研究倫理を知ろう

~レポート・卒業論文・修士論文を書く時の心得~

Ⅰ.研究倫理教育の意義

研究者による研究活動上の不正行為に関しては報道などで見聞きしたことがあると思います。しかし、大学生であるみなさんについても、授業の課題として出されたレポートなどの作成に際し、インターネット上で公開されている他人の文章をコピー&ペースト(複写と貼り付け)したり、活字になった文章を無断借用した場合には、それが研究上の不正行為になるということをしっかりと心にとどめておいてください。本学では、学生を含む全ての研究者に対して研究倫理教育を通じて、正しい知識に基づく研究活動が行われるよう支援を行っています。
Ⅱ.研究活動上の不正行為とは?
「研究活動上の不正行為」とは、発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果等の捏造と改ざん、及び盗用を指します。

捏造(ねつぞう)
存在しないデータ、研究結果等を作成すること。実際になかったことを事実のように仕立て上げること。

改ざん
研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。

盗用
他の研究者のアイデア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること。

他にも、他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿する「二重投稿」や論文著作者が適正に公表されていない「不適切なオーサーシップ」などが研究活動上の不正行為として認識されるようになってきています。

Ⅲ.研究活動上の留意事項

1.研究活動における基本的倫理
研究活動上、一般的に留意すべき倫理事項には、次のようなものがあります。

① 知的な誠実さの保持
確実で正確なデータに基づいて研究活動を進める必要があります。不正確であいまいなデータに基づいて推論を重ねたり、不利なデータを無視したりすることがないようにするには意識的な努力が必要です。

② 著作権・知的所有権の尊重
他者の意見や研究成果について、きちんとした引用をせずに、さも自分のもののように述べることは盗用にあたります。レポート作成であっても無断で文章や図表などを引用することは許されません。また、人を対象とした研究領域で特に留意すべき倫理事項には、次のようなものがあります。

③ インフォームド・コンセントの尊重
研究活動に協力・参加していただく人・機関等に対しては、事前にきちんと説明をして了解を得ることが必要です。

④ 協力者らに危害を与えることの回避
研究活動によって、協力者らに身体的、心理的、社会的な危害を与えることは許されません。

⑤ 協力者らのプライバシー、個人情報の保護
協力者のプライバシーを侵害したり、調査・実験で得た個人情報を漏らしたりすることがないように最大限の努力を払うことが必要です。

上記のような研究倫理上の問題が生じた場合、論文の公開の禁止や取り消しが行われることもあります。学生が学習の過程で行う様々な研究活動において、こうした諸原則をきちんと意識して、できる限りの注意を払い、必要に応じて事前に教員に相談したり、許可を得るようにしてください。

2.研究活動における基本的倫理
研究活動の一例として、プロセスに沿って注意すべき事項を説明します。

(1)調査・実験などの依頼にあたって
インフォームド・コンセントの原則に立つことが求められます。次の項目について、事前に明確に伝えた上で了解を得ることが重要です。

① 調査・実験の目的
② 調査・実験の主体、責任者、連絡先
③ 調査・実験結果の利用・発表の仕方
④ 秘密保持および目的外使用をしないことの約束
⑤ 調査・実験への協力を拒否しても、不利益を被ることはないこと

未成年者など、本人の理解や了解を得ることが難しいと考えられる場合は、家族などその代理人となりうる立場の方の了解を得ることが必要です。また、調査票による調査を行う際には、上記の各項目についてわかりやすく明記した文書を添付するのが原則です。

(2)調査・見学などの実施にあたって
① 学校等の見学や活動への参加
邪魔になったり、万が一にも危害を及ぼすことがないように、十分に注意を払ってください。写真や録音をとる際は、必ず学校関係者の許可を得てください。また許可が得られても、個人が特定されるような写真等は避けるべきです。学校等の見学の際に、個人情報にも触れている記録・資料などを見せていただく場合、そこで知りえた情報については秘密厳守が条件です。 報告でその記録・資料の内容について何らか言及したい場合は、何をどこまで記載してよいかについて、その学校関係者に確認し、了解を得ることが必要です。

② 聞き取り調査
当事者の方々への聞き取り調査では、特にプライバシーの侵害に注意が必要です。また、思わぬ質問や言葉が当事者の心理に悪影響を与えることがあるということを意識し、質問の内容や聞き方等についても事前に十分検討してください。自分だけでは判断に迷う場合、担当教員などに必ず相談してください。聞き取りの際にメモを取ったり録音する時は、必ず事前に了解を得てください。また、当事者や調査協力者の氏名や役職名、聞き取った内容や入手した資料の内容等をどこまで公開してよいか、必ず調査時に確認して指示を受けるようにしてください。

③ 調査票を用いた調査
質問文や選択肢等の作成にあたっては、協力者の感情を害したりすることのないように十分な注意を払ってください。また、安易に作成した質問文や選択肢では、正確で意味ある回答が得られないという結果になりかねませんので注意してください。参考書等で調査法をしっかりと学んでおくとともに、事前に担当教員や関係者のチェックを受けたり、プリテストを行って、より良い調査票を作る努力を払うことが大切です。

(3)調査・実験データの集計や分析にあたって
調査・実験で収集したデータの集計や分析の過程では、データの転記ミスや集計ミスを想像以上に起こしやすいものです。そのようなミスを防ぐように十分な注意を払い、確認をしながら作業を進めることが大切です。

(4)発表・公開やデータ・資料の管理・廃棄にあたって
発表・公開にあたっては、結論の正確さ、妥当性の検討に加えて、プライバシーの侵害や個人情報保護の観点からも、全面的なチェックが必要です。個人情報の流出は、発表した報告・論文からよりも、調査・実験データの管理不十分から起こる危険性の方が高いことに留意する必要があります。調査・実験の実施中に対象者リストや資料を紛失したり、データの整理分析中に他の人に見られたりすることがないよう、十分な注意が必要です。

また、名簿やデータの廃棄の際にも注意が必要です。必ずシュレッダーにかける、コンピュータのハードディクス等のファイルの削除・抹消を行うなど、細心の注意を払ってください。なお、これらの留意事項は、卒業論文や修士論文の作成時に限らず、レポート作成時においても必ず守ってください。

§ 課題提出前のチェックリスト §

□ この課題は自分で直接行った調査ないし研究に基づいている
□ 注や参考文献欄において、引用したすべての資料(本・論文・インターネット上の情報など)を正しい形式で記載している(他人の文やアイデアを、典拠を示さずに用いていない)                              
□ インターネットからの情報には、タイトルと作成者、URL、確認日などを明記している                                          
□ 引用した資料の表現や内容を不正に使用していない(図表やデータのねつ造、改ざん、剽窃を行っていない)          
□ この課題において、実際に何も作業を行っていない人間を共同執筆者として記していない                                
□ この課題は、ほかの場所で提出した課題の流用ではない(これと同じ内容の課題を別の科目で提出していない)

 【参考サイト】  
■研究倫理関係                                                                                            
独立行政法人日本学術振興会「科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得-」
■教育著作権関係
一般社団法人日本著作権教育研究会 「著作権Q&A」
■公益社団法人著作権情報センター
著作権パンフレット「はじめての著作権講座」
                                                                                                                                   
中央学院大学における研究活動に関する管理・運営体制について
<お問い合わせ先>
部署:社会連携・研究支援室
電話:04-7183-6529