現代教養学部 現代教養学科
Faculty of Liberal Arts

皆川 満寿美 ゼミ

「ジェンダー視点」で「社会学的想像力」を身につけよう
ゼミナールテーマ
「社会学的想像力」とは、アメリカの社会学者C.W.ミルズが使った言葉です。彼は同名の著書の中で「普通人々は自分たちが耐えている苦難を、歴史的変化や制度的矛盾という文脈の中で把握してはいない。自分たちが享受している安楽を、そこで生きている社会の巨視的な変化には結びつけて考えないのが普通である。彼らは自分たちの生活のパタンと世界史の進路との間に精妙な関係があることにはほとんど気づかない」と述べています。

「社会学的想像力」とは、人々が自分自身の日々の生活、来し方行く末のありようを「歴史的変化や制度的矛盾」「社会の巨視的な変化」と結びつけ、その中に位置づけて理解する想像力です。このゼミナールでは、そうした想像力を社会学の蓄積から具体的に理解し、身につけることを課題とします。

そしてその際、「ジェンダー視点」を使うこととします。日本社会は、世界経済フォーラムによるグローバルジェンダーギャップ指数ランキングで極めて低い位置におり、そのことで社会じたいの持続可能性に黄信号が灯っている状態です。みなさん自身が日頃感じているかもしれないモヤモヤの中に、関連することが含まれているかもしれません。あるいは、この視点で自分の周囲を眺めると、今までとは違った景色が見えてくるかもしれません。「ジェンダー視点」は、「社会学的想像力」を身につけ、発揮することができるようになる効率のよいツールです。

先生のコメント
このゼミでは、参加者に「社会学的想像力」を縦横無尽に駆使して、各自の関心のある事柄に迫っていくことができるようになってほしいと思っています。

ミルズは「一人の人間の生活と一つの社会の歴史とは、両者をともに理解することなしにはそのどちらの一つも理解することができない」とも述べています。であるならば、「社会学的想像力」を身につけることができたら、私たち自身の生活、そして私たちがその中で生きているこの社会、そのそれぞれを両者の関係のもとにより深く理解することができるはずです。

知ること、理解することは、あなた自身を守り、よりよい社会をつくるための力となります。「社会学的想像力」は、社会を「生き抜く力」そのものであり、これからの「市民的教養」の重要な部分であると考えています。
皆川満寿美ゼミ01
皆川 満寿美 MINAGAWA Masumi
准教授 / 修士(文学)
教員紹介
内容
スタート時に提示した各自の卒業論文のテーマ候補について、検討を続け、卒業論文完成までに必要な作業が決まっている状態を目指す。
年間スケジュール
専門基礎演習に引き続き、基礎的な訓練(社会学者が執筆した論文や、新書程度の文献の読解、統計データの簡単な分析など)を進めるとともに、各自が設定した卒業論文のテーマについて深めていく。報告を繰り返しながら各自の関心を深め、卒業論文完成に必要な作業は何かを明確にしていく。