坂井准教授「イェール大学共同研究便り」

准教授
坂井 亮太/ SAKAI Ryota


政治学、公共政策学、政治理論、民主主義論を専門とする坂井先生が、2025年4月から2025年3月(予定)までの1年間、米国コネチカット州にあるイェール大学に国際共同研究をするため、客員研究員として滞在した際、現場から届いたリアルな声とともに、研究の進展や異文化交流の様子をご紹介します。
坂井先生
◆Yale大学共同研究便り No.2
大学に入ったら海外留学を考えてみよう!
高校生の皆さんや在学生の皆さんは、大学時代に留学をしてみたいと思いませんか。
今回は、アメリカのイェール大学に共同研究のため滞在中の中央学院大学の教員として、海外の大学の様子を紹介しつつ、中央学院大学で留学を実現する方法について紹介したいと思います。

20250617坂井先生イエール大学①
現在、中央学院大学とイェール大学の教員同士が共同研究を実施しています。
全米Top3の大学といえば、ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学です。イェール大学は世界大学ランキングでTop10位に位置します(東京大学は28位)。イェール大学のロースクール(法科大学院)は、全米トップのロースクールです。私が研究する政治学の分野でもトップランクの研究水準を誇ります。
そんな海外大学に留学すると、どんな大学生活が待っているのでしょうか。イェール大学で特徴的なのは、4年間の寮生活です。新入生は約100名ずつ分かれて14個のカレッジと呼ばれる寮に所属され4年間寝食を共にします。寮には、ハリーポッターの世界と同じような大きな食堂があり、みんなで朝晩のご飯を食べ、生涯の友情を得ていきます。
アメリカの8大名門大学アイビーリーグのなかでも、イェール大学は、保守的な校風とされています。実は、それが現在のトランプ政権とハーバード大学との争いの伏線となっています。かつてハーバード大学は、宗主国のイギリスの命令に反発したことがあり(昔から政権の意向に従わない気風があるのでしょうか)、その対抗馬として1701年に設立されたのがイェール大学です。
アメリカの大学の学費は突出して高く、例えばイェール大学の学費は寮費を含めて1年間で1200万円。生活費を入れると4年間で5000万円はかかります。もちろん、授業料の減免も手厚いのですが、70%の学生がaffluentすなわち奨学金を必要としない家計の出身と報告されています。日本の大学の学費は国際的にみて良心的といえそうです。
20250617坂井先生イエール大学・学生寮入口カレッジと言われる学生寮
20250617坂井先生イエール大学入口学生寮の入口
20250617坂井先生イエール大学卒業式2卒業式の様子
20250617坂井先生イエール大学・各学生寮マーク食堂
20250617坂井先生イエール大学・マンホール③各学生寮のマーク
20250617坂井先生イエール大学・マンホール①
20250617坂井先生イエール大学・マンホール②

中央学院大学から留学をめざすには

中央学院大学に入学した皆さんは、【中央学院大学が提供する交換留学の制度】を存分に活用してください。これは、2年生以降の5月に申し込みが出来ます。また30単位までを認定することができ4年間で卒業することも可能です。はじめて留学する人には、夏休みに2-3週間の留学ができ、留学準備の授業が卒業単位にもなる中央学院大学の【短期海外研修】の参加・履修をお勧めします。
協定校は、英語圏ではアメリカ、カナダ、K-popに関心があれば韓国、中国語圏では台湾など、皆さんの関心に合わせて広く用意されています。中央学院大学では、第一外国語として英語ではなく韓国語や中国語やフランス語を選んで学ぶことができる学部もあります。英語は苦手でも、大学に入学してから新しく別の言語を学び始めることができます。 留学の目標を具体的に立てることが、皆さんの語学学習への意欲をさらに高めてくれることでしょう。
お金はどうしたらよいでしょうか。現在、急激な円安で留学費用が高くなり、アメリカにいる日本からの留学生や研究者は、奨学金を複数あつめて、資金を捻出しているようです。私自身も複数の研究資金を集めて共同研究を実現させています。
そんな時に頼りになるのが、官民協働の留学促進キャンペーンである「トビタテ!留学JAPAN」プログラムです。1か月から1年までの留学、インターンシップ、ボランティア、フィールドワーク、プロジェクトベースドラーニング、実験、実習などの留学も対象です。
20250617坂井先生イエール大学③
残念ながら、イェール大学に日本人の学生はほとんどいません。中国系につづき韓国系の学生がとても多いのが印象的です。そもそも日本からの応募が少ないのが原因だとイェール大学のロースクールの教授がこぼしていました。

中央学院大学では、入学後に学びたい語学を選べるカリキュラムや交換留学制度を提供しています。これを通じて、ひとりでも多くの高校生や在学生が、世界に挑戦し、多様な世界に触れ、自身の可能性を広げることを応援します。
◆Yale大学共同研究便り No.1
自分のプロジェクトを立ち上げよう
大学生の皆さんは、大学に入って新学年が始まり1カ月がたち、自身の選択あるいは環境を振り返ってみる機会が出てくるころだと思います。
アメリカから皆さんに届くように声を大にして言いたいことがあります(毎年私の授業でも声を大にして言っているのですが)。それは、過去ではなく将来に向けて何をするのか(自分の実現したいプロジェクトや研究の魅力)が評価の対象となるということです。それは、日本でも世界でも変わりません。これが大学生の皆さんが目指すべきことです。
坂井先生【米イェール大学滞在】②
世界が気になるのは偏差値ではない
社会や世界に出れば、大学名よりもあなたがどんな面白い研究テーマや人生のテーマを持っているのかに関心が集まります。偏差値は、予備校などの受験業界のマーケティングの道具に過ぎないので、もうそれに振り回されないようにしてください。世界的には、学歴は学士号なのか、修士号なのか、博士号なのかを指します。4年制大学卒の学歴(学士号)は世界共通です。つまり、中央学院大学で取得した、日本の大学で取得した学位は世界に通用します。
声を大にして言いたいのは、大学は自分のプロジェクトを実現したり、探求や研究をするところだということです。研究=人類の知の限界を超えて新しい領域を開拓すること、勉強=これまでの人類の知を身に着けることです。勉強は研究の前段階です。勉強段階にとどまっていてはいけません。
坂井先生【米イェール大学滞在】③
自分のプロジェクトを持てば世界はすぐそこ
大学生の皆さんは4年間を使って、自分自身のプロジェクトを見つけて、それを試し、失敗し、失敗し、たまに成功することを繰り返してください。皆さんの手元に残った数少ない成功分野が、皆さんの将来の道になり、皆さんの研究テーマとなっていきます。
自身のプロジェクトを持てば、世界はあなたを見つけてくれます。SNSに投稿してください。ChatGPTを使って英訳し、Xに投稿してください。私のアメリカでの在外研究もメールを一本送ったことで始まりました。将来こそが勝負であり、過去を気にすることはありません。皆さんの有意義な学生生活を応援します。
世界的に有名な大学と国際共同研究を行い、大学教員を在外研究に送り出せる大学は、その教育力と研究力において大いに信頼に足る大学ですので、大学生の皆さんはどうぞ安心して本学で自分のプロジェクトを追求してください。
坂井先生【米イェール大学滞在】④
What’s next
次の機会には、アメリカの桜、大学の先生はアイドル、イェール大学の学生の様子、アイビーリーグ大学を巡るトランプ政権との闘いなどを、お伝えできればと思います。