CGU NEWS
2023.02.27
商学部
「商学部研究発表会」開催報告
様々なご専門の先生方にもわかり易いよう丁寧に説明され、また参加した先生方からは多角的かつ専門的な意見が出るなど、大変有意義な研究発表会となりました。
【発表者】松井 一馬 講師
テーマ: 「帝国が抱いた世紀末の恐怖-メタファーで読み解く『吸血鬼ドラキュラ』」
【要旨】
これまでの研究の方法論と成果を紹介した後、小説『吸血鬼ドラキュラ』(1897)をメタファーの概念から分析した。同書の吸血鬼は第一に伝染病、特に19世紀に猛威を振るったコレラのメタファーと考えられる。しかしフロイトの理論を援用することで、この作品には当時の中産階級の道徳規範から逸脱することへの恐怖感を読み取ることが可能となり、吸血鬼は性的堕落の象徴となる。特に、牙と杭のファルス的形状に注目すれば、当時最大のタブーであった同性愛のイメージすらも浮かび上がる。この観点から、『吸血鬼ドラキュラ』が性的、階級的境界線の揺らぎを退治し、ヴィクトリア朝の社会秩序を立て直す物語として読み直せることを論証した。
これまでの研究の方法論と成果を紹介した後、小説『吸血鬼ドラキュラ』(1897)をメタファーの概念から分析した。同書の吸血鬼は第一に伝染病、特に19世紀に猛威を振るったコレラのメタファーと考えられる。しかしフロイトの理論を援用することで、この作品には当時の中産階級の道徳規範から逸脱することへの恐怖感を読み取ることが可能となり、吸血鬼は性的堕落の象徴となる。特に、牙と杭のファルス的形状に注目すれば、当時最大のタブーであった同性愛のイメージすらも浮かび上がる。この観点から、『吸血鬼ドラキュラ』が性的、階級的境界線の揺らぎを退治し、ヴィクトリア朝の社会秩序を立て直す物語として読み直せることを論証した。
