2018.07.01 (日)TOPICS現代教養学部

特別授業 片山恭一氏による「人工知能と文学」

7月9日(月)の3時限目、現代教養学部 峯 真依子助教が小説家の片山 恭一氏をお招きし、「人工知能と文学」というテーマで特別授業を行いました。
片山 恭一先生は、2001年『世界の中心で、愛をさけぶ』を発表し、300万冊を超える大ヒットを記録。小説家として大変有名な方ですが、2016年からは人工知能についての研究もおこなわれています。

まず始めに、AI(人工知能)の歴史や、今後起こると予測されているシンギュラリティ(技術的特異点)とは何なのかなど、今回の授業の前提となる基本的なキーワードを分かりやすくハリウッド映画や英米の音楽の例を挙げながら教えていただきました。
その後、「雇用破壊やAIの暴走などが予測される未来に、それでも生きる喜びはあるのか? 雇用破壊を受けた後どうなるか? そうなるとその後の私たちはどう生きればよいのか?」など、通常の授業では殆ど誰も考えたこともない問いが学生に投げかけられました。

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片山先生は「長いあいだ個人の内面を表現することが文学であると考えられてきた。しかし内面は自己に帰属し、この自己はAIによって隅々まで読み解かれてしまうわけだから、いずれは内面を表現する文学もAIのほうが人間よりも見事にやるようになるだろう。アルファ碁がプロの棋士を打ち負かすといったことが文学の世界でも起こってくる…近未来の書店には、人間由来の文学とAI由来の文学が並ぶことになるだろう」と語られました。
この視点は学生たちに様々な反応を引き起こし、「人間の表現とAIの表現の違いは? 人間とAIの恋愛はあり得るのか?」などといったユニークな問いが新たに生れ、それに対しても片山先生は多くの比喩を交えて答えてくださいました。
さらに、AIにできないこととは何なのか?という問いでは、人間はAIが得意とする認知機能をはみ出すことをたくさんやっているが、AIには認知機能をはみ出すことはできない。たとえば映画『タイタニック』のジャックが、船上で出会った女性を助けるために自らは冷たい氷の海に沈んでいく。理屈では非合理的だともいえる「善なるもの」は、ずっと昔から変わらず人間に備わっている。私たちの内なる「善」。これをAIの力を借りて可視化し、みんなで共有する世界を作っていくことはできないだろうか? 最後はそんな片山先生の未来へのビジョンを垣間見るお話を聞くことができました。学生たちも何かを感じた様子であり、大変貴重な時間となりました。

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