大学案内
About CGU

学長挨拶

学長から卒業生への祝辞

市川学長(学位記授与式HP用)

 本日、中央学院大学を卒業される605名のみなさんに、心よりお祝い申し上げます。また卒業を迎えるまでご支援されてきた保護者や関係者の皆様にも、心より、御礼とお祝いを申し上げます。
 本学が、創設者の一人高楠順次郎の精神に基づいて1966年に商学部の単科大学として開学して以来、商学部は51年、法学部は32年、そして大学院は13年にわたって卒業生を送り出してきました。そして今日に至るまでの卒業生は、本日のみなさんの卒業をもって33,779名となりました。

 すでにご案内させていただきましたように、本学では、みなさんがこれまで心待ちにされてきた、人生の一ページを飾る日をお祝いする舞台を準備することができませんでした。ただただ心苦しく感じるばかりです。新型コロナウイルス感染症が拡大を続け、終息の気配も見せないことからであり、どうかご理解をいただきたく思います。
 人生の大きな節目の日を、歴史的・世界的な出来事の渦中に迎えられたことは、みなさんの記憶に深く長くとどまることと思われます。本学にとっても、これまでの歴史の中で経験したことのない大きな出来事といえるものでもあります。
 
 人類の歴史はまさに感染症との闘いの歴史といってもいいかもしれません。たとえば、14世紀にはヨーロッパのほぼ全域を黒死病と呼ばれるペストが襲い、多くの人たちの命を奪いました。その後も疫病は幾たびも人類を襲い、その最たるものが第一次世界大戦の終わり頃から世界規模で猛威をふるったインフルエンザでした。感染者は億単位、死者は千万単位におよびました。そして今、新型コロナウイルスが世界全体へと拡がり、グローバル時代の光と影をまざまざと見せつけています。

 しかし、このような大きな試練を幾度となく経ながらも、人類は生命の火を絶やすことなく、現在にまで命をつないできているのです。人類を支えてきたのは、生物としての生きる本能であったのでしょうし、また希望という大きな力によるものでもあったのだと思います。

 すでに去ること二千年以上も前の紀元前の時代、ローマの賢人たちはこんな言葉を残しています。「命ある限りあらゆることに望みをすててはいけない」、「自分たちの求めるものに望みを託そう。何が起ころうと堪え忍ぼうではないか」、「たとえ今、物事がうまくいかなくても、将来、いつかはそれが変わるのだ」。語り尽くされたような言葉ではありますが、西洋文化の源流と言われるギリシア・ローマの時代から、人々は希望にこそ生きる大きな力を見いだしていたのです。そしてそれは、今を生きる私たちにとっても、大きな支えとなるものだと思います。

 最後になりますが、高楠順次郎も今のみなさんのように若いころ、希望に満ちてイギリスに渡りました。そして帰国後に新しい学校の必要性を痛切に感じ、本学の母体となる学校を創設しました。本学の建学の精神「公正な社会観と倫理観の涵養」は、その高楠の精神を受け継いでうち立てられたものであることを記憶にとどめておいていただきたいと思います。
 本日卒業を迎え、未来に羽ばたく若いみなさんには、これまで学んできた知識や経験を糧に、柔軟な心で、希望と輝きを失うことなく生きていってほしいと心から願っています。

2020年3月20日
中央学院大学
学長 市 川 仁

学長プロフィール
  • 1952年静岡県生まれ 駒澤大学文学部英米文学科卒業
  • 駒澤大学大学院 人文科学研究科英文学専攻 博士課単位取得退学
  • 1994年中央学院大学准教授として法学部教員となり、その後教授を経て2018年7月1日学長に就任
  • 専門はイギリス文学。担当科目は総合英語I・IIなど
  • 共著『イギリス文学の旅』、『イギリス文学の旅II』、『ロンドン・パブ物語』、『ミステリーの都ロンドン』、『イギリス大聖堂・歴史の旅』(以上、丸善)、『スコットランド文学――その流れと本質』(開文社)、『英米文学にみる検閲と発禁』(彩流社)等
  • 共訳『ノースロップフライのシェイクスピア講義』、『シェイクスピア喜劇の世界』(以上、三修社)、D.H.ロレンス全詩集[完全版](彩流社)等