CGU NEWS
2026.10.14
商学部

中野ゼミ「大人たちの金曜日」実施報告

10月3日(土)、商学部 中野 健秀 教授のゼミ生(演習Ⅰ~演習Ⅲ)を対象に「大人たちの金曜日(第74回)」が行われました。中野ゼミの「大人たちの金曜日」とは、ゼミ生たちのキャリアについての視野を広げ、考えを深めることを目的とし、さまざまな業界の社会人をお招きして現在の仕事と過去の経験をざっくばらんにお話しいただく会です。

今回は、公益財団法人味の素ファンデーション シニアアドバイザーの宇治 弘晃氏にお越しいただき、「地球行商人の異文化コミュニケーション」と題してご講演いただきました。

宇治氏は、1986年に北海道大学文学部を卒業後、味の素株式会社に入社。国内営業を経て、ベトナム、インド、エジプトなどで30年以上にわたり新規市場の開拓に携わってこられました。
20261013中野ゼミ05公益財団法人味の素ファンデーション シニアアドバイザー 宇治 弘晃氏
現地の市場に足を運び、小売店を一軒ずつ訪問して商品を販売するという、まさに「行商」と呼べる営業活動を通じて、言語や文化の異なる人々との信頼関係を築いてこられました。その活動は、黒木亮氏の著書『地球行商人』でも紹介されています。現在は、西アフリカのガーナで栄養改善事業に携わり、現地での販売指導や人材育成に取り組まれています。

講演では、まず学生時代の経験や就職活動、海外での市場開拓に至るまでの歩みについてお話しいただきました。大学時代に北海道から東京までヒッチハイクで移動し、就職活動では14社に不採用となりながらも、唯一採用された味の素株式会社に入社されたエピソードが紹介され、人との出会いや縁を大切にし、未知の世界に飛び込んでいくことの面白さが語られました。
20261013中野ゼミ03
ベトナムやインド、エジプトなどにおける市場開拓では、現地の言葉を十分に話せないなかでも、市場の人々と食事を共にし、ときには歌を歌い、相手の生活や文化に溶け込むことで信頼関係を築いてきた経験が紹介されました。なかでも印象的だったのは、異文化コミュニケーションにおいて大切なのは、語学力や知識だけではなく、実際に相手と関わり、身体を通じて理解する「身体知」であるという考え方です。
宇治氏は、相手との距離を縮めるためには「あなたの言葉を教えてください」と相手から教わる姿勢を示すことが有効であると説明され、完璧な英語を話すことにこだわるよりも、間違いを恐れずに意思を伝えようとすることが重要であり、言葉だけに頼らないコミュニケーションの重要性をお話しいただきました。

さらに、ガーナにおける栄養補助食品「ココプラスTM」の普及活動についても紹介されました。栄養改善に役立つ商品を開発しても、それだけでは必要とする人々に商品は届きません。宇治氏は、現地の販売担当者とともに一軒一軒の小売店を訪問し、販売方法を伝えながら、商品を継続的に届ける仕組みづくりに取り組んでこられました。単に物資を提供するだけでなく、現地に雇用を生み出し、利益を上げ、経済活動を持続させることも社会貢献につながるというお話は、ビジネスと国際協力の関係を考えるうえで興味深いものでした。

また、宇治氏が信条とする「仕事は娯楽である」という考え方も紹介されました。海外では、日本にいると考えられないようなトラブルや予期せぬ出来事に何度も直面してきたが、そうした経験さえも新しい発見や学びの機会として受け止めてこられた、といいます。仕事を単に与えられた業務として捉えるのではなく、自ら工夫し、楽しみながら取り組むことで、新しい発想や可能性が生まれることが語られました。

今回の講演は、海外での豊富な実体験に基づくエピソードを通して、異文化を理解することの本質や、現場に足を運んで自ら行動することの重要性を学ぶ貴重な機会となりました。知識を身につけるだけでなく、人と出会い、異なる価値観に触れ、失敗や困難も経験として積み重ねていくことが、自分自身の世界を広げることにつながります。宇治氏の自由で柔軟な発想と、何事にも好奇心を持って挑戦し続ける姿勢は、学生たちが将来の仕事や人生について考えるうえで、多くの示唆を与えてくださいました。
20261013中野ゼミ04
20261013中野ゼミ02
(以下は受講したゼミ生の感想です)
  • ガーナの民族衣装を着て登場され、非常に明るくポジティブな人柄が印象に残っています。海外での様々なトラブルすらも楽しんで経験に変えてきた姿勢や、「最も持続可能な企業活動は金儲けである」という経営視点のお話に感銘を受けました。以前はトラブルを避けることばかり考えていましたが、講演を聞いて、そうした困難も自身の成長の財産として前向きに捉えられるように意識が変わりました。(3年 坂本 政哉さん)
  • 豊富な視点とひらめきを持ち、目の前の出来事を素直に楽しみながら受け止める姿に感銘を受けました。ベトナムでの飲みにケーションや、自らを低く見せる「トーク→ショウ→タッチ」の営業手法が特に印象に残っています。営業=大変というイメージがありましたが、「仕事は娯楽であり、工夫次第で自由に楽しくできるものだ」という考え方に触れ、将来の仕事に対する見方や意識が大きく変わりました。(4年 阿部柊一さん)
  • 民族衣装を纏い、細部までよく気づかれる優しい人柄に好感を抱きました。海外での市場展開における「郷に入れば郷に従え」の精神や、「あなたの言葉を教えてください」と尋ねることで簡単に相手と親しくなれる手法に強く共感しています。留学生として外国語を話す際の「恥ずかしさ」を克服し、身振り手振りなどのシンプルなコミュニケーションを通じて積極的に現地へ溶け込んでいく姿勢を取り入れていきたいです。(2年 ウ ブンリョウさん)
  • 民族衣装姿でその場の空気を一気に明るく変えてくださる、非常に陽気な人柄が印象的でした。外国での警察による軟禁トラブルや、そこで安倍元首相との写真を見せて即座に切り抜けたエピソードに驚かされました。また、「世界の共通語はバッド・イングリッシュである」と知り英語のハードルが下がったほか、金儲けが雇用や納税を通じて国のためになるという健全な社会貢献の視点に触れ、視野が大きく広がりました。(4年 鈴木 空さん)
中野ゼミのテーマは「情報技術の活用を学ぶ -その応用と教養の形成-」です。「情報技術の活用」を軸としながらも「自分の人生をより楽しくする」ことを根底におき、プロモーションビデオの制作や時事問題考究など、様々な研究活動を行っています。
 
<お問い合わせ先>
部署:広報グループ
電話:04-7183-6516