CGU NEWS
2025.11.18
法学部

「第19回法学部研究発表会」開催報告

10月29日(水)、本学本館2階121教室にて、「第19回法学部研究発表」を開催しました。
報告者は、今年度着任された花新發元紀 専任講師と、スペインでの在外研究から戻られた野口健格准教授になります。以下のとおり、活発な議論が行われました。

【発表者1】花新發元紀 専任講師

題目:契約責任の第三者効についての基礎的考察

契約責任を追及できるのは、契約の当事者だけである。しかし、債務者による不適切な給付(債務の履行)によって、直接の契約関係にない者(第三者)が損害を被った際にも、債務者に対し契約責任を追及する余地を認めてもいいのではないか。本報告では、このような問題意識のもと、ドイツ法の典型事例を素材に、契約責任の第三者効について考察した。
発表後には、下記の質疑応答が行われました。
司会者からは、「直接契約関係のない第三者に対する責任は不法行為責任で十分ではないか。」との意見が示され、三宅篤子教授からは、「第三者に対する契約責任を認めてもよいと思う。ただ、ドイツ特有の事情もあるのではないか」と述べたうえで、「不法行為責任を広く認める日本では、たとえば、履行補助者の過失についてはどうなるか。」との問いを投げかけました。続いて、木崎峻輔准教授からは、「会社法の取締役の対第三者責任との関係はどうか。」との視点が提示され、企業法務との接点についての考察が促されました。さらに、木村健登准教授は、「木崎先生の質問に関しては、学説は不法行為責任の拡張または特別責任としてとらえ、あまり契約責任としては捉えていないようである。」と指摘。加えて「第三者を救済するためには日本では特別法で対処することが多いようだが、一般法での対処が望ましいとする実益は何か。」との問いも提示され、制度設計の在り方に関する議論が深まりました。
これらの質疑応答を通じて、契約責任と不法行為責任の境界、第三者保護の法的枠組み、そして日本とドイツの制度比較に関する理解が一層深まる機会となりました。

【発表者2】野口健格准教授

題目:スペインの地方自治に関する法制度についての一考察 −アストゥリアス州を素材として−

日本でも地方自治に関する多くの議論の存在が示すように、地域性を活かした行政運営の重要性は多くの者が共有しているように思われる。報告者は、昨年、地域主義の伝統が根付くスペイン王国で在外研究をする機会を本学から頂戴し、スペイン北西部に位置するアストゥリアス公国自治州のオビエド大学法学部で1年間研究を行った。本報告(在外研究に関する報告も含む)は、スペインの地方自治に関する制度を概観するとともに、当地(アストゥリアス公国自治州)の地方自治に関して法学的に検討をした。
発表後には、スペインの地方自治制度や法体系に関する多角的な視点から、以下のような質疑応答が行われました。
司会者からは「隣国フランスの中央集権とは真逆のように思えた。」と意見が示され、川久保文紀副学長からは、「国内の地域主義とEUの地域主義という2つの地域主義をどのようにとらえるか。」と述べられました。また、李憲模法学部長からは「スペインの採用する三層制の地方自治の仕組において、上位団体と下位団体との争いが生じたときに、その争いはどのようにして解決するのか。」との質問があり、制度運用上の調整メカニズムに関心が寄せられました。そして、冠地和生常務理事は「スペインの法体系について、ローマの影響やドイツの影響はあるか。」と問いかけ、歴史的・比較法的観点からスペインの法制度の成り立ちに対する理解を深める機会となりました。
これらの質疑応答を通じて、スペインの地方自治制度とその法的背景に対する理解が一層深まり、参加者にとって実りある議論の場となりました。

<質疑応答の様子>

<お問い合わせ先>
部署:広報グループ
電話:04-7183-6516