CGU NEWS
2023.10.04
法学部

川久保教授「トルコ共和国での共同調査」実施報告

9月11日から20日まで、法学部の川久保文紀教授が、日本貿易振興機構・アジア経済研究所の今井宏平海外研究員(トルコ外交・国際関係論)とともにトルコ共和国で難民問題に関する共同調査を行いました。

日本とも歴史的に関係の深いトルコ共和国は、今年建国100周年を迎えます。現地では、日本におけるトルコ研究の第一人者である今井氏による案内のもとに、日本の現役外交官やトルコの研究者に対するインタビュー調査に加えて、シリア内戦によってトルコ経由でヨーロッパへ渡ろうとする難民集住エリアでの参与観察を行いました。

首都アンカラでは、在トルコ日本国大使館三等書記官の藤森望氏、在ロシア日本国大使館二等書記官の篠木慎氏とも懇談し、外交・安全保障分野を中心とした日・トルコ関係や日ロ関係など、多岐にわたる意見交換を行いました。また、トルコ大統領府に近接するトルコ商工会議所大学国際関係学部のBahadır Pehlivantürk准教授に再会。Pehlivantürk准教授は、京都大学で博士号を取得されたトルコにおける日本研究の著名な研究者であり、川久保教授が2008年にトルコ・ユーラシア戦略研究所で研究報告を行って以来の再会となりましたが、トルコにおける国際関係研究及び地政学の現状と課題について話を伺うことができました。
01_川久保教授「トルコ共和国での共同調査」実施報告首都アンカラのトルコ商工会議所大学のBahadır Pehlivantürk准教授と
今回の共同調査では、地中海に面したトルコ第三の都市イズミールも訪問し、市内の難民集住エリアのひとつであるバスマネ地区で難民の生活実態に関する参与観察を行いました。そこにはライフジャケットを売る店もあり、地中海を渡ってヨーロッパまでたどり着くことを計画する難民が現在もなお多数いるそうです。また、今井氏の紹介によって、イズミールにあるヤシャル大学のArıkan Açar准教授及び Ayselin Yıldız准教授にもインタビュー調査を行いました。とくに、Yıldız准教授は、ユネスコの国際移住委員会の議長を務めており、移民・難民研究の最新動向についてレクチャーをうけることができました。今後も国際学会での共同報告も視野に入れて連絡を取り合うことになり、大変有益な時間となりました。

後期・秋セメスターにおける川久保教授の担当科目「平和学」及び「国際関係論」では、この共同調査で得た知見を取り入れた講義を行っていきます。

※本共同調査は、JSPS科研費基盤研究B(課題番号22H00824)及び北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター公募型共同研究班の助成を受けて行われたものです。
02_川久保教授「トルコ共和国での共同調査」実施報告イズミールのバスマネ地区
03_川久保教授「トルコ共和国での共同調査」実施報告バスマネ地区のアラビア語で書かれた商品
04_川久保教授「トルコ共和国での共同調査」実施報告トルコ語に訳された日本の本。右は広島で被爆し、「原爆の子の像」のモデルになった佐々木禎子さんの伝記
05_川久保教授「トルコ共和国での共同調査」実施報告経由地イスタンブールのヨーロッパとアジアをつなぐボスポラス海峡
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