法学部 法学科
Faculty of Law

谷川 尚哉 ゼミ

国民主権とは何か、民主主義とは何かを考える
ゼミナールテーマ
香川県豊島の産業廃棄物不法投棄事件を学ぶ

先生のコメント
豊島産業廃棄物不法投棄事件は、2000年6月6日の公害調停の成立によって、住民の主張が認められる形で決着した。その後、現在に至るまで、50万トン~70万トンという産廃は、無害化するプロセスで処理され続けられている。しかし、当初の計画は遅れているし、完全に解決したわけではない。また、島の住民の少子高齢化により、人口は減少する一方である。産廃問題の克服から島の再生を目指してきた住民たちは、依然として試行錯誤の過程にあるかもしれない。瀬戸内海の小さな島の出来事ではあるが、現代日本の全国に共通する地域問題に取り組んでいる島の住民運動を、大いに学びたいと思う。
谷川尚哉ゼミ01
谷川 尚哉 TANIKAWA Naoya
教授 / 修士(文学)
教員紹介
内容
現代社会と法コースのコンセプトである、「現代社会の様々な社会問題に法律学の視点からどう切り込んでいくか」の実践として、豊島の産廃問題を取り上げている。中坊公平、大川真郎という弁護士たちが、瀬戸内海の小さな島の住民のために全力を傾注して戦った軌跡はもとより、何よりも、島の住民が一丸となって香川県という巨大な権力に立ち向かい、ついには県知事をして泣いて謝罪させたという経緯を学ぶことは、国民主権とは何か、民主主義とは何か、という根本の問題を考える絶好のテーマである。
年間スケジュール
前期間は、香川県の瀬戸内海の島・豊島(てしま)で起きた、産業廃棄物不法投棄事件について、山陽放送の曽根英二記者(現・阪南 大学教授)の手になる複数のドキュメンタリーを視聴するとともに、同事件の弁護団長だった故・中坊公平弁護士の著作を勉強し、概要を学習する。夏休みには、現地に行き、現場を見学し、島の人々から聞き取り調査を実施する。熊本学園大学、阪南大学などとともに、「豊島・島の学校プラス」を運営し、現地での学習に臨む。