2019.09.03 (火)TOPICS法学部

「法制研究室と大久保ゼミの夏合宿」報告

法制研究室と法学部大久保ゼミが、8月26日(月)から28日(水)まで館山セミナーハウスにて合宿を行いました。
以下、法学部准教授 大久保 輝先生からの報告です。

法制研究室は、まず千葉地方裁判所にて覚せい剤使用事件の裁判傍聴をしました。傍聴後に日本法育学会の船山泰範弁護士による解説があり、「ダルク」という薬物依存から立ち直るための施設についての説明などがありました。
その後、館山に移動、大久保ゼミと合流し、合同でITテロ事件捜査の映画を鑑賞。情報技術の進化とともに、犯罪の形も変化していくため、私たちはその変化にどう対応していかなくてはならないのかを考える時間となりました。

201908法制研究室千葉地方裁判所傍聴

現代教養学部の黒川知文教授も偶然同じ裁判を傍聴されていました。
2日目の午前中、法制研究室は法学検定の答案練習会を行いました。今回は、答案練習会の直前まで問題集を解いて頑張っていた1年生が成績上位を占める結果となり、今後の彼らに期待が膨らみます。

大久保ゼミは、4年生(専門演習II)による卒業論文のテーマ発表を行いました。どの発表も大変興味深いものでしたが、今後図書館等で調べる必要のある課題がたくさん見つかり、ゼミ生たちは卒業論文完成までの道のりが遠いことを実感した様子でもありました。

午後、法制研究室と大久保ゼミ4年生は、痴漢えん罪に関する裁判映画を鑑賞しました。痴漢などの犯罪は許されませんが、罪のない人に刑罰を加えるのも許されません。どのようにしたらえん罪事件がなくなるかについて考えさせられました。

201908大久保ゼミ合宿答案練習会

法制研究室の答案練習会

201908大久保ゼミ合宿

大久保ゼミ4年生による卒業論文テーマ発表

201908大久保ゼミ合宿答模擬裁判証人

証人役の背中にタトゥーシールを貼って行った模擬裁判
大久保ゼミ2年生(基礎演習II)は、模擬裁判「入れ墨施術行為は医師法違反か」を行いました。
ゼミ生たちは、被告人役や証人役だけでなく弁護人役もタトゥーシールやフェイスマスクを貼り、通常の裁判ではありえない形ですが”入れ墨”を見せ、説得力ある模擬裁判をしていました。
事件の内容は、入れ墨を入れる「彫り師」と呼ばれる仕事をするには医師免許が必要だとして、医師免許なく彫り師をしていた被告人が起訴されたというものです。参考とした実際の裁判では、地方裁判所は有罪判決、高等裁判所は無罪判決を出しています。
入れ墨を入れるのは医療行為か、彫り師の仕事に医師免許を必要とするのは憲法が保障する職業選択の自由を侵害しないか、針を使って色素を皮膚に注入するのはやはり危険ではないか等、法律専門家ですら意見が分かれています。
この模擬裁判の裁決は、傍聴した大久保ゼミ4年生と法制研究室員の投票で決めました。結果、理由は様々ですが、被告人は無罪となりました。

201908大久保ゼミ合宿答模擬裁判被告人

役柄ががわかりやすいよう、被告人役もフェイスマスクを着用

201908大久保ゼミ合宿答模擬裁判弁護人

無罪を勝ち取った弁護人役
3日目の午後は再び千葉地方裁判所に行き、不法就労事件の裁判を傍聴し、起訴から判決まで一連の裁判の流れを見ました。
法廷通訳という仕事があること、各国間の経済格差が不法就労問題を引き起こしていること、ブローカーにだまされてしまった被告人に対して何ができるか等、いろいろ考えさせられるものがありました。


今回の法制研究室と大久保ゼミの合宿は非常に充実した内容となったようです。
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