2019.07.04 (木)TOPICS法学部

大久保ゼミ「日本法育学会大会」参加報告

法学部 大久保 輝准教授のゼミ生が、6月29日(土)に日本大学経済学部にて行われた「日本法育学会第4回全国研究大会」に参加しました。大会のテーマは「検察審査会の意義と役割」で、大会には法学や教育学などの研究者のほか、弁護士などの法律専門家、学生・生徒なども出席しました。本学からは、大久保先生とゼミ生のほか、木崎峻輔講師、髙村紳講師が出席しました。

始めに、刑事訴訟法の権威である神戸大学名誉教授 三井誠先生の「検察審査会制度とは何か ―あなたとこの制度の関わりー」という基調講演があり、11名で構成される検察審査会について学生にもわかりやすい説明がなされました。

大久保ゼミ学会大会参加

模擬検察審査会の様子
続いて、模擬検察審査会が行われました。審査対象となる事件は「雛の宵傷害致死事件」です。その概要は、マンション1階室内で木刀などで暴行を受けた被害者が、窓から裸足で逃げ出し、交差点で横断歩道に接する首都高速入口から高速道路に逃げていったところ、走行していた乗用車に轢かれて死亡したというものです。
検察は、暴行と死亡との間の因果関係がないとして傷害について起訴猶予処分にしました。しかし、暴行と死亡との間に因果関係があり、傷害致死罪が成立するのではないかと検察審査会に審査申立がありました。
さまざまな議論があった結果、模擬検察審査会は「不起訴不当」となり、検察が再度捜査を行い起訴するかどうか検討しなければならないこととなりました。

最後にシンポジウム「検察審査会の役割と展望」が行われ、元裁判官、元検察官、検察審査会の審査補助員を経験した弁護士、刑事弁護の経験が豊富な弁護士のほか、学者として本学元法学部長の齊藤信宰先生がパネリストとして登壇しました。シンポジウムでは、模擬検察審査会の感想や、検察審査会の現状と課題などが議論されました。
<参加したゼミ生の声>
  • 2年 佃寿希也
「模擬検察審査会では、刑法で扱う傷害致死の定義やその他関連する暴行罪や傷害罪の定義など事例を使って理解しやすく説明し、保護法益や規範違反性の観点から被告人に科せられる刑の重さなどを深く議論していました。私は起訴相当であると思っていましたが、模擬検察審査会は不起訴不当と判断したので、検察審査会はいろいろな意見が反映される場であると感じました。」
  • 2年 阿部宇恭
「模擬検察審査会は、様々な職種の方々のレベルの高い議論を間近に感じることができました。検察審査会についての知識がありませんでしたが、このような体験をすることにより、理解を深めることができました。三井誠先生は学生にもわかりやすいよう話され、とても貴重な体験になりました。」
  • 2年 吉岡一喜
「今回の模擬検察審査会では、検察の判断に対して市民の意見が多く飛び交い、中には憶測ではあるものの筋が通っており納得させられるような場面もありました。また考えもしなかったような意見もあったりと、非常に興味深い内容となっていました。検察審査会については賛否はありますが、今後の検察審査会に期待したいです。」


今回の大会には、複数のメディアの取材がありました。検察審査会について最高の議論がなされたところに、本学関係者や本学学生が出席していたのは、今後の研究や勉強に大いに役立つものと期待できます。
<お問い合わせ>
部署:企画課
電話:04-7183-6517