CGU NEWS
2019.11.20
法学部
「第13回法学部研究発表会」報告
発表者と題目、発表要旨は以下の通りです。
【発表者1】大村 芳昭教授
タイトル:ハーグ子奪取条約と日本
夫婦関係の悪化や離婚などに伴い、その一方が夫婦の子を国外に連れ出し、または留置する現象が生じているが、国内での連れ出し等と比べて、子の所在の確認や連れ戻し、面会交流の実施などに大きな困難を伴うことが少なくない。
ハーグ国際私法会議では、子を連れ去り等の直前の常居所地に迅速に返還すること等を通じて、そのような問題に対処することを内容とする国際協力の枠組みを設けるべく、1980年にハーグ子奪取条約を採択した。現在では、ヨーロッパや南米を中心に100カ国が加入している。
日本では、欧米各国からの様々な働きかけ等を経て、2013年に条約加入の国会承認を得た後、2014年に条約締結を行い、同年から条約及びその実施法が効力を生じている。
ハーグ国際私法会議では、子を連れ去り等の直前の常居所地に迅速に返還すること等を通じて、そのような問題に対処することを内容とする国際協力の枠組みを設けるべく、1980年にハーグ子奪取条約を採択した。現在では、ヨーロッパや南米を中心に100カ国が加入している。
日本では、欧米各国からの様々な働きかけ等を経て、2013年に条約加入の国会承認を得た後、2014年に条約締結を行い、同年から条約及びその実施法が効力を生じている。

家裁の手続については、ハーグ条約実施のための特別な手続を新設して、条約の趣旨の実現に努めているが、連れ出した方の親が子の返還を拒絶している場合の強制執行が現実には奏功していない点を指摘され、2018年のアメリカ国務省(アメリカの中央当局)の報告書では「条約の不履行国」に指定された。2019年の法改正により同年の同報告書では不履行国からリストから外されたが、今後の動向については予断を許さない。
今後、条約の遵守をさらに求められるのみならず、条約の背景にある親子法のあり方自体についても議論が広がる可能性がある。
【発表者2】田中 啓行講師
タイトル:講義を受けている時の大学生の意識 -ノートテイキングとインタビューの分析からー
大学生が講義を聞いたり、ノートを取ったりする際の問題について、先行研究では、ノート自体の分析や学生に対するインタビュー、質問紙調査が行われている。しかし、書き終わったノートの分析では、講義の重要部分が書かれているかどうかはわかっても、講義のどの部分の理解ができていないかはわからない。一方、質問紙調査に対しては、画一的な内容の回答しか得られないという問題点が指摘されており、インタビュー調査に対しても、学習者の意識に上らないストラテジーが明らかにできないという指摘がある。大学生の講義理解の実態を解明するには、講義視聴中の行動とその時の意識を合わせて分析する必要があるといえる。

その結果、用語の意味を適切に書くことができている学生は、そうでない学生に比べてノートの記述量が多い傾向があった。また、インタビュー内容から、講義を聞いている時の意識に次のような特徴が見られた。①講義者の話を予測しながら、自分なりに構成してノートに書いている。②テーマや用語の説明のために講義者が示した具体例を内容理解に活かしている。
<司会を担当された先生方>
興味深い研究発表に対し多くの先生方から質問があり、活発な質疑応答となりました。