駅伝大会レポート

2022年度

「秩父宮賜杯第54回全日本大学駅伝対校選手権大会」結果報告 (2022/11/6)

序盤の積極策で5区終了時点ではシード圏内も、13位でのフィニッシュ

箱根駅伝予選会のショックから3週間。中央学院大学は10年連続16回目となる第54回全日本大学駅伝(11月6日)に出場した。川崎勇二監督は選手たちのメンタル面を立て直すのが難しかったというだけに、「積極的なレースをして、上位で走る雰囲気を少しでも経験させよう」と前半型のオーダーを考えていたという。

当初は川田啓仁(4年)を3区、伊藤秀虎(3年)を4区に起用する予定だった。しかし、川田の調子が上がらず、伊藤が体調不良になったことで、区間オーダーを変更。3区に堀田晟礼(2年)、4区に7区予定だった松島匠(4年)を配置することになった。
 

全日本大学駅伝2022_スタート

©月刊陸上競技

序盤から動きのあった1区は小島慎也(4年)が冷静に駆け抜ける。「ほぼ予定通り」(川崎監督)の好走で6位スタートした。

各校のスピード自慢が集結した2区は吉田礼志(2年)が存在感を示した。東京五輪3000m障害7位入賞の順天堂大学・三浦龍司(3年)らがいる3位集団を積極的に引っ張り、区間5位。順位も1つ上げた。
「逃げずに前を走ったのは成長した部分じゃないかなと思います」と川崎監督は2年生エースを評価した。

3区堀田晟礼(2年)は箱根駅伝予選会で脱水症状になった選手。「予選会が終わって1週間ほとんど練習できませんでしたので、頑張ってくれたと思います」(川崎監督)と粘りの走りでタスキを7位でつなげた。

1区_小島選手

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1区 小島 慎也(4年)

2区_吉田選手

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2区 吉田 礼志(2年)

3区_堀田選手

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3区 堀田 晟礼(2年)
4区松島は昨年までレースで確実に走る選手だったが、今季はトレーニングを積めるようになった反面、調整面で苦労してきたという。今回も「本番にうまく合わなかった」(川崎監督)ようで、区間12位と伸び悩み、9位に転落した。

シード圏外に弾きだされたが、5区川田啓仁(4年)が奮起する。明大をかわして、再びシード圏内となる8位に引き上げた。

しかし、その後は劣勢に追い込まれた。6区前田篤志(4年)は箱根予選会で捻挫。1週間ほどトレーニングができなかったという。「もともと起用する予定ではなかったですし、不安が的中しましたね」と川崎監督。前田は区間15位という苦しい走りになり、10位まで順位を落とした。

4区_松島選手

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4区 松島 匠(4年)

5区_川田選手

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5区 川田 啓仁(4年)

6区_前田選手

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6区 前田 篤志(4年)
終盤のロング区間は、7区荻沼直人(4年)が区間13位、8区安藤武留(2年)は区間13位。ともに順位を下げて、5時間17分56秒の13位でレースを終えた。

「7区、8区はほぼ想定通りでした。前半区間でもう少し前にいれば、もっと面白い展開になっていたのかな。ただ、今のチーム力でしたら、これが限界ですので仕方ないと思います」(川崎監督)
それでも箱根予選会でトップ通過を果たした大東大に先着するなど収穫もあった。川崎監督も、「前半はシード圏内でレースができたのはチームにとってプラスになったかなと思います」と話した。そして、今後に向けて力を込めた。

7区_荻沼選手

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7区 荻沼 直人(4年)

8区_安藤選手

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8区 安藤 武留(2年)
「今回は4年生を5人も起用しました。一方で3年生がゼロです。伊藤だけでなく、飯塚達也の調子も上がらなくて外しました。今後は吉田礼志レベルの選手をもう2~3人育てていかないと箱根駅伝のシード権には絡めないと思っています。かなり厳しい戦いが続くと思いますが、また上を目指していきたい」(川崎監督)

追い風のコンディションもあり、全日本大学駅伝は4校が大会記録を上回る超高速レースになった。学生長距離界のレベルは近年急激に上がっている。そのなかで中央学院大学の新たなチャレンジが始まろうとしている。再び、〝フラッシュイエローの輝き〟を放つために。
「第99回箱根駅伝予選会」結果報告(2022/10/15)

終盤に思わぬ失速 厳しさを増す「箱根出場」への路

第99回箱根駅伝予選会が10月15日に行われた。〝10枚のチケット〟を目指して、参加資格(期限内に10000m34分以内の公認記録を有する者を10~14名エントリー)を満たした43校が参戦。過去最多15人の留学生ランナーも出走した。

そのなかで2年連続23回目の箱根駅伝出場を狙う中央学院大学は5㎞を13位で通過。10㎞で7位に浮上すると、15㎞は8位と〝通過圏内〟につけていた。しかし、17.4㎞で11位に転落。本戦出場ラインを8秒差で追いかける厳しい終盤戦を迎えていた。

「吉田は日本人トップ狙いで、あとは1㎞3分ペースと3分ちょっとのペースで押していくグループを2つ作りました。上のグループはまずまず機能していたんですけど、下のグループは思ったより早く崩壊したんです」(川崎勇二監督)

エース格の吉田礼志(2年)は15㎞通過時で日本人2位につけていたが、終盤ペースダウン。個人68位(1時間04分17秒)と苦しんだ。川田啓仁(4年)、安藤武留(2年)、松島匠(4年)は1時間4分台でゴールするも、学内5~9人目は1時間5分台。同10人目の到達は出場チームで7番目だった。

最終結果は10時間51分25秒の総合12位。部員全員の祈りは届かず、正月の晴れ舞台を2分30秒差で逃した。

昨年の予選会は主力を欠きながら7位でクリア。今季も6月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会を6位で通過した。箱根駅伝予選会には、武川流以名(4年)、吉本光希(4年)、伊藤秀虎(3年)という主力選手が登録メンバーから外れたが、仕上がりには自信を持っていただけに、「落ちると思っていなかったですね。すべてが誤算でした」と川崎監督はうなだれた。

「スタート時は10時間45分ぐらいで通過できると想定していたんです。うちは、10時間45分はかからないだろうと思っていました。全体的に入りが遅かったので、私も焦りがあって、5㎞~10㎞を上げさせたんです。それが終盤の失速につながってしまった。選手たちの力を私が過信したのかもわからないですね。今回は予選会経験者が少なかったのも原因かもしれません」

川崎監督の計算通りに「10時間45分以内」で走破していれば、「6位以内」で通過していたはずだった。しかし、厳しい現実を突きつけられた。

選手たちがゴールする直前の10時半の気温は21.0度、湿度は74%。レース後、中央学院大学の選手2人が救急搬送された。出走した選手たちは必死に頑張ったが、「蒸し暑さ」という〝難敵〟にうまく対応できなかったようだ。

「吉田はずっと調子が良かったんですけど、朝練習の発汗量がやたら多かった。軽い脱水があったかもしれません。ここまで蒸し暑くなるとは思っていませんでした。蒸し暑さのなかでも練習はやってきたので、今回の結果はちょっと予想外でしたね。3年ぶりの従来コースを想定して練習してきました。その部分は影響がなかったと思うんですけど、蒸し暑さに対しての対策ができていなかったってことですね……」

今回は大東大が4年ぶり、立教大が55年ぶりの〝箱根復帰〟を決めた。その一方で箱根常連校の苦戦も目立った。

「新しい大学がどんどん強化していますので、予選会の戦い方も変わってきているなと感じました。最近の大学生は自立しておらず、自分でペースを作っていく力がないんです。自分で考えられる選手、状況に対応できる選手を育てていかないと、予選会は突破できないですし、当然、箱根駅伝でも戦うことができません。今日の結果を見て、そう痛感しました」

秋の立川決戦で涙を流した中央学院大学。次は11月6日の全日本大学駅伝に向かうことになる。「このショックを断ち切らない限り、なかなか全日本という気持ちにはなりません。私を含めて少しでも早く、全日本に向かっていけるようにしたいと思います」と川崎監督。悪夢の後の歓喜を期待せずにはいられない。

 

2021年度

「第98回東京箱根間往復大学駅伝競走」結果報告 (2022/1/2・3)

2年ぶり22回目の箱根駅伝、紫色のタスキを最後までつないで総合16位

中央学院大学は昨年10月の箱根駅伝予選会を7位で突破。2年ぶり22回目の出場となった第98回箱根駅伝はフラッシュイエローのシャツと黒のパンツという新ユニフォームで登場した。

1区は10000mで28分03秒39の大学記録を持つエースの栗原啓吾(4年)。「後輩にシード権だけは残したい。悔いのない走りをしよう」と強い思いを抱いてスタートラインに立った。箱根駅伝予選会で日本人トップに輝いたときのように、レース前半は集団についていき、ラストスパートで上位に食い込むプランを描いていた。しかし、5㎞を超えたところで集団から遅れ始めると、その後もペースが上がらない。

「箱根予選会後から疲労が取れない感じで、チームの練習についていくのもきつい状態でした。スタート直前も調子が悪かったんです」と栗原。それでも肩を揺らしながら、懸命に前を追いかけた。トップの通過から4分07秒後、鶴見中継所に最後のランナーとなった栗原が姿を現すと、紫色のタスキを1年生につないだ。
 

2022箱根駅伝1区栗原啓吾(4年)

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〝花の2区〟には吉田礼志(1年)が挑戦した。昨年5月の関東インカレ男子2部5000mで7位入賞を果たした逸材だが、夏に肺気胸で入院。その後、驚異的な回復を遂げて、川崎勇二監督がエース区間に抜擢した。最下位スタートと予想外の展開になったが、「少しでもいい位置でタスキを渡したい。少しでも僕が流れを変えるんだ」という思いで最初の1㎞を2分44秒で入る。横浜駅前(8.2㎞地点)は11番目のタイムで通過した。しかし後半は苦しみ、区間18位でレースを終えた。「権太坂までは余裕があったんですけど、最後の上りでしんどくなりました。自分の走りができませんでした」と悔しそうだった。

2022箱根駅伝2区吉田礼志(1年)

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3区は前々回6区を区間5位と好走した武川流以名(3年)。4月に10000mで28分40秒48(大学歴代8位)を記録しているが、一昨年秋頃から痛みを感じていた左足親指は昨年6月に疲労骨折が判明。10月から本格的な練習を再開するも、まだ痛みを抱えた状態だった。

「前半の下りは力まずに余裕を持って走れたんですけど、10㎞を過ぎて海岸沿いに出てからきつくなりました」と武川。それでも2区終了時に1分21秒差のあった専修大学を15㎞手前でかわして19位に浮上した。厳しい展開のなかでも設定タイムと10秒差の1時間3分10秒(区間10位)で走り切り、3区の中央学院大学記録に3秒差と迫った。川崎監督も「正直状態が良くなかったので不安でしたが、しっかりまとめてくれました」と評価した。
 

2022箱根駅伝3区武川流以名(3年)

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準エース区間となる4区は伊藤秀虎(2年)が出走した。ウォーミングアップの時から調子は上々で、56秒先にスタートした駿河台大学を猛追すると、5㎞付近で抜き去った。しかし細かいアップダウンが続くコースと単独走に苦戦。後半はペースダウンして、区間19位と伸び悩んだ。「ペースがつかみにくく、1㎞あたり3分で走るつもりがいつの間にか3分05秒まで落ちていました。自分で淡々とリズムを刻めなかったのはひとりで走る力がそこまでなかったかなと思います」と伊藤は反省点を口にした。

2022箱根駅伝4区伊藤秀虎(2年)

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川崎監督が〝自信〟を持っていた山上りの5区は吉本光希(3年)が入った。予定より速いペースで攻め込み、大平台(7.0㎞地点)を6番目のタイムで通過する。しかし、終盤は股関節に痛みが出て思うように動かない。往路ゴールの芦ノ湖に18位(5時間36分04秒)でフィニッシュした。

小田原中継所を飛び出した地点で前を行く東海大学とは4分17秒差があり、「自分でペースを作るのが難しかったです。焦りや緊張はありませんでしたが、感覚がいつもと違って序盤に速く走ってしまいました」と吉本。1時間11分25秒という目標タイムより2分近く遅れる1時間13分17秒(区間10位)となり、「チームに迷惑をかけてしまいました」と自身の走りには納得はしていなかった。
 

2022箱根駅伝5区吉本光希(3年)

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往路を終えて、10位の東海大学とは6分50秒差。苦しい前半戦となったが、中央学院大学の選手たちは前を見つめていた。川崎監督は「シード権の獲得は厳しいけど、自分たちのやるべきことをしっかりやって、設定したタイム通りに走ろう」と復路の選手を送り出した。

復路は8時10分、中央学院大学を含む5校が一斉にスタートした。6区工藤巧夢(1年)は序盤こそ周りの様子をうかがっていたが、3㎞付近から集団を抜け出した。「感覚的に遅いと感じていました。いいリズムのまま走れば、下りに入った後にもつながる。だから自分のペースで行こうと決めました」。単独走になり、ペースを上げると、快調に山を駆け下りていく。そして6区の中央学院大学歴代2位タイにランクインする58分47秒(区間4位)と快走した。それでも「坂を下り切った後の最後3㎞で切り替えることができなくて課題が残るレースでした」と自身の走りに満足はしていなかった。
 

2022箱根駅伝6区工藤巧夢(1年)

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7区松井尚希(4年)は駿河台大学・新山舜心(2年)とほぼ同時にタスキを受け取った。前半は抑えて、後半にペースを上げるプランを描いていたという。10000万m28分台の新山と一緒に走ることでリズムを作ろうとしたが、10㎞通過が想定(29分35秒)よりも30秒ほど遅くなった。区間14位ながらも、駿河台大学をしっかりと突き放して、タスキをつなげた。「予定していたように中盤以降で切り替えることもできませんでした。でも、たくさんの応援を感じられて楽しかったです」と最初で最後の箱根駅伝を笑顔で終えた。

2022箱根駅伝7区松井尚希(4年)

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川崎監督が重要視している8区は学生駅伝初出場となった馬場竜之介(4年)。「1時間6分切り」が目標だった。予定通りにペースを抑えながらも7秒先にスタートした関東学生連合・大野陽人(大東文化大学3年)をとらえた。その後は追い上げてきた専修大学、駿河台大学と4人の集団を形成して前を追った。レースが動いたのは15㎞過ぎにある遊行寺の坂だった。大野が仕掛けたタイミングで馬場も切り替える。「集団がバラけた時にうまくついていくことができました。ラストで離されてましたが、粘ることができたと思います」と馬場。17位に順位を押し上げる走りを見せた。1時間6分08秒(区間12位)で走り切り、川崎監督も「設定タイムとほぼ同じでしたので、力を出してくれたと思います」と馬場の4年間を労った。

2022箱根駅伝8区馬場竜之介(4年)

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「当初から起用を考えていました。本人も9区を希望していましたし、部員もそのつもりでした」と川崎監督は当日変更で復路のエース区間9区に吉田光汰(4年)を投入した。シード校と予選会校の違いを痛いほど知っている吉田は、少しでも前を行く大学との差を縮めたい気持ちであふれていたが、「前半は抑えるように」という指揮官の指示を優先。16位に順位を上げるも、区間17位と振るわなかった。「序盤でリズムを作ることができずに後半上げられませんでした。悔いが残っています」と無念を口にした。

2022箱根駅伝9区吉田光汰(4年)

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アンカーを担った中島稜貴(3年)は「ひとつでも順位を上げようと思っていました」と気合十分。15㎞付近で川崎監督から「スピードが落ちているぞ」という声を受けるとリズムを変える。中央学院大学記録となる1時間10分26秒(区間8位)と好走して、大手町のゴールに総合16位でフィニッシュした。「レースが高速化しているので序盤も思い切って入りながら、後半も粘る走りができるようにならないといけないと思いました」と中島。強豪校の走りを肌で感じたことは来季につながるだろう。

2022箱根駅伝10区中島稜貴(3年)

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自分たちの流れを作れずに往路18位、復路14位、総合16位。目標にしていた8位には届かなかった。それでも悔しさや苦しさだけが残ったわけではない。2年ぶりに箱根駅伝のステージに立てたからこその収穫もあった。

「予選会を突破したことで涙していた選手もいました。正直、本戦出場を決めた時点で満足してしまった感じはありましたね。箱根駅伝は、『絶対にシード権を取るんだ』という雰囲気にならないと戦うことはできません。来年はみんなが笑顔になれる大会にしていきたいと思っています。今季は故障者が多いなかでも予選会を突破しましたし、本戦も危なっかしいなと思いましたけども、タスキを最後までつなぐことができました。ちょっと光が差してきた部分があります。ケガ人を少なくしていけば、シード権のチャンスは十分にあると思いますので、またシード権を獲得できるように取り組んでいきたいです」(川崎監督)

今回は3年生主将・小島慎也、川田啓仁(3年)、堀田晟礼(1年)という主力を起用できなかっただけに、チームが万全な状態で臨むことができればシード校への〝復活〟が計算できる。2023年の新春には課題を見つめ直して強くなった中央学院大学の雄姿が見られるだろう。
 
「秩父宮賜杯第53回全日本大学駅伝対校選手権大会」結果報告 (2021/11/7)

箱根路につながる激走、全日本大学駅伝は終盤に順位を押し上げての11位

2週間前の箱根駅伝予選会を7位で通過。9年連続15回目の全日本大学駅伝に向かった中央学院大学だが、予選会のダメージもあり、ベストメンバーを組むことができなかった。川崎勇二監督は、「今年は箱根駅伝予選会に全集中していたので、正直、全日本大学駅伝の対策はほとんど進んでいませんでした。予選会が終わってから、箱根駅伝を想定してオーダーを考えたんですけど、故障者も多く、メンバー的には8人ギリギリという状況だったんです」と苦しい胸の内を明かした。

全日本大学駅伝2021_01

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1区松井尚希(4年)はトップ駒澤大学と1分03秒差の16位と厳しいスタートになった。2区栗原啓吾(4年)は順位を2つ上げるが、区間順位は11位。日本人トップを飾った箱根駅伝予選会のような快走を見せることはできなかった。調子を崩していた3区川田啓仁(3年)は順位を上げられず、逆に前のチームに引き離された。
「1区松井は試合でなかなか結果を出せず、今回も良くありませんでしたね。悪い流れになり、箱根予選会のダメージが残っていた2区栗原も厳しいレースになってしまいました。3区川田は予選会が終わってから状態が良くなくて、3㎞付近で苦しくなったようです。序盤の3区区間は想定していたようなレースができませんでした」(川崎監督)

全日本大学駅伝2021_02

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1区 松井 尚希(4年)

全日本大学駅伝2021_03

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2区 栗原 啓吾(4年)

全日本大学駅伝2021_04

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3区 川田 啓仁(3年)
3区終了時で前の東海大学とは1分06秒差。その後は14位での〝単独走〟を余儀なくされた。難しいレース状況のなかで4区吉田礼志(1年)は区間10位、5区伊藤秀虎(2年)は区間9位、6区武川流以名(3年)は区間8位と健闘。徐々に前との差を縮めていき、6区終了時で13位の拓殖大学に33秒差まで詰め寄った。

「4区吉田は長く体調不良が続いていて、箱根予選会の疲労もあったんですけど、現状を考えると合格点の走りだったと思います。5区伊藤もまずまず走ってくれました。6区武川は予選会を欠場しましたし、あまり練習ができていなかったので、5㎞以降はペースが上がりませんでした」

全日本大学駅伝2021_05

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4区 吉田 礼志(1年)

全日本大学駅伝2021_06

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5区 伊藤 秀虎(2年)

全日本大学駅伝2021_07

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6区 武川 流以名(3年)
終盤のロング区間には各校がエース級を起用した。そのなかで7区吉田光汰(4年)が区間7位、8区吉本光希(3年)が区間8位と激走する。吉田が拓殖大学をかわすと、吉本が帝京大学を逆転。最後は吉本が東海大学とのラスト勝負を制して、11位でゴールに飛び込んだ。

「7区吉田と8区吉本はしっかり走ってくれましたね。1~3区はちょっと冒険した部分があり、それが通用するほど甘くありませんでした。それでも4区以降は予定通りというか、むしろよく頑張ってくれたと思います。15位前後で終わっていたら、選手たちは自信を失っていたかもしれません。特に最後、アンカーの吉本が東海大学に競り勝ったのは、チームにとってプラスになりました」

全日本大学駅伝2021_08

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7区 吉田 光汰(4年)

全日本大学駅伝2021_09

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8区 吉本 光希(3年)
昨年10月の箱根駅伝予選会で惨敗した後、川崎監督は「変わるんだ!」という気持ちを全面に押し出して指導してきた。今季は3年生の小島慎也を主将に抜擢して、ユニフォームもリニューアル。トレーニングの質も大幅に引き上げた。その影響で故障者も出たが、すべては箱根駅伝で再び〝勝負〟するためだ。

全日本大学駅伝は10000mで28分台を持つ小島と堀田晟礼(1年)がメンバーから外れるなど、チームは足並みが揃わなかった。当初は1・2区に期待のルーキー(吉田と堀田)を起用して、エース栗原を3区に配置するオーダーを考えていたという。それでも今年は箱根駅伝予選会を無事に突破。全日本は終盤に順位を上げるなど、2年ぶりの箱根駅伝に向けて光が差し込んでいる。

「まずは小島ら主力選手をしっかり復帰させたい。山(5区、6区)はある程度、準備ができつつあるので、往路候補の選手をいかに高いレベルに引き上げるかがポイントになってくると思います」と川崎監督。悪夢を踏み台に、次なる挑戦へ。2022年の正月、中央学院大学の選手たちは2年分の〝想い〟をぶつける。

<総合成績> 11位 5時間19分09秒

 大学名タイム
1位駒澤大学5:12:58
2位青山学院大学5:13:06
3位順天堂大学5:14:20
4位國學院大学5:14:53
5位東京国際大学5:15:13
6位早稲田大学5:16:29
7位明治大学5:16:46
8位中央大学5:17:06
9位法政大学5:17:39
10位東洋大学5:17:58
11位中央学院大学5:19:09
12位東海大学5:19:10
13位帝京大学5:19:51
14位拓殖大学5:22:31
15位日本体育大学5:27:58
全27チーム出場。以下略。

<個人成績>

区間選手タイム区間順位総合順位
1区 (9.5km)松井 尚希 (4年)28分08秒17位16位
2区 (11.1km)栗原 啓吾 (4年)32分39秒11位14位
3区 (11.9km)川田 啓仁 (3年)35分29秒17位14位
4区 (11.8km)吉田 礼志 (1年)34分35秒10位14位
5区 (12.4km)伊藤 秀虎 (2年)37分04秒9位14位
6区 (12.8km)武川 流以名 (3年)38分27秒8位14位
7区 (17.6km)吉田 光汰 (4年)53分01秒7位13位
8区 (19.7km)吉本 光希 (3年)59分46秒8位11位
「第98回箱根駅伝予選会」結果報告 (2021/10/23)

総合7位で2年ぶり箱根路へ返り咲き!エース栗原が日本人トップの快走見せる

第98回箱根駅伝予選会が10月23日、東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地で開催され、本学駅伝部は総合7位で2年ぶりに本戦出場へ返り咲いた。
 昨年の悪夢を乗り越えての通過だけに、「万全なチーム状態ではないなかで、よくがんばってくれた」と、川崎勇二監督の喜びもひとしおだった。

 6月の全日本大学駅伝選考会で好走した武川流以名や松島匠(ともに3年)ら多数の主力がエントリーから漏れ、さらに3年生主将の小島慎也も当日に出走メンバーから外れるという危機的状況。そんな中で指揮官は、エースの栗原啓吾(4年)に日本人トップを狙わせ、吉本光希(3年)が引っ張る第2グループ、糸井春輝(4年)が中心となった第3グループと、集団を2つに分けて通過を狙うレースプランを描いた。

栗原選手(箱根駅伝予選会日本人1位)

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日本人トップに輝いたエース栗原啓吾の激走
 途中で第3グループの糸井が失速するハプニングもあったが、伊藤秀虎(2年)が牽引役を担って大崩れを阻止。第2グループは吉本が設定通りの1km3分ペースで最後まで走り切り、指揮官の期待に応えた。
 そして圧巻だったのが栗原の激走だ。中盤までは集団の後方で体力の温存に努め、20km手前で一気にスパート。最後の直線では強烈な向かい風に阻まれながらも懸命に腕を振り、1時間2分46秒で日本人トップ(8着)に輝いた。これは2007年の木原真佐人、12年の藤井啓介に次ぐ本学3人目の快挙である。
 「監督にはラスト1kmで行くように言われていましたが、少し早めに抜け出し、勝ち切ることを意識して走りました。予選会を通過するだけでこんなに嬉しいものかと……」と、栗原は胸をなでおろしていた。

 振り返れば、ここまでの道のりは紆余曲折に満ちた1年間だった。
 昨年の予選会で12位に終わり、本戦連続出場が「18」でストップ。一度はどん底に打ちひしがれたが、新主将に就任した小島を中心に再スタートを切った。
 まず着手したのが練習内容の見直し。「トレーニングのレベルを上げてください」と選手側から川崎監督へ要望を出し、練習の設定タイムは例年より質の高いものになった。その成果はすぐに表れ、多くの選手が自己記録を更新。栗原は10000mで偉大な先輩・木原の持つ学内記録(28分06秒48)を更新する28分03秒39をマークした。
 5月の関東インカレ(2部)では3000m障害で優勝した吉田光汰(4年)を筆頭に、上野航平(3年)が同3位、副将の松井尚希(4年)が1500m5位、ルーキーの吉田礼志が5000m7位と計4人の入賞者を輩出。6月の全日本大学駅伝選考会でも2組で吉田光汰が原因不明の失速で最下位(40着)に沈むアクシデントがありながら、3組で小島、武川の3年生コンビが1着、2着を占める激走などもあり、総合6位で通過している。

 ここまでは順調に見えたが、再びチームは下降の一途を辿ることになる。夏合宿に入る段階で故障者が続出。8月、9月にはコンディションを崩して練習ができない選手も増え、「チームとしてスタートできたのは10月に入ってから」(川崎監督)という窮状だった。
 それでも、誰一人として諦める者はいなかった。ギリギリまで走り込みを積み重ね、昨年の反省からコンディショニングには細心の注意を払い、走れない者はエントリー選手のサポートに徹した。

 こうして、全員でつかみ取った2年ぶりの箱根路行きの切符。「(本戦の)目標なんて言えるようなチーム状況ではない」と指揮官は謙遜するが、「とにかく2ヵ月先にワクワクの状態でスタートを迎えられるようにするのが私の役目」と準備に抜かりはない。
 前回は関東学生連合の一員として箱根路を駆け抜けた小島も「本戦は出るだけではなく、しっかり戦えるようにしたい」と、再びシード校へと返り咲くつもりでいる。

 「今のチーム状況は底の状態」と川崎監督が話すとおり、2ヵ月後の本番に向けては伸びしろしかない、今回は走ることができなかった小島や武川、松島ら主力の足並みがそろってくれば……。10000m28分台を持ちながら、今回万全の状態で臨むことができなかったルーキー2人、吉田礼志と堀田晟礼が本調子に戻れば……。期待値は高まる一方だ。
 来年の1月2日、生まれ変わったフラッシュイエロー軍団が箱根路へ帰ってくる。
 

2021箱根駅伝予選会02

2021箱根駅伝予選会

2020年度

「秩父宮賜杯第52回全日本大学駅伝対校選手権大会」結果報告 (2020/11/3)

終盤に追い上げて箱根駅伝予選会校では2番目となる11位でゴール

中央学院大学は2週間前の箱根駅伝予選会でまさかの落選。川崎勇二監督は、「私を含めて箱根駅伝予選会のショックから立ち直れない者が多くて、全日本大学駅伝に向かう姿勢を作るのがしんどかった厳しかったです」と苦しい胸の内を明かしていた。

そのなかで14回目となった全日本大学駅伝は過去の実績ではなく調子のいい選手で勝負した。1区武川流以名(2年)がトップと25秒差の15位でスタート。2区小島慎也(2年)は追い上げることができず、順位は変わらない。3区栗原啓吾(3年)は10㎞を28分台で通過するも終盤に苦しくなる。3区終了時で15位と厳しい序盤戦になった。

全日本大学駅伝2020_01

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「1区武川は先頭から15秒以内を設定していました。最後の上りで差がつくぞ、という話はしていたんですけど、そこでの踏ん張りがきかなかったですね。2区は予想以上のハイペースになり、小島はついていくことができませんでした。3区栗原はほぼ予定通りに行っていたんですけど、最後の2㎞で急に失速しました。全体的にラストの切り替えができませんでした」(川崎監督)

全日本大学駅伝2020_02

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1区 武川 流以名(2年)

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2区 小島 慎也(2年) 

全日本大学駅伝2020_04

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3区 栗原 啓吾(3年)
当初は4区に川田啓仁(2年)を起用する予定だったが、故障の影響で変更。箱根駅伝予選会を欠場した戸口豪琉(4年)が出走した。戸口は10秒先行していた東海大学・石原翔太郎(1年)に追いつくも、区間記録を大幅に塗り替えた石原に後半は大きく引き離される。最終的には順位を1つ下げただけでなく、前の大学とは1分近くの差ができていた。5区中島稜貴(2年)と6区伊藤秀虎(1年)は前を必死に追いかけるも、順位を上げることはできなかった。

「4区戸口は『流れを変えたい』という思いで突っ込みましたが、それが災いしたかたちになりましたね。予定よりもタイムが大幅に悪かった。シード権ラインの8位とは3区終了時で48秒差でしたけど、4区終了時で2分27秒差になりましたから。5区中島は学生駅伝初出場で一人旅になりましたが、ほぼ予定通りの走りをしてくれました。力をしっかり出したなと思います。6区伊藤は先のこともあるので期待半分で出場させたんですけど、緊張しすぎて本来の動きではありませんでした」

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4区 戸口 豪琉(4年)

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5区 中島 稜貴(2年)

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6区 伊藤 秀虎(1年)
目標にしていたシード権獲得は絶望的な状況になったが、終盤は4年生が底力を発揮する。7区畝歩夢(4年)が46秒差あった立命館大学に21秒差まで迫ると、8区髙橋翔也(4年)が快走。立命館大学、日本大学、日本体育大学を抜き去り、11位でゴールに飛び込んだ。

「4区終了時でシード権は厳しいと思っていたので、7区以降の4年生に関しては、『悔いのない走りをしなさい』という話をしていました。7区畝は予定よりタイムは悪かったんですけど、あの状況のなかでは力を出せたかなと思います。7区までは関東勢のなかで最下位争いをしていましたが、8区髙橋はキャプテンの意地を見せてくれましたね」

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7区 畝 歩夢(4年)

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8区 髙橋 翔也(4年)
今回は箱根駅伝予選会校が6チーム出場していた。1位の順天堂大学、3位の城西大学、6位の日本体育大学、7位の山梨学院大学、18位の日本大学。それと12位の中央学院大学だ。2週間前のショックが消えないなかで、中央学院大学は箱根駅伝予選会校では順天堂大学の次にフィニッシュしたことになる。箱根駅伝に18年連続出場してきた〝プライド〟を全日本大学駅伝で見せつけた。

「4年生を最後の箱根駅伝に出場させてあげることができずに、本当に申し訳ない気持ちで一杯です。3年生以下の選手たちには、4年生の気持ちを背負ってほしいと思います。シューズの進化もあり、今までの経験値やデータなどが参考にならなくなりました。固定観念を脱却していかないと、時代の波に乗り遅れてしまいます。前向きな考えで新しいことにチャレンジしていきたい」(川崎監督)

19年ぶりに箱根駅伝のない正月を迎える中央学院大学。2021年は〝新たな戦い〟が始まる──。

全日本大学駅伝2020_10

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区間選手出身高校タイム区間順位総合順位
1区 (9.5km)武川 流以名 (2年)島田樟誠・静岡27分32秒15位15位
2区 (11.1km)小島 慎也 (2年)大阪・大阪32分29秒15位15位
3区 (11.9km)栗原 啓吾 (3年)東農大第二・群馬34分26秒11位13位
4区 (11.8km)戸口 豪琉 (4年)武蔵越生 ・埼玉35分49秒17位14位
5区 (12.4km)中島 稜貴 (2年)市立船橋・千葉37分00秒10位14位
6区 (12.8km)伊藤 秀虎 (1年)四日市工業・三重39分17秒14位14位
7区 (17.6km)畝 歩夢 (4年)倉敷・岡山53分36秒12位14位
8区 (19.7km)髙橋 翔也 (4年)市立船橋・千葉59分16秒7位11位
総合成績第11位
総合タイム(106.8km)5時間19分25秒
「第97回箱根駅伝予選会」結果報告 (2020/10/17)

箱根駅伝予選会 まさかの「敗退」

6年ぶりの〝立川決戦〟で本戦連続出場が「18」で途切れる

第97回箱根駅伝予選会が10月17日、東京都立川市の陸上自衛隊立川駐屯地で開催され、本学駅伝部は総合12位で19年ぶりの予選会敗退という結果に終わった。

誰がこのような結末を予想できただろうか。充実の夏合宿を経て、エントリー選手の5000m、1万m、ハーフマラソンの上位10人平均は、それぞれ4位、4位、3位(参考月刊陸上競技11月号)。目標に掲げる「トップ通過」に向け、チームの戦力は例年以上と言っても過言ではなかった。
ところが、歯車は徐々に狂い始めていた。2年連続で箱根駅伝10区を担ってきた石綿宏人(4年)がケガによりエントリー漏れ。さらに、ハーフマラソンでチームトップの1時間1分55秒を誇る戸口豪琉(4年)も、当日の出走リストに名前がなかった。
「石綿の故障は想定外でした。戸口は直前になっても調子が上がらず、やむなく起用を断念しました」(川崎勇二監督)

20201017箱根駅伝予選会

主力の欠場があっても、選手・スタッフの頭に「敗退」の2 文字はなかった。それだけ、自分たちの力を信じていたのだ。
想定以上の高速レースに苦戦し、個々に掲げた目標通りの走りはできなかったかもしれない。それでも、1時間2分03秒の栗原啓吾(3年)ら、出走12人のうち11人が自己新を刻み、上位10人の合計は歴代2位相当の10時間34分36秒。例年であれば通過できるタイムだが、今回は全体のレベルが高かった。本戦出場10校のアナウンスに「中央学院大学」の名前はなく、落胆と沈黙が充満する陣営のテントに冷たい雨が降り注いだ。

「今回はベストメンバーをそろえられなかったのが大きかったですが、それでも落ちるなんて夢にも思いませんでした。『過信』と『慢心』。これまで18年間も箱根駅伝への出場を紡いできたくれた卒業生に申し訳ない」と、川崎監督は声を振り絞った。
しかし、これでチームの戦いは終わりではない。11月1日の全日本大学駅伝では3年ぶりのシード権獲得を狙いにいく。
「今のままでは厳しいですが、何とか8 位以内を確保したい。十何番で終わるようなチームではありませんから」と川崎監督。この悔しさをバネに、伊勢路では〝フラッシュイエロー〟の輝きを取り戻してくれるはずだ。

2019年度

「第96回東京箱根間往復大学駅伝競走」結果報告 (2020/01/2・3)

21回目の挑戦は6年連続シードに一歩届かず

前回、20回目の出場を「5年連続シード」で飾った中央学院大学。節目の年を経て、新たな一歩となる第96回箱根駅伝は厳しい戦いが待っていた。

超高速レースとなった1区に起用されたのは1万mで28分35秒00(大学歴代4位)のタイムを持つ栗原啓吾(2年)。10kmを28分48秒で通過するハイペースも集団後方に陣取りしっかりとついていく。「集団走は自分でも得意だと思っていた」という栗原は徐々に削られていく先頭集団のなかで生き残った。18km過ぎに集団は崩れたが、優勝候補の東海大学や青山学院大学のエースたちと競り合うようにして、ラストスパート。トップの創価大学・米満怜選手(4年)と13秒差の5位で鶴見中継所に飛び込んだ。「先頭との差を15秒以内にすることだけを意識しました。集団走にうまくはまって記録も出せたかな」と栗原。1区の大学記録を46秒も上回る快走だった。川崎勇二監督も「今後につながる走りだった」と評価した。

報告レポート1区栗原選手

各校のエースが集う〝花の2区〟は川村悠登(4年)。前回は1区で14位と低迷したため、同区間でのリターンマッチを誓っていた。しかし、前回2区を務めた髙橋翔也(3年)が直前に故障。大会2週間前にエース区間を走ることが決まった。川村は快調に飛ばして2km過ぎで先頭に追いつき、その後はトップ集団でレースを進めた。14km過ぎから徐々に遅れると、10位でタスキをつなぐ。区間順位は14位と振るわなかったが、設定タイム(1時間8分00秒~1時間8分30秒)をクリアした。それでも川村は、「栗原がいい位置で持ってきてくれたのに、権太坂の下りでリズムを戻すことができませんでした」と自身の走りには納得していなかった。

報告レポート2区川村選手

3区は夏以降の成長が目覚ましい戸口豪琉(3年)が出走した。出雲駅伝と全日本大学駅伝には出場できかったが、9月以降に1万mの自己記録を更新している選手だ。戸口は戸塚中継所を10位でスタート。7km過ぎに拓殖大学と明治大学に抜かされても、マイペースを貫いた。海岸沿いに出てからペースを上げていくレースプランを考えていたが、思惑通りにはならなかった。「調子は良かったんですけど、思うようにペースが上がりませんでした」と戸口。順位を12位に落とすと、シード権ラインとは57秒差がついていた。

報告レポート3区戸口選手

各校が主力を配置する4区は城田航(4年)が起用された。最上級生ながら、三大駅伝の経験は昨年の全日本大学駅伝1区のみ。「全日本は集団についていけばよかったんですけど、今回は前も後ろもいなかった」と、単独走で51秒前にスタートした11位の拓殖大学を追いかけた。二宮(8.9km地点)で11位に転落した東洋大学に14秒差まで詰め寄ると、ほどなく逆転。小田原中継所には11位でタスキをつなげた。57秒差あったシード権ラインを19秒差まで短縮。酒匂橋(15.2km)の通過時は区間14位だったが、最終的には区間10位まで順位を上げた。「とにかく前を追うことだけを考えて走りました」と城田。設定タイムを16秒上回る1時間2分49秒の好走だった。

報告レポート4区城田選手

山上りの5区は初の学生駅伝となる畝歩夢(3年)が挑戦した。今季の畝はエントリーメンバーの中で最も多くのレースに参戦して、経験を積んできた。「試合だと力を出せない」と言われてきたが、秋以降は1万mで自己記録を2度更新するなど、レースでも実力を発揮できるようになってきた。双子の弟・拓夢選手(中央大学)も5区を任され〝兄弟対決〟となったが、畝は「1時間12分切り」にターゲットを絞り、山を駆け上がった。15km過ぎに区間新記録を樹立した東洋大学・宮下隼人選手(2年)に並ばれるも、粘りの走りを見せる。19kmまでデッドヒートを繰り広げて、12位で芦ノ湖のゴールにたどりついた。区間タイムは1時間12分46秒(区間8位)で、「自分の力を出し切ることができませんでした」と畝は悔しがった。順位を1つ落としたものの、10位の拓殖大学とは9秒差。畝の追い上げで、シード権ラインに急接近した。

報告レポート5区畝選手

往路を終えて、9位の早稲田大学から12位の中央学院大学までは29秒差。山下り6区は高校まで野球部で、大学から競技を始めた武川流以名(1年)が抜擢された。初めての学生駅伝でも臆することなく攻め込み、快調に山を駆け下りていく。拓殖大学と早稲田大学を抜き去り10位に浮上すると、19km地点で創価大学もかわす。58分25秒の区間5位と快走。大学記録を更新して、1年生の歴代最高記録も上回った。武川は、「90点ですね。終盤の平地を粘れなかった」と反省点を口にしたが、川崎監督は「駅伝をしたことがないなかで、よく頑張ってくれた」と無印ルーキーの快走に驚いていた。

報告レポート6区武川選手

9位でタスキを受けた7区吉田光汰(2年)は、2019年の関東インカレ2部3000m障害チャンピオン。5km過ぎに腹痛を起こして、苦しいレースになった。17秒後ろにいた創価大学に一度は並ばれるも、粘りの走りを見せて、終盤に突き放した。しかし、20km過ぎに早稲田大学に抜かされ、10位に転落。吉田は「自分のところでチーム目標の6位が見えていたのに、前を追えなかった」と自身の走りに悔しさを滲ませた。

報告レポート7区吉田選手

8区は箱根駅伝初出場となった藤井雄大(4年)。8区の候補は他にもいたが、川崎監督は練習を継続できている面を評価して出走が決まった。しかし、10kmくらいで脚がつりそうになり、12km過ぎからは明確な記憶がないほど苦しんだ。そして、13km過ぎに37秒差あった創価大学に追いつかれると、遊行寺の坂で引き離された。それでも、終盤に意地を見せる。懸命に力を振り絞り、18km過ぎで創価大学に追いつくと、前に出て、少しずつリードを拡大していく。最終的には創価大学に7秒差をつけて、10位でタスキをつなげた。
「監督の期待に応えられず、自分のところでシード権をかなり危うい状態にしてしまった」と藤井。シード圏内はどうにか死守したものの、厳しいレースが続くことになる。

報告レポート8区藤井選手

復路のエース区間である9区は主将の有馬圭哉(4年)が担った。今シーズンは調子がなかなか上がらず、出雲駅伝も出走できなかったが、「お前で決めてくれ」と川崎監督は有馬を送り出した。11位創価大学と7秒差でタスキを受けた有馬は快調に駆け抜けて、横浜駅前(14.5km地点)で創価大学とのリードを22秒まで拡大する。鶴見中継所では創価大学との差を55秒まで広げていた。目標タイム(1時間9分10秒)を上回る1時間8分56秒の区間2位と快走。最後の箱根で、「悔いが残ることなくできたので良かった」と圧巻のパフォーマンスを見せた。川崎監督も「素晴らしかったですね。キャプテンらしい走りをしてくれた。役割を果たしてくれたと思う」と有馬の走りを褒め称えた。

報告レポート9区有馬選手

アンカーは昨年も10区を任された石綿宏人(3年)。前回大会は9位でタスキを受けるも拓殖大学に抜かれて10位に順位を落として、全日本大学駅伝の出場権(関東学連の推薦校)を逃している。その責任を石綿は重く受け止めており、今回はチームに貢献する走りを誓っていた。11位創価大学とは55秒のアドバンテージがある状況で、シード権は〝安全圏〟だと思われた。しかし、石綿のペースが上がらない。そして、追いかけてくる創価大学・嶋津雄大選手(2年)の走りが素晴らしかった。石綿は蒲田(5.9km地点)で創価大学に18秒差まで詰め寄られると、9.5km付近で逆転を許した。その後、ふたりの差はどんどん開いていく。石綿が大手町のゴールに戻ってきたのは11番目。石綿は区間18位、嶋津は区間賞(区間新)だった。「昨年と全く同じ展開になってしまい、申し訳ない」と石綿の涙は止まらなかった。目標としていた6位は遠く、そして6年連続シードにも届かなかった。

報告レポート10区石綿選手

エース髙橋翔也(3年)が直前で故障をしたため、急遽オーダーを変更することになり、「デコボコの駅伝」(川崎監督)になった。それでも、1区栗原、6区武川の快走は未来につながるものになっただろう。来年度は、出雲駅伝の出場権を失い、全日本大学駅伝と箱根駅伝は予選会からの出発となるが、今回の悔しさをバネに中央学院大学は再浮上を期す。
「秩父宮賜杯第51回全日本大学駅伝対校選手権大会」結果報告(2019/11/3)

3区終了時で17位もシード権に28秒差と迫る10位でフィニッシュ

出雲駅伝で11位と苦戦した中央学院大学。13回目の出場となる伊勢路も厳しい戦いが待っていた。1区を予定していた小島慎也(1年)は捻挫のために欠場。同3区の栗原啓吾(2年)も調子が上がらず、出場を見合わせた。そのため学生駅伝未経験となる城田航(4年)が1区に起用された。

プレッシャーのかかる1区を任された城田はトップと22秒差の9位で発進する。出だしは悪くなかったが、2区川村悠登(4年)が区間15位と振るわず、15位に転落。さらに3区吉田光汰(2年)も区間18位のブレーキとなり、17位まで順位を落とした。

「1区城田は終盤で一気に離されましたが、まずまず走ってくれたと思います。ただ、その後がよくありませんでしたね。2区と3区は周囲のペースが速かったために、気持ちが動転したようです。川村は調子が良かっただけに期待外れでした。吉田は経験させる意味での3区起用でしたが、うまくいきませんでした」(川崎勇二監督)

全日本大学駅伝1区:城田航選手

1区 城田 航(4年)

全日本大学駅伝2区:川村悠登

2区 川村 悠登(4年)

全日本大学駅伝3区:吉田光汰

3区 吉田 光汰(2年)
3区終了時でシード権(8位)ラインと2分09秒も引き離されたが、中盤区間の選手たちが奮起する。4区髙橋翔也(3年)が3チームを抜き去ると、5区藤井雄大(4年)は区間9位と踏ん張り、14位をキープ。そして6区有馬圭哉(4年)の3人抜きで11位まで浮上した。

「髙橋は冷静に走れる選手。ある程度のペースでしっかり押してくれました。藤井は当初起用の予定はなく、暑さに弱いので心配していましたが、我慢してくれた方かなと思います。当初7区か8区を考えていた有馬は、夏前から元気がなくて、起用を迷っていました。もう少しいけるかなという欲はあったんですけど、課題であるラストの競り合いで(帝京大に)置いていかれたなという感じです」(川崎監督)

全日本大学駅伝4区:髙橋翔也

4区 髙橋 翔也(3年)

全日本大学駅伝5区:藤井雄大

5区 藤井 雄大(4年)

全日本大学駅伝6区:有馬圭哉

6区 有馬 圭哉(4年)
3人の活躍で18位から11位まで順位を押し上げたが、シード権ラインとのタイム差は1分53秒とさほど変わらない。残りは2区間。7区長山瑞季(4年)は区間11位で順位変動なし。見えない背中を追いかけた8区石綿宏人(3年)は区間6位と好走。立命館大を抜いて、10位でフィニッシュした。終わってみれば、遠かったシード権に28秒差まで急接近していた。

「長山は出雲6区がもうひとつだったので、奮起を促す意味でもロング区間を任せました。4年生ですが、学生駅伝は今季が初めてということもあり、ひとりで走る力がまだ足らなかったですね。8区石綿に渡った時点でシード権は絶望的な状況でしたが、何があるか分かりません。箱根のことも考えてキロ3分ペースで押していくように指示して、ほぼそのペースで走ったので及第点かなと思います」

全日本大学駅伝に出場した8人に対して、個々の評価を話した川崎監督。チーム全体としては、「シード権をひとつの目標にしていましたが、ひとりならまだしも、2区間続けてミスがあった。3区が終わった時点で流れに乗れなかったことがすべてでしたね」と序盤の出遅れを悔やんでいた。

全日本大学駅伝7区:長山瑞季

7区 長山 瑞季(4年)

全日本大学駅伝8区:石綿宏人

8区 石綿 宏人(3年)

全日本大学駅伝:川崎監督

川崎 勇二監督
箱根駅伝に向けては、「前半あれだけ遅れても後半追い上げることができたので、復路に関しては戦えるメドがつきました。問題は往路の出遅れをどのように食い止めるのか。なかでも5区が一番のポイントになると思います」と今後の課題を口にした。

まだ山上り5区の人選は固まっておらず、花の2区を含めて往路に不安はある。さらに日本列島に甚大な被害をもたらした10月中旬の台風19号の影響で、河川敷近くにある中央学院大学の陸上競技場が水没。復旧のメドが立たず、日々のトレーニングにも支障が出ている。〝試練の冬〟を迎えることになったが、21回目の出場となる箱根駅伝は、チーム一丸となって、「6年連続シード」を目指して戦っていくしかない。
区間選手出身高校タイム区間順位総合順位
1区 (9.5km)城田 航 (4年)東京農業大学第二・栃木28分11秒9位9位
2区 (11.1km)川村 悠登 (4年)中央学院・千葉32分56秒15位15位
3区 (11.9km)吉田 光汰 (2年)拓大紅陵・千葉35分32秒18位17位
4区 (11.8km)髙橋 翔也 (3年)市立船橋・千葉34分22秒5位14位
5区 (12.4km)藤井 雄大 (4年)大分西・大分37分15秒9位14位
6区 (12.8km)有馬 圭哉 (4年)東播磨・兵庫38分26秒7位11位
7区 (17.6km)長山 瑞季 (4年)那須拓陽・栃木53分54秒11位11位
8区 (19.7km)石綿 宏人 (3年)市立松戸・千葉59分30秒6位10位
総合成績第10位
総合タイム(106.8km)5時間20分06秒
「第31回出雲全日本大学選抜駅伝競走」結果報告 (2019/10/14)

三大駅伝初戦は11位 中盤以降の失速響く

学生三大駅伝の開幕戦となる出雲駅伝。今年で5年連続10回目と節目の出場となった本学駅伝部は、出場21チーム中11位で大会を終えた。

1区を任されたのは、昨年と同じくエース格の川村 悠登(4年)だ。区間4位だった前回には及ばなかったが、関東勢トップ(2位)の駒澤大学から13秒差の8位と最低限の仕事を果たした。スピード区間の2区は、9月の記録会で10000m28分42秒41を叩き出した小島 慎也(1年)。新人らしく積極的に前の集団を追い、順位を1つ押し上げる好走が光った。
各大学のエース級が並ぶ3区では、不調の髙橋 翔也(3年)が区間11位と苦しんだものの、4区の吉田 光汰(2年)が前を行く順天堂大学を抜き去り6位へ浮上。ところが、5区を走る栗原 啓吾(2年)が区間20位と原因不明の大失速に陥ったのが誤算だった。10位に転落すると、アンカーに起用された長山 瑞季(4年)も1つ順位を落とし、総合11位でフィニッシュを迎えた。

出雲1区川村悠登

1区 川村 悠登選手(4年)

出雲2区小島慎也

2区 小島 慎也(1年)
川崎勇二監督は「栗原の失速は想定外。うちは大エースがいないので、ミスをしたら取り返せない。このままでは上位校と戦っていけない」と厳しい評価。ただし、2区の小島など新戦力の台頭には手応えを感じているようで、11月3日の全日本大学駅伝に向けては「昨年は故障者だらけで思うようなオーダーが組めなかった。ケガをさせずに当日を迎えたい」と、気持ちを切り替えていた。

出雲3区髙橋翔也

3区 髙橋 翔也(3年)

出雲4区吉田光汰

4区 吉田 光汰(2年)

出雲5区栗原圭吾

5区 栗原 圭吾(2年)

出雲6区長山瑞季

6区 長山 瑞季(4年)
写真協力: @pctril_alifeさん
区間選手出身高校タイム区間順位順位
1区(8.0km)川村 悠登(4年)中央学院・千葉24分36秒8位8位
2区(5.8km)小島 慎也(1年)大阪・ 大阪16分32秒5位7位
3区(8.5km)髙橋 翔也(3年)市立船橋・千葉25分01秒11位7位
4区(6.2km)吉田 光汰(2年)拓大紅陵・千葉17分57秒7位6位
5区(6.4km)栗原 啓吾(2年)東農大二・群馬19分40秒20位10位
6区(10.2km)長山 瑞季(4年)那須拓陽・栃木30分50秒11位11位
総合成績第11位
総合タイム(45.1km)2時間14分36秒

2018年度

「第95回東京箱根間往復大学駅伝競走」結果報告 (2019/01/2・3)

総合10位で5年連続のシード権を確保

1区 川村 悠登(3年)
17年連続20回目の出場となった箱根駅伝。切り込み隊長の役目を託されたのは、今季1万mで28分39秒39(大学歴代5位)を記録するなど成長著しい川村 悠登(3年)だ。出雲駅伝でも1区4位と好走しており、初めての箱根駅伝にも「思ったほど緊張しなかったですし、いつも通りの感じでレースに臨むことができた」と明かす。
序盤はスローペースで進む集団の中で力を溜めていたが、18km過ぎで東洋大・西山 和弥(2年)が仕掛けたところでついていくことができず、終盤は徐々に後退して14位で鶴見中継所へ。「自分の走力不足が身に染みてわかった」(川村)と納得の結果は得られなかった。川崎 勇二監督は1区を「先頭と15秒差でつなげれば」と想定していたが、実際には先頭の東洋大から39秒差。チームとしてはやや想定外の出だしとなった。

2区 髙橋 翔也(2年)
各校のエースが集う〝花の2区〟を任されたのは髙橋 翔也(2年)。前回の箱根では1年生ながら4区区間10位と上々の箱根デビューを飾っており、今季は出雲(3区8位)、全日本(1区6位)でも好走している。川崎監督は期待の2年生に「区間ひとケタが狙える」と高い評価をつけていたが、髙橋は1区からの悪い流れを断ち切ることができなかった。
序盤は明治大学、日本体育大学、帝京大学と11位争いを繰り広げていたが、他校のエース級に圧倒され、中盤から失速。順位を2つ落とす区間16位。「残り3kmで切り替えられないくらい脚が動かなかった。全体的にレベルが高くて、今の自分では太刀打ちできない」と、髙橋は自身の走りを悔やんだ。

3区 栗原 啓吾(1年)
往路序盤で先輩が苦戦する中、3区を任された栗原 啓吾(1年)は非常に落ち着いた走りを披露した。序盤で後ろから追ってきた明治大学に抜かれ、さらに早稲田大学に追いつかれる状況でも「初めての箱根で不安もあったけど、前半から予定していたペースで走れた」と、自分の設定タイムを忠実に守り、後半にかけて猛チャージ。ラスト3kmで、並んでいた早稲田大学を突き放すと、前を行く日本体育大学、日本大学をかわし、前の中継所から1つ順位を上げる15位(区間13位)で4区へ中継した。
栗原は群馬・東農大二高時代に5000m14分05秒45を記録した期待のルーキー。今季は1年生ながら出雲、全日本の両駅伝にも出走し、距離が延びる箱根の舞台でも、「初めての箱根にしては上出来。栗原が後半盛り返してくれたおかげで流れが変わった」と指揮官が評価するほどの結果を残した。

4区 有馬 圭哉(3年)
山上りに入る前の重要な区間として位置付けられる4区には、前回8区で区間10位の走りを見せた有馬 圭哉(3年)が起用された。タスキを受けた時点でシードラインから1分39秒遅れていたが、有馬は区間6位の好走でその差を46秒とし、13位に順位を押し上げた。
「3区の栗原が流れを変えてくれたので、それが刺激になりました。後ろから追い上げてきた早稲田大学の選手が自分の設定より速いペースだったのですが、必死に食らいついていけたのが良かったです」と有馬。後輩が引き寄せた流れをさらに加速させ、小田原で待ち受ける5区の同級生へタスキを託した。

5区 高砂 大地(3年)
最大標高874mの山を駆け上がる5区では、昨年度の全日本大学駅伝以来1年2ヶ月ぶりのレース復帰となる高砂 大地(3年)が大仕事をやってのけた。高砂は13位でタスキを受けると、7km地点の大平台までに前の東京国際大学に追いつき、10km過ぎには中央大学を抜いて11位に浮上。20km手前で明治大学をかわし、3人抜きの10位で芦ノ湖のフィニッシュ地点に飛び込んだ。
高砂本人は「目標としていた1時間12分台には届かなかったですし、予想以上の寒暖差にやられました」と振り返るが、1時間13分08秒の区間9位は復帰レースとしては上出来な結果と言える。これまで度重なる故障などで戦列を離れていたが、1年時に花の2区を任された高いポテンシャルを発揮し、エースとしての役割を全うした。

6区 樋口 陸(4年)
6区は4年連続出場となった樋口 陸(4年)。9位の帝京大学を2秒差で追う絶好のポジションで走り始めたが、今回は4年間で最も苦戦する山下りとなった。区間5位の58分44秒で駆け抜けた帝京大学・島貫 温太(3年)にまったくついていけず、逆にスタート時は42秒も差があった11位の明治大学に、4.8km地点の芦之湯で7秒差まで詰められる展開。最後まで抜かれることはなかったものの、樋口は4年間でワーストの区間12位(60分14秒)で最後の箱根を終えた。
当初、川崎監督は「59分くらいではいける」と想定しており、今回の樋口の走りには「誤算だった」と肩を落とした。本人は「空回りしてしまった」とレースを振り返り、シード権獲得は7区以降の後輩に託されることになった。

7区 吉田 光汰(1年)
7区は出雲、全日本の両駅伝にも出場している吉田 光汰(1年)が初めての箱根路に挑んだ。吉田は後ろから追い上げてきた明治大学・小袖 英人(2年)に逆転され、11位に転落。だが、「監督には後半勝負だと言われていたので、徐々に追い上げて行ければ」と、1年生ながら冷静にレースを組み立て、その後、失速した明治大学を再逆転してみせる。
前を走る9位の拓殖大学との差も2秒詰め、「区間順位(16位)は悪いですけど、設定タイムとほぼ同じで走れているので、力は発揮したと思います」と監督が評価するほどの仕事を果たした。とはいえ、この時点で9位と30秒差、11位と27秒差の10位。運営管理車に乗る監督にとってはヒヤヒヤの展開が続いた。

8区 大濱 輝(3年)
例年、川崎監督が重視する傾向のある8区は、学生駅伝初出場となる大濱 輝(3年)が力走を見せた。「あまり前のことは意識せずに、各ポイントのタイム設定を守ることだけを考えて走っていました」というが、その心構えが奏功した。じわりじわりと9位の拓殖大学に迫り、15km過ぎの遊行寺坂を過ぎてから一気に逆転。レース終盤に差し掛かり、ようやくひとケタ順位に浮上した。
大濱は自らの設定タイムを10秒上回る1時間6分00秒で走破し、区間5位。これには指揮官も「ギリギリまで長山(瑞季、3年)にするか迷っていたのですが、すごく良い走りをしてくれた」と賛辞を惜しまなかった。拓殖大学を逆転したことで、全日本大学駅伝の推薦出場枠(前回の全日本でシード権を獲得した大学以外の箱根上位2校)に突入。9区以降は、いかに「9位」を死守するかという戦いに変わっていった。

9区 釜谷 直樹(4年)
9区を任されたのは釜谷 直樹(4年)。全日本でも長距離区間の7区を担った実力者だが、今回は気負いがあったのか、最初の1kmを「2分38秒くらい」で突っ込んでしまう。案の定、中盤以降は失速し、鶴見中継所では10位拓殖大学と29秒差、11位明治大学とも57秒差と迫られ、後続の大学に逆転シードの可能性を与えてしまった。
「調子は良かったのですが、前半飛ばし過ぎました。後半は全然ダメだったですね」と川崎監督も辛口評価。兵庫県の名門・西脇工高の出身で、コツコツ力をつけて4年目にして初めて箱根出走のチャンスをつかんだが、心残りのある走りで終わってしまった。

10区 石綿 宏人(2年)
すべてが決まる10区は、川崎監督が「復路で一番自信を持って送り出した」という石綿 宏人(2年)。暑さにも風にも強い選手として信頼の高い選手だが、この日は本来の走りが見られなかった。途中から吹き荒れた向かい風に苦しみ、後ろから猛追する拓殖大学に逆転を許してしまう。運営管理車に乗る監督から「何としても前につけ!」と檄が送られるが、最後まで自身の走りを取り戻せず、前回と同じ10位でフィニッシュ。石綿は区間9位と特別悪い走りではなかったが、指揮官の高い期待に応えることは叶わなかった。
主将の廣 佳樹、前回2区の市山 翼(ともに4年)、副将の藤田 大智、1万m28分29秒12を持つ横川 巧(ともに3年)らを故障などで欠く苦しいオーダーだったが、これで箱根駅伝の5年連続シード権を確保した。しかし、全日本大学駅伝の推薦出場をあと一歩で逃したこともあり、陣営に笑顔は見られなかった。
「秩父宮賜杯第50回全日本大学駅伝対校選手権大会」結果報告 (2018/11/4)

ベストメンバー組めず14位も箱根につながる激走

第50回大会という節目を迎えた全日本大学駅伝は、今回から1~7区の距離がリニューアル。〝新たな戦い〟となってスタートした。各校の指揮官が区間配置に頭を悩ますなか、中央学院大学のチーム状況は深刻だった。

1年時からチームの主軸として活躍してきた横川 巧(3年)と高砂 大地(3年)が出雲駅伝に続いてエントリー漏れ。今年の箱根駅伝で2区を務めた市山 翼(4年)、出雲1区を区間4位と好走した川村 悠登(3年)も当日のオーダー表に名前がなかった。

ベストメンバーを組むことができず、川崎 勇二監督は、「主力の故障もあり、駅伝にならないような状況でしたので、箱根のことを考えて、いつもなら使わないような区間に選手を起用しました」と〝経験重視〟のレースで臨んだ。

そのなかで1区髙橋 翔也(2年)はトップの帝京大と9秒差の5位と好発進する。2区廣 佳樹(4年)はキャプテンの意地で踏ん張るも、スピードランナーを相手に大苦戦。9位に転落した。アップダウンのある3区と4区は1年生を抜擢。3区栗原 啓吾は早稲田大学にかわされるも、神奈川大学を抜いて順位をキープした。しかし、4区吉田 光汰が順位を3つ落とすことになる。

「1区髙橋は順位的にまずまずでしたけど、切り替えが得意ではないので、ラストで置いていかれました。廣は2区向きではありませんが、チームが危機的な状況だったので、主将としてキャプテンシーを見せてくれるかなと思って、あえて起用しました。3区栗原は結果として良くなかったですけど、各校の主力を相手によく走りました。4区吉田は起伏に対応できる能力があると思っていましたが、現状では厳しかったですね」(川崎監督)

今大会からシード権が6位から8位以内に拡大。4区終了時で中央学院大学は12位で、シード権ラインまで1分03秒差につけていた。後半区間で巻き返しが期待されたが、5区以降も厳しい戦いが待ち構えていた。

5区藤井 雄大(3年)と6区石綿 宏人(2年)は1つずつ順位を下げて、7区釜谷 直樹(4年)は14位をキープ。最終8区の有馬 圭哉(3年)はアグレッシブな走りで前を行く順天堂大学を抜き、一時は13位に上がるもゴール手前で再度逆転を許してしまい12回目の伊勢路は総合14位でレースを終えた。

「最近頑張っていた藤井を5区に、箱根に近い距離を体験させたかった石綿を6区に起用しました。結果はもう少しでしたけど、良い経験になったと思います。学生駅伝初出場だった7区釜谷は、練習はできていてもやってみないと分からない部分がありましたが、及第点です。箱根の復路に使える見通しがついたかなと思います。8区有馬は前半攻めた結果です。積極的なタイプではありませんが、気持ちの面でも頑張ってくれました」(川崎監督)

出雲では3年生以下のメンバーで6位に入ったが、全日本の戦いは甘くなかった。14位という結果は、2013年以降の学生三大駅伝で2014年の全日本に並ぶワースト順位。しかし、そのときは箱根駅伝で8位に食い込み、「4年連続シード」の足掛かりとなっている。

「不安なところが全部出てしまい、ある意味、実力通りです。でも、適正のない区間に起用して、悪いなりにも収穫はありました。今後は不安要素をなくすためにも、故障者をひとりでも早く復帰させたい。そして箱根駅伝に向けて、チーム一丸となって取り組んでいきたいです」(川崎監督)

5年連続シードを目指し、さらに上位へ。記念すべき20回目の出場となる箱根駅伝で真の実力を発揮した。
「第30回出雲全日本大学選抜駅伝競走」結果報告 (2018/10/8)

若手主体で6位と健闘!

学生三大駅伝の開幕戦となる出雲駅伝。4年連続9回目の出場となった中央学院大学は、出場21チーム中6位の結果を収め、6人中5人が2年生以下という若手主体のオーダーで一定の成果を挙げた。

スタート時の気温は24.5℃。「直射日光が厳しく、体感では去年(27.5℃)よりも暑かった」と、川崎勇二監督が話すほどの厳しい気象条件で、第30回大会の幕が明けた。チームの先陣を切る1区は、9月下旬の日体大長距離競技会で10000m28分39秒39(大学歴代5位)の好タイムをマークした川村悠登(3年)。今季絶好調の勢いをそのままに、先頭から16秒差の4位と好発進した。

「タイム的には良いとは思いませんが、暑いコンディションを考えれば良く走ったと思います。他大学のメンバーを考えても、青学大(橋詰大慧)と東洋大(相澤晃)以外とは互角に戦えると思っていたので、予想通りの結果でした」(川崎監督)

2区の栗原啓吾(1年)、3区の髙橋翔也(2年)は順位を1つずつ落とし、総合6位で4区の吉田光汰(1年)へタスキリレー。5月の関東インカレ2部3000m障害で2位に輝いた期待のルーキーは、区間トップの青山学院大学・吉田圭太(2年)とわずか20秒差の区間6位にまとめ、5位の帝京大学と同タイムの6位でタスキを繋いだ。

「2区はスピードランナーが揃う厳しい区間ですが、その中でも栗原はよく耐えた。及第点をあげてもいいのかなと思います。3区の髙橋は(身体の)線が細いタイプなので、向かい風の弱さが出てしまいました。彼は9月に10000m28分台(28分54秒68)に入りましたが、まだまだタフさが足りません。4区の吉田は、初めての大学駅伝にしてはよくまとめたと思います。1年生の中では1番夏合宿で練習ができたメンバーなので、今後はもう少し積極的な走りを期待したいです」(川崎監督)

5区の青柳達也(1年)は区間10位と力を出し切れなかったが、アンカー6区の石綿宏人(2年)が積極的な走りで前との差を詰め、前を走る帝京大学と2秒差の6位でフィニッシュ。この順位は2016年の4位に次ぐ過去2番目タイの成績だ。

「今回の出雲は、まずは(駅伝未経験者を)経験をさせること、そして今季成長を見せた川村、髙橋、石綿が主要区間でどれだけ他大学と戦えるか、その2点を試す狙いでオーダーを組みました。総合6位は予想よりも良かったですし、この先もミスさえしなければ順位はついてくるかなと思います」と、レースを総括した川崎勇二監督。主力の上級生を外した“お試しオーダー”でもこれだけの順位で走れたことは、今後の自信につながったに違いない。11月4日の全日本、そして正月の箱根駅伝へ向け、弾みがついた様子だ
総合成績第6位
総合タイム(45.1km)2時間15分04秒

2017年度

「第94回東京箱根間往復大学駅伝競走」結果報告 (2018/01/2・3)

4年連続シードを達成!最上級生の好走光る!

「総合5位」を目指して、16年連続19回目の箱根駅伝に挑戦した中央学院大学。
3区終了時で17位と苦戦するも、5区細谷恭平(4年)が5人抜きを披露。
最後は10位でゴールを迎え、大学初となる4年連続シードを獲得した。
1区大森が9位と好発進
緊張感あふれる1区は〝切り込み隊長〟の大森澪(4年)に託された。副将の大森は前回も区間8位と好スタートを切っており、今季は出雲(区間3位)と全日本(区間6位)でも1区を担当。常に安定した成績を残してきた選手だ。
ハイペースで進む集団のなかでじっくりと力を溜めた大森は、18㎞付近の六郷橋で集団がバラけた後も粘りの走りを見せる。区間賞を獲得した東洋大学の西山和弥(1年)に36秒差をつけられたが、チームが目標とする5位(青山学院大学)とは11秒差の9位にとどめるなど、立派に最後の大役を果たした。

当日変更の市山が粘る
花の2区は、前回2区を務めた高砂大地(2年)が準備していたものの、故障の影響で仕上がりが遅れた。そのため8区を予定していた市山翼(3年)が当日変更でエース区間に入った。
シード圏内でタスキを受けた市山は、他校のエースに遅れはしたが、区間17位と踏ん張った。シードラインである10位(順天堂大)から57秒差の14位で戸塚中継所へタスキを運んだ。
「急な起用でしたので、仕方ありません。よくまとめてくれました」と川崎勇二監督。
今季はチーム内でも特に成長を見せた市山が重圧のかかるエース区間で奮闘した。

期待の横川がペースダウン
2年連続で3区を任された横川巧(2年)は、同区間にエントリーされた選手中2番目となる、1万m28分29秒12のスピードを持つ。全日本大学駅伝の直前に故障をした影響で仕上がりは万全ではなかったが、順位を上げる役目が期待されていた。
ところが前半から持ち味である積極性が見られず、徐々に後退。平塚中継所には17位でたどり着き、3つ順位を落とした。
「不安もあり、チームの足を引っ張ってしまいました」と自身の走りを悔やんだ横川。
後続の選手に巻き返しを託すことになった。

ルーキー髙橋が奮闘
4区髙橋翔也(1年)は出雲・全日本の両駅伝に出場して、ともに区間6位と好走を見せている〝未来のエース〟候補。厳しい展開のなかでも落ち着いた走りを披露し、1つ前を走っていた大東文化大学をかわして16位に浮上した。
「沿道は人が多くて、楽しく走ることができました」と高橋。準エース区間で区間10位という堂々の箱根デビューを飾り、〝山のエース〟にタスキを渡した。

今回も細谷が山上りで快走
山上りの5区は、今回もこの男が快走を見せた。前回11位から7位へ順位を押し上げ、6位入賞の立役者となった細谷恭平(4年)だ。予想外の順位に焦りが出たのか、「予定よりもかなり速く突っ込んでしまいました」と細谷。序盤は監督の指示通りに走れなかったというが、10㎞付近で1分以上前にいた山梨学院大学をかわすと、芦之湯(15・8㎞地点)までに國學院大學、駒澤大学、帝京大学をとらえた。
終盤には神奈川大学も抜き去り、芦ノ湖の往路ゴールに11位でフィニッシュ。4位の拓殖大まで1分38秒という僅差でタスキを運び、復路に希望をもたらした。区間賞には33秒届かなかったものの、前々回の8区、前回の5区に続き、3年連続となる区間3位。最後の箱根路でも輝きを放った

ヒヤヒヤの復路 シード権は死守

6区樋口が意地の走り
3年連続6区となった樋口陸(3年)は11位で芦ノ湖をスタートする。前回の箱根後に喉の手術をし、さらに度重なる故障が続き、復帰したのは11月。わずか1ヶ月半の練習で箱根を迎えることになったが、中盤まではさすがの走りを見せた。
後方から追いついてきた帝京大学とともにシード圏内へ迫ると、芦之湯(9㎞地点)までに中央大学を抜き去り、徐々に前方との差を詰めていく。その後、帝京大学には突き放されたが、小田原中継所までに日本体育大学をかわし、1つ順位を上げる力走。区間6位と意地を見せた。
「上り坂とラスト3㎞で区間上位の選手に離され、タイムは良くありませんでした」と樋口。自身の走りには納得していなかったが、シード圏内にタスキを押し上げた。

主将・新井が区間6位
7区は主将・新井翔理(4年)が最後の箱根駅伝に挑んだ。前回と前々回は4区を担ったが、今回は復路にまわり、シード権争いにおけるポイント区間に配置された。
7位(帝京大学)から11位(日本体育大学)までが31秒差という大混戦のなか、新井は順天堂大学をかわして9位に浮上する。その後、区間2位と快走した日本体育大学にかわされ、10位に転落したが、新井は区間6位と好走。11位・順天堂大学との差を2分36秒まで開き、シード権はほぼ手中にしたように見えた。

8区有馬で8位へ浮上!
頼れるキャプテンからタスキを受けた箱根駅伝初出場の有馬圭哉(2年)。駅伝デビューとなった全日本大学駅伝で7区区間7位と好走し、指揮官の信頼を得た成長株だ。有馬は積極的な走りで前を行く拓殖大学、帝京大学に追いつき、8位集団のなかでレースを進めた。
「前の2チームに追いついてからは風に負けてしまいました」と有馬は口にしたが、戸塚中継所では2校を引き離し、今大会では最高位となる8位でタスキリレー。これには川崎監督も「焦ることなく自分の力を発揮してくれた」と高い評価をつけた。ただし、11位の順天堂大学との差は1分40秒にまで縮まっていた。

9区廣で再び10位へ転落
復路のエース区間である9区には、前回8区の廣佳樹(3年)が起用された。廣は後ろから追い上げてきた拓殖大学、帝京大学と再び8位グループを形成。両校とも2年生だったことから、先輩として引き離しにかかりたいところだったが、後半に突き放され、鶴見中継所では10位に転落した。さらに後ろからは順天堂大学が迫ってきて、その差は1分04秒。「有馬が前との差を詰めてくれたにも関わらず、順位を下げてしまいました」と廣は悔しがった。前回(8区)と同じ区間13位に終わり、不完全燃焼になってしまった。

藤田がシード権を死守
前を走る9位帝京大学とは50秒差もあり、いかにシード権を確保するかが焦点となった最終10区。終始単独走となった藤田大智(2年)は、「遅いペースからなかなか抜け出せなかった」(川崎監督)と、思うようにペースが上がらない。鶴見中継所では1分04秒あった11位の順天堂大学・花澤賢人(4年)とのリードはみるみる縮まっていき、新八ツ山橋(13・3㎞地点)で45秒、御成門(18・1㎞地点)で22秒と、つかまるのは時間の問題かと思われた。
ところが、その後は花澤のペースが鈍り、差が縮まらなくなる。藤田は後ろからの追い上げを肌で感じながらも必死に逃げ、ついに10位で大手町へ帰ってきた。

「こんなに疲れた2日間はありませんでした」と振り返った川崎監督。今回はミスも多かったが、どうにか10位は死守して、大学初となる〝4年連続シード〟を達成した。
「秩父宮賜杯第49回全日本大学駅伝対校選手権大会」結果報告 (2017/11/5)

6位入賞で2年連続のシード権獲得!

2017年11月5日(日)、愛知県・熱田神宮西門前から三重県・伊勢神宮内宮宇治橋前の8区間106.8キロに27チーム(オープン参加2チーム含む)が出場する熱い戦い「第49回全日本大学駅伝対校選手権大会」が開催され、本学駅伝部は5年連続11回目の出場を果たした。午前8時の名古屋の天気は晴れ、気温12度、当日は風が強く吹く場面もあり、風を考慮して走らなければならないレースとなった。

各大学のエース級の選手が揃った1区(14.6km)を任されたのは、監督からの信頼も厚い大森 澪(4年)。前月10月に行われた出雲駅伝でも1区を任され、昨年の同大会でも1区を走っている。序盤からペースの上げ下げも大きく、ハイペースとなる苦しいレース展開となったが、先頭とは差の無い第2集団に粘り強く食らい付き、トップと14秒差の6位で襷を繋いだ。

2区(13.2km)を走るのは当日エントリー変更で起用となったキャプテンの新井 翔理(4年)。途中、全日本大学選抜チームを抜き5位に浮上したが、終盤に優勝候補の東海大学、青山学院大学に抜かれ順位を一つ落し7位で襷を繋いだ。

3区(9.5km)を任されたのは廣 佳樹(3年)。前を走る青山学院大学に少し離されはしたものの安定した走りを見せ、順位を落とすこと無く襷リレー。

そして、中盤の勝負どころである4区(14.0km)を任されたのは昨年も1年生ながら同区間3位の走りをみせた高砂 大地(2年)。強い日差しを正面から受け、気温も上昇し選手には苦しい状況ではあったが、襷を受け取った時点では前を行く6位の早稲田大学と20秒あった差をわずか2秒まで詰め、シード権争いを射程圏内に捉え襷を繋いだ。

5区(11.6km)を任されたのは当日のエントリー変更で大学駅伝初出場となった市山 翼(3年)。中盤まで早稲田大学と並走していたが後半は徐々にペースを上げていき、最後は1分差まで引き離しシード権内の6位に順位を上げて襷を繋いだ。

続く6区(12.3km)は出雲駅伝に続きエントリーされたルーキーの髙橋 翔也。前を行く5位の東洋大学との差を2分39秒から1分28秒まで縮め、過去最高順位だった前回大会の5位へ向け、気迫のこもった走りで期待に応えた。

7区(11.9km)を任されたのはこちらも大学駅伝初出場となった有馬 圭哉(2年)。監督の期待にしっかりと応え、積極的な走りで東洋大学との差をさらに20秒縮めて最終ランナーへ襷を託した。

そして最終8区(19.7km)を任されたのは、今年の箱根駅伝5区の山登りで爆発的な走りを見せた細谷 恭平(4年)。この大会で一番距離が長く、過去には様々な逆転劇を生んできた区間でもある。細谷は万全の状態ではなかったものの各大学のエースに負けない気迫で走りきり、前回大会より1分37秒上回る総合タイム5時間17分59秒の第6位、本学歴代最速タイムでフィニッシュ。全員の力で次回大会へのシード権を掴み取り、今大会の幕を閉じた。

レース後、川崎監督は「学生は5位を目標としていたので不満は残りますが大きなミスがなかったのが今回の結果に繋がったと思います。『選手全員が区間一桁順位で走ればそこそこの順位にはなる』と話しています。今回も高砂だけは10位でしたが他はみんな区間一桁でした。ただ、区間一桁でも全部一桁後半です。このままでは箱根は戦えません。箱根まであと2ヶ月あります。今日のメンバー以外にも力のあるメンバーがたくさんいますので切磋琢磨して彼らの掲げる目標を自力で掴めるように意識を持って取り組ませたいと思います。すぐに強くはなれません。ただ意識だけは変えることができます。意識改革にこれから取り組みたいと思います。」と来年の箱根駅伝への意気込みを語った。
「第29回出雲全日本大学選抜駅伝競走」結果報告 (2017/10/9)
2017年10月9日(祝)学生三大駅伝の開幕戦となる「第29回出雲全日本大学選抜駅伝」が島根県出雲市にある出雲大社正面鳥居前から出雲ドーム前までの6区間45.1キロで争われた。本学は3年連続8回目の出場となり、前回大会過去最高位だった4位を超える成績が期待された。スタート時の気温は27.5度と前回大会より7度も高く、この暑さが今回のレースをより厳しいものにしたのであった。

1区(8.0km)を任されたのは大森澪(4年)。各大学とも1区で良い流れをつくって優位にレースをすすめたいとの思いから主力選手が配置されるなか、終始先頭グループでレースをすすめた。残り2キロを切ったところで東海大学がロングスパートをする際にも持ち前の力強い走りで必死に食らいつき3位争いの4校の中から抜け出しトップと13秒差の3位(23分29秒)で2区へ襷を繋いだ。

2区(5.8km)は前回大会で1区を走った横川巧(2年)。彼のトレードマークとなった丸刈りにハチマキ姿で登場。残り1キロ手前で後続から区間新ペースで迫ってきた青山学院大学の田村選手に抜かれたが、再度抜き返す根性を見せるも最後は及ばず4位で3区へ繋いだ。

エース区間と呼ばれる3区(8.5km)を任されたのは前回大会6区で好走した高砂大地(2年)。4位で襷を受け、最初の1kmで前を行く青山学院大学、神奈川大学に追いつき2位グループを形成。しかし、西代橋の上りにかかったあたりでの強烈な向かい風の中、必死に前を追いかけるも後半はやや脱水症状となり一つ順位を落とし5位でリレーした。

4区(6.2km)は前回大会5区を走った廣佳樹。前を行く神奈川大学にすぐに追いつき並走を続ける我慢の走りが続く。残り1km付近から一気にペースを上げ、神奈川大学を突き放し区間3位の見事な走りで4位に順位を上げてルーキーの高橋翔也に襷を繋いだ。

5区(6.4km)を任されたのは、市立船橋高校出身の高橋翔也(1年)。直前の日体大記録会10,000mを29分02秒98と自己ベストを大きく更新して今大会に臨んだ。向かい風の中しっかりとした足取りで危なげない走りを披露。前を行く東洋大学と48秒差で受け取った襷を11秒差に大きく詰め、しっかりと役割を果たして最終区間へと繋いだ。

今大会最長区間の最終6区(10.2km)を任されたのは、川崎監督が今年度の活躍を期待し起用した福岡海統(3年)。しかし、10月とは思えない強い日差しと暑さのせいか福岡のペースは上がらず区間14位と失速、順位を4つ落し8位でゴールした。

レース後、川崎監督は「6区は期待していただけに少し残念でしたが、5区まではある程度の存在感を示せたと思います。全日本大学駅伝、箱根駅伝に向けてある程度やれるという気持ちになれたので徐々に上げていきたいと思います。」と全日本大学駅伝(11月5日)、箱根駅伝(来年1月2・3日)での巻き返し、そしてこれからの活躍を期待させるものであった。

出雲駅伝の感想

1区:大森 澪選手
1区としての責任と、自覚を常に頭に入れて走りました。あまり得意な距離ではありませんでしたが、沿道からの応援などもあり、最後まで粘りきれました。

2区:横川 巧選手
区間賞が取れず悔しい。

3区:高砂 大地選手
ハイペースや起伏、風すべての条件に対しての準備不足また日頃の対応・対策不足だったと感じます。ラストスパートの絞り出しをもっとできるようにしたかったです。

4区:廣 佳樹選手
暑さと向かい風の中でのレースでしたが、条件は全員一緒なので積極的な気持ちで走ることができましたが、後半、大幅に失速してしまい大きな課題が残りました。

5区:高橋 翔也選手
積極的な走りができたのですが後半失速してしまい前に追いつくことができませんでした。沿道の応援のおかげで失速しても粘って走れました。

6区:福岡 海統選手
5区までの皆が頑張ってくれたのに自分だけ力を出し切れず粘れませんでした。アンカーとして情けなく思いました。

箱根駅伝に向けての抱負

1区:大森 澪選手
チームに置かれている自分の立場をしっかり考え、チームに必ず貢献します。

2区:横川 巧選手
中央学院旋風を巻き起こします。

3区:高砂 大地選手
気持ちを切り替え、これ以上に強い気持ちで練習します。

4区:廣 佳樹選手
上級生の自覚と責任をしっかりと持ち、普段から練習し、チームに尽くすレースをします。

5区:高橋 翔也選手
スタート地点に立ったら1~4年生関係ないので積極的な走りをしてチームに貢献したいです。世代トップの活躍をしたいです。

6区:福岡 海統選手
物怖じせず自分の走りをしたいです。どんな状況でも走れるようにします。

2016年度

「第93回東京箱根間往復大学駅伝競走」結果報告(2017/01/2・3)

上りの5区に「救世主」現る

1区の大森が流れをつくる
2年連続でシード権を獲得している中央学院大学は、「5位以内」を目指して18回目の箱根駅伝を戦った。前回まで4年連続で1区を務めた潰滝大記(現・富士通)が卒業。新たにチームに「流れ」を作る役目を託されたのが大森澪(3年)だ。
安定感のある大森で高速レースに対応する作戦だったが、予想に反してスローな展開になった。大森は集団のなかで冷静にレースを進めた。18㎞付近で遅れ始めるが、その後は踏ん張り、トップの東洋大学と22秒差の8位で鶴見中継所へ。スターターとしての役割を十分に果たした。本人も「調子が悪いなかでは、粘りの走りができたかなと思います」と自身の走りには納得していた。

2区でルーキーが大苦戦
「花の2区」には出雲と全日本で活躍した高砂大地(1年)が抜擢された。しかし、2週間前に体調を崩した影響もあり、リオ五輪3000m障害に出場した順天堂大学のエース塩尻和也(2年)に食らいつくも10㎞手前で後退。集団からズルズルと引き離された。「10㎞を設定していた28分台で走ることができず、余裕もありませんでした」と高砂。後半は厳しい走りになり、14位まで順位を落とした。今回は区間15位と苦戦したが、「今回の悔しさを生かして、この2区で区間賞を獲れる選手になりたいです」とリベンジを誓っていた。

積極レースも終盤に失速
3区横川巧(1年)は持ち味である攻めのレースを展開した。10㎞を28分45秒で通過すると、茅ケ崎(14・3㎞地点)で区間トップの快走。18㎞までに法政大学、日本体育大学、大東文化大学、東海大学、日本大学、順天堂大学をかわした。「いつも通り積極的に突っ込んで後半粘るつもりでした。動きは良かったんですけど、18㎞過ぎの湘南大橋から苦しくなってしまいました。」と横川。残り約3㎞で5チームに抜き返されて、最終的にはひとつアップの13位でタスキをつないだ。

準エース区間で11位に
2区と3区の1年生コンビからタスキを託されたのは、前回も4区を走っている新井翔理(3年)。今季は故障の影響で調整が遅れていたが、出雲駅伝では2区4位という成績を挙げている成長株だ。13位でタスキを受けた新井はすぐに11位争いに加わり、一時は単独10位にまでランクアップ。最終的には11位でタスキを渡すも、東海大学と大東文化大学を抜き去った。本人は「結果を残せずに悔しい」と話したが、距離延長で「準エース区間」となった4区で順位を2つ上げる走りは頼もしかった。

5区、細谷が4人抜き夏に右中足骨を疲労骨折して、本格的な練習は12月からだったという5区細谷恭平(3年)が「山」で驚きの走りを見せる。箱根湯本(2.5㎞地点)の通過は20番目も、本格的な上りが始まると、その動きが切り替わった。
「平地はゆっくり入り、上りからがんばろうと思っていました。まわりは気にせず、自分のリズムで行きました」と細谷。芦之湯(15.8㎞地点)では区間トップの駒澤大学・大塚祥平(4年)と3秒差まで大躍進する。区間賞には22秒届かなかったが、区間3位と快走して、拓殖大学、法政大学、創価大学、帝京大学の4チームを抜き去り、往路を7位でフィニッシュした。

復路は4年生が集大成の大活躍

山下りで6位に浮上
復路のスターターとなる山下りの6区は昨年に引き続き樋口陸(2年)が登場した。前回は区間歴代4位の58分47秒で走破しており、今回は区間記録(58分09秒)の更新も視野に入れていた。
7位で芦ノ湖をスタートした樋口は、前を行く神奈川大学と駒澤大学を抜き去り、5位に浮上。最後は神奈川大に抜き返されたものの、順位を1つ上げた。しかし、区間タイムは前回から1分02秒も落とし、「個人の走りとしてはまったく良くありませんでした」と反省した。2度目の山下りは悔しい結果になったようだ。

兄からの給水を力に
7区は3年連続で海老澤太(4年)が出走。過去2回は区間11位、同7位と安定した成績を残しており、川崎監督が常々口にしている「ミスなく」を体現してきた選手だ。海老澤は今回、特別な想いで箱根に臨んでいた。チームの主軸である双子の兄・剛が故障でメンバーから外れたからだ。「兄の分まで」という気持ちで、最後の箱根路を駆け抜けた。
日本体育大学にかわされたものの、兄・剛が給水係を引き受け、弟の快走をバックアップ。「兄から声をかけてもらって、力になりました」と「兄弟パワー」を注入された海老澤は、最終的に自身最高成績となる区間6位と好走した。

箱根では悔しい走り
今年度の学生三大駅伝フル参戦となった廣佳樹(2年)は、チームが重要視する8区で出場。単独7位で走り出して、5位争いの順天堂大学と日本体育大学を追いかけた。 「緊張はなかった」という廣だったが、区間一桁の順位で好走した出雲と全日本と比べて、精彩を欠いた。
初めての箱根は区間13位と力を出し切ることができず、「チームが5位を目指しているなかで何もできなかった」と悔しさを口にした。それでも6位の日本体育大学とは12秒差という好位置でタスキをつないだ。

1年生が9区を好走
復路のエース区間である9区を任されたのは藤田大智(1年)。後ろから追い上げてきた法政大学とともに、前を行く日本体育大学を追走した。
「チーム目標が5位だったので少しでも順位を上げたかった」というルーキーは日本体育大学を抜いて、単独6位に浮上。鶴見中継所では、法政大学にかわされて順位変動はなかったものの、1年生ながら他大学の主力選手と互角に渡り合った。
8区廣、10区村上優輝(4年)との「兵庫県出身リレー」を果たした藤田。特に村上は高校の先輩にあたり、「ずっとタスキ渡しをしたかった」と今回の継走を素直に喜んだ。

主将・村上が激走!
最終10区は、「混戦になると予想していました」と川崎勇二監督は主将・村上優輝(4年)を起用。その配置がピタリとはまった。村上は日本体育大学、法政大学との「6位争い」を制して、歓喜のゴールに飛び込んだ。総合6位は18回目の出場で3番目の好成績。3年連続シードは大学初の快挙だった。「5位以内を目指していたので、僕足していなかった。そして、「4年生はふたりしか走っていませんし、まだまだ上を目指せるチームなのでがんばってほしいです」と後輩たちに「夢」を託した。
「秩父宮賜杯第48回全日本大学駅伝」結果報告 (2016/11/06)

第5位シード権獲得!ルーキー大活躍

中央学院大学は4年連続10回目となる、全日本大学駅伝の出場を果たした。当日は11月とは思えないほど陽気がよく、沿道の応援者にとっては気持ちが良い気候であったが選手は暑さとの戦いとなるレースになった。

全日本大学駅伝は前半の流れで勝負が決まるといっても過言ではないだろう。特に1区は流れを作る上で大事なポジションとなるため、各大学とも自信のある選手を揃えている。1区大森 澪(3年)はそんな中、第2集団に粘り強く食らいつき9位でたすきを繋ぐ。2区は注目のルーキー横川 巧(1年)。自分のペースで流れに乗り粘りの走りで順位を2つ上げる。

3区樋口 陸(2年)は横川の勢いを引き継ぎ、さらに順位を2つ押し上げ、シード権内の5位に浮上。そして4区出雲でラストを飾った高砂 大地(1年)が勢いに乗る。ルーキーとは思えない区間3位の快走で順位をあげ3位に。4区までの成績が全日本の結果につながると言った川崎監督の思いに応える。5区藤田 大智(1年)は大学初の駅伝に緊張気味だったが順位を守り抜いた。村上主将が厚い信頼を寄せる6区廣 佳樹(2年)は、出雲からの安定した走りを全日本でも見せ、順位を1つ落とすものの力強くたすきをつなぐ。7区福岡 海統(2年)も大会初出場ながら自分の走りをし、本学の区間新記録(41秒更新)となる走りを見せる。そして最終8区を任された主将村上 優輝(4年)へ。全日本で一番長く苦しい戦いになる8区。エースひしめくこの区間で村上は主将の意地を見せ、5位でフィニッシュした。

「出雲同様、ミスなくそつなく、各々が自分の仕事をこなした結果が今回の結果です。今回は新井 翔理(3年)、海老澤剛(4年)が出場できず、万全とはいえない状況でしたが、今回のメンバーは自分たちもやるべきことをやれば結果を残せるという自信につながったと思います。今回は1年生がよく頑張りました。MVPを上げるとすると横川ですね。最後まで粘りの走りでたすきをつないでくれました。」と笑顔で語る川崎監督。

今回の全日本大学駅伝のメンバーは、8人中3人が1年生、そして大会未経験者の2年生が1人という思いきったメンバー構成となったが、「ミスなくそつなく」という川崎監督の指導通り、全員が区間一桁という成績を残した。一人ひとりが確実に力をつけ、中央学院全体が底上げできているということを証明したことになるだろう。

新年の箱根ではどんな走りをみせてくれるのか、さらに期待が膨らむ。
成績

5位(シード権獲得)

総合タイム(106.8km)

5時間19分36秒

「第28回出雲全日本大学選抜駅伝競走」結果報告(2016/10/10)

ルーキー高砂が笑顔でゴール!

学生三大駅伝の幕開けを飾る第28回出雲駅伝(10月10日)。中央学院大学は2年連続7回目の出場となった。

今大会は「経験させる」を最優先してメンバー選抜をおこなった。大学駅伝の経験を下級生に積ませたいという川崎勇二監督の思いが、1年生をプレッシャーのかかる1区・6区に起用するという思い切ったメンバー構成にさせた。

1区に抜擢されたのはハチマキ姿が印象的な横川 巧 (1年)。スタート直後から飛び出し先頭集団のセンターで積極的にレースを引っ張り、終盤は離されつつもトップ集団に食い下がり、トップと18秒差の10位でタスキをつないだ。2区新井 翔理(3年)は強い向かい風にも負けず快走をみせ、5人抜きで順位を5位まで押し上げた。3区大森 澪(3年)はエースひしめく中、ねばりの走りで後半の東洋大学との競り合いにも意地を見せ、6位で村上 優輝(4年)へ。

4区村上は主将としてチームを引っ張る強気の走りで2つ順位を上げ、4位に浮上。3年前の第25回大会で岡本 雄大選手(2013年度卒業生 現JFEスチール)が樹立した4区の区間記録(17分46秒)を5秒上回る好走ではあったが、惜しくも4区の区間賞は逃した。5区では夏合宿で大いにチームを盛り上げた廣 佳樹 (2年)が果敢に攻め、順位を落とすことなく6区アンカーの高砂 大地(1年)へつないだ。注目のルーキー高砂は期待に応え、最長区間を軽やかに走り抜き、区間3位で笑顔のゴール。本学駅伝部史上最高位の4位という好成績で今大会を終えた。

「ミスなくそつなく戦えば十分上位は狙える。全日本・箱根も同じように戦えば自然に結果はついてくる。普段から、練習内容、体調、寮での日常生活等でも緻密に確認するということが、ミスなくそつなく戦うということにつながっている。出雲で好成績を収めたことで、強豪校へは大きなプレッシャーを与えました。うちに後れを取ったチームは今まで以上にしっかりと調整してくるはずです。全日本・箱根は厳しい戦いになるでしょう。選手にはそれを乗り越えてほしい」川崎監督は今大会を振り返りながらも、新たな期待を込めて力強く語った。

それぞれが自分の役割をきちんと理解し成し遂げた結果が、今回の成績につながったといえる。今回の出雲は、1区横川と6区高砂のルーキーコンビが自分の役割を果たしたことが大きな収穫であった。出雲は距離が短く今後は更なる調整が必要だが、これからの全日本、箱根へと大きな期待が膨らむ。
成績

4位

総合タイム(45.1km)

2時間12分8秒

2015年度

「第92回東京箱根間往復大学駅伝競走」結果報告(2016/01/2・3)

危機を乗り越え、2年連続のシード権を獲得!

14年連続17回目の出場となった中央学院大学は、ターゲットの「5位以内」を目指し、1区潰滝 大記(4年)が高速レースの起点となる攻めの走りを見せた。潰滝自身は6位という順位に納得していなかったものの「他のチームをふるい落とすのは彼しかできない」と川崎監督はエースの走りを評価した。

“花の2区”に抜擢された大森 澪(2年)は、初出場ながら粘りの走りを見せる。順位は9位に落としたものの、各校のエースが集う中、区間10位と奮闘した。
3区塩谷 桂大(4年)は前半から積極的に飛ばし、3年連続の区間4位。塩谷の4人抜きでチームは5位に浮上。川崎監督の狙い通りにレースが進んだ。
続く4区は新井 翔理(2年)。区間13位と、出雲・全日本で見せた実力を発揮することができなかったものの、順位を落とすことなく5区山本 拓巳(4年)にタスキを託した。
前回8区を区間8位で走っている山本は、目標を上回るペースでレースを展開していたが、徐々に動きが鈍くなり、大平台(9. 4km)あたりから「途中棄権も覚悟した」ほどの足どりとなった。それでも最上級生としての意地を見せ、意識が朦朧とするなか芦ノ湖まで無事にタスキを運んだ。往路のゴールは14位となった。

往路の状況を踏まえ、目標を7位以内に設定し復路に挑む。復路スタートの6区では樋口 陸(1年)が期待通りの快走(区間3位)を見せ、総合10位まで順位を押し上げた。
2年連続で7区を任された海老澤 太(3年)が、区間7位の好走で順位をひとつ上げ9位とする。

シード権獲得を決定づけたのが、8区細谷 恭平(2年)だ。区間3位タイと大健闘。学生駅伝のデビュー戦で順位を3つも押し上げた。
8区を終え総合6位。9区は当日区間変更で入った海老澤 剛(3年)。序盤から積極的に飛ばしていくが、気温が高かったこともあり、ラスト3kmくらいから苦しい表情に変わった。最後の1kmは意識がないようなフラフラな走りになり、川崎監督の「剛、タスキ! タスキ外せ!」という声も届かない。それでも区間6位でまとめ、総合6位を死守した。
10区に起用された小川 貴弘(4年)は緊張が高まったせいかスタートからいつもの走りと違っていた。後続のチームとの差はみるみる詰め寄られ、気づけば総合9位に転落。「想定外」(川崎監督)の走りにはなったが2年連続のシード権獲得に成功した。

学生三大駅伝結果報告2016

より詳細なレポートを、PDFでお読みいただけます。
「秩父宮賜杯第47回全日本大学駅伝」結果報告 (2015/11/01)

シードを逃すもチーム記録を更新!

6月の予選会をトップで通過して、全日本大学駅伝(11月1日)に3年連続9回目の出場を果たした。キャプテンの潰滝大記(4年)が1週間前に発熱した影響もあり、1区で12位と苦しいスタートになった。そこから徐々に盛り返して、4区塩谷桂大 (4年)の3人抜きで6位に浮上。一時は目標のシード圏内 (6位)に食い込む健闘を見せたものの、5区で順位を落として、9位でレースを終えた。「1区の出遅れがすべてです」と川崎勇二監督が語るように、エースが力を発揮することができずに指揮官の構想が崩れてしまった。その一方で、選手たちの走りには光るものがあったという。

「1番の収穫は2区に抜擢した1年生の樋口陸が結果を残したこと。こういう舞台できちんと力を出せたのは良かったです。あとは大森澪(2年)が1人で走れるようになったのも大きいですね。昨年までは1人で走れませんでしたから」(川崎監督)

順位は満足できるものではなかったものの、4区塩谷、6区新井翔理(2年)、8区大森が大学新記録で走り、総合タイム (5時間19分22秒)もチーム記録を上回った。エースが不発でも、チームは確実に成長している。最後の箱根決戦に向けて収穫のあるレースになった。
「第27回出雲全日本大学選抜駅伝競走」結果報告 (2015/10/12)

エース潰滝が2区で区間新!

学生三大駅伝の幕開けを飾る出雲駅伝(10月12日)。正月の箱根駅伝で8位に入った中央学院大学は2年ぶりに参戦した。

1区に抜擢された大森澪(2年)が区間13位と出遅れたが、2区に入ったエース潰滝大記(4年)が区間新記録の快走で4人抜き。3区塩谷桂大(4年)で8位に浮上すると、アンカー6区の山本拓巳(4年)もひとつ順位を上げて、総合7位(2時間12分32秒)でゴールした。2年前の6位には及ばなかったものの、過去2番目の好成績となった。

「大森が(主要区間で)使えるかどうか試したかったんですけど、良くなかった。1番の目的を達成することはできませんでしたが、2区以降は悪いなりにつないでくれたので、以前よりは成長したかなと感じました。『やれるかな』という手ごたえをつかむことができたと思います」(川崎勇二監督)

本来なら潰滝が1区に入るのがベストオーダーだが、エースは夏に故障もあり、万全な状態ではなかった。当初は起用を見送ることも考えていたという。それでも、2区(5.8 ㎞)で区間記録を5秒も塗り替えて、エースの意地を見せた。これで中央学院大学は2年前の大会で4区を走った岡本雄大(現・JFEスチール)に続き、ふたつ目の区間記録を保持することになった。