出会いだった。

高校時代の潰滝選手は「箱根駅伝」をテレビでも観戦したことがなく、中央学院への入学を決めた高校3年生の冬に初めて「箱根駅伝」を目の当たりにした。その時の感想は「こんな長い距離、走れるのかな…」だった。大学に入学した当初は、かなり練習がキツク感じられ、「いつまで続けられるんだろう」、そんな思いがよぎったという。しかし、自分が日々成長をしていることを感じ、支えてくれている家族や高校の恩師を想い、またチームメイトの明るさに支えられ、めきめきと頭角をあらわしていった。

「自分の成長は川崎監督の教えが全てです。監督が自分を強くしてくれています。」自信を持って答える姿に、川崎監督と選手との絶対的な信頼関係、強い絆が感じられた。